破損が大きくてキャンプ泊には使用できない、でも思い出が詰まっているから捨てられない。そんなキャンパーたちの愛着が詰まった、“使い古した”テントを次の活躍の場へと繋げてくれるのは、アップサイクルブランド『Re.tent』だ。『Re.tent』では、廃棄せざるを得なくなったテントの素材を再活用し、エプロンやサコッシュなど、新しいキャンプギアに生まれ変わらせるプロジェクトに取り組んでいる。アウトドアシーンが引き続き盛り上がりを見せる中、このプロジェクトを立ち上げた想いやキャンプ×サスティナブル活動にかける期待について、同プロジェクトの代表・足立 康仁氏に話を伺った。

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Interview:『Re.tent』代表 – 足立 康仁

「使い捨ての時代は終わり、
再利用を念頭においた商品のあり方を模索し続けなければならない」

──Re.tentとはどういったプロジェクトでしょうか?ご紹介をお願いします。

天候による破損や経年劣化により廃棄せざるを得なくなったテントの素材を再活用し、新しいアイテムにアップサイクルする取り組みです。使い古したテントを、職人が新しい形に生まれ変わらせ、お戻しする「リメイクサービス」と、事業者やリメイクサービスの端材など、使えなくなったテントの生地を活用した「アップサイクルギア販売」の2つのサービスを展開しています。

──Re.tentを立ち上げようと思った、そのキッカケについて教えてください。

様々な場所で大自然の中で過ごす非日常な空間をつくり、雨風を凌ぎ、キャンパーの思い出が詰まったテント。しかし、荒天により破損をしてしまったり、経年劣化により擦れたり穴が空いたりと消耗していき、最終的には新しいテントに買い替えます。大切に使ってきたそれまでのテントは役目を終え、再利用ができないほど破損してしまったものは廃棄せざるを得ませんでした。

公私ともにそれを目の当たりにし、課題と感じてきた、元グランピング施設の責任者であり長年のキャンパーでもある、メンバーの山内と、キャンパーシステムグラマーとしてキャンプをしながら仕事をしている二宮と当社が手を組み、サービスを立ち上げました。

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──Re.tentプロジェクトを通して感じる「アウトドア/キャンプシーン」や「アップサイクル」についての課題などがあれば教えてください。

アウトドアブームは2013年頃よりゆるやかに増加傾向にあります。近年コロナ禍により更にキャンプが注目され、多くのビギナーが参入し続けていることは、アウトドア事業に関わる私たちとしてもとても喜ぶべきことと感じています。それに伴い、テントをはじめとするアウトドアギア市場も増加傾向にありますが、キャンパーの中には残念ながらキャンプ場にテントを捨てて帰ってしまったり、少し破れただけで廃棄したりしてしまうケースも見受けられます。すでに使い捨ての時代は終わり、再利用を念頭においた商品のあり方を模索し続けなければならないと感じています。

また、私たちのサービスは一点一点、職人が丁寧にハンドメイドで行っており同じものは2つとありません。そういったストーリーに、日に日に共感していただいている方々が増えているなと感じていますが、生地の回収から、使用できる箇所の選定、洗浄、裁断と手作りの分コストは逆に大きくなるため、その付加価値をどのように共感していただける方にお届けできるか、また私たちの努力で商品を手に取っていただきやすくできるか、日々考えています。

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使用するテント生地については、その生地が活躍していたころの特長(ロープを通すハトメやジッパー、縫い目の部分など)を極力残してアップサイクルしています。テントメーカーさんの商標を大切にするため、ロゴ部分は一部条件(*)に該当する以外は当然使用しておりませんが、今後私たちの活動が認知されメーカーさんからもご理解を頂けるようであれば、その商品に使われている生地の由来(メーカーやテントの型番など)の説明やロゴなども使用することによって、よりお客様がその商品に対するルーツや背景も知って愛着を持つことが出来る、面白い商品づくりをしたいと考えています。

*Re.tentでは、廃棄されるテント生地を再利用することを目的としています。そのため、様々なブランドのテント生地を取り扱っており、特定のブランドのロゴマークや文字部分を掲載することを主目的としていません。生地のロゴマークや文字部分などの面影を残すリメイクをする場合は、他社の商標権を侵害しないように加工したり、Re.tentのロゴマークをより目立つ場所に入れたりすることにより、他社商品と誤認・混同が生じないように注意しています。リメイクサービスについては使用するテント生地に入っているロゴ等の使用について、あくまで私的でのご利用・再販を行わないことが前提であれば、想い入れのあるテントの特徴であるロゴや文字部分など、面影を残したリメイクも可能としています。

──「アップサイクルギア」の魅力とは?

屋外での利用を想定して作られたテント生地の耐久性は、他のアイテムに生まれ変わっても受け継がれます。また、ハトメや自在金具、カラビナやガイラインなど、テントに使用されているパーツはたくさんあるモノ。大切に使用されてきたテントのそんな特徴をできる限り取り入れリデザインしたアイテムを展開しています。ラインナップはトートバッグ、サコッシュ、エプロンをベースに、流行りの巾着型など、ニーズに合わせて追加していく予定です。

使用している生地は、テントリメイクサービスを利用するキャンパーから届けられ、リメイク商品製作後に余った生地も廃棄することなく最大限利用し、グランピング事業者等から回収したものもあります。集まった様々なメーカー・素材のテント生地を組み合わせ、世界に一つしかない一点ものの商品です。

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──最後に、Re.tent プロジェクトから伝えていきたい想いについてお聞かせください。

自然を楽しむテントを用途の違ったギアとして生まれ変わらせることで、サスティナブルな取り組みを身近なところから始める。そんなきっかけにも繋げることができればと考えています。また、自然と触れ合うことのできる素晴らしいアウトドア体験を、ひとときのブームで終わらせるのではなくしっかりと文化として楽しむことが出来るよう、私たちも貢献していきたいと考えています。

Text by 足立 康仁

INFORMATION

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Re.tentでは、眠っている不要なテント生地の回収を行っています。壊れてしまって使えない、けれど大事にしていたものだから捨てられない。もしそんなテントをお持ちの方は、大切な気持ちをRe.tentに引き継がせてください。回収した生地はアップサイクルし、新しい形となって次の持ち主の元へ、Re.tentが責任を持ってお届けします。

〇Re.tentで回収できるもの
1、テント生地
2、破れていても大丈夫。汚れは洗って取れる程度であれば大丈夫です
3、ポール、ペグなどの付属品は回収できません。(ガイロープは承れます)

〇お問い合わせ先
メールにてテントテント回収ご希望の旨、お知らせください。送付先等詳細をご案内いたします。
info@retent.me

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