現地時間2025年7月23日から27日まで、アメリカ・サンディエゴのコンベンションセンターにて「サンディエゴコミコン」(SDCC)が開催されました!
SDCCとは、1970年代から続くポップカルチャーの祭典。コミック売買&ファン同士の交流会として始まり、時代と共に、映画、テレビ、ゲーム、アニメなどを巻き込んだ総合エンタメの巨大見本市に進化しました。新作や限定品、ヴィンテージ品などお宝がざっくざくで、そこでしか体験できないアクティビティも出現。作家や俳優など著名人を生で目撃できる一大発表イベントもあり、時には深夜から待機列が生まれます。
そんな、あらゆるオタクたちの天国であるSDCCのレポートをお届けします! 前夜祭を含めると計5日間分あり、膨大な取材量だったのですが……ご安心ください。この記事は、特段印象に残った出来事だけをまとめた“ダイジェスト版”になっています。
やはり軸は“コミック”にあり
コミコンとはコミック・コンベンションの略で、根底にあるのはコミックへの愛。そのため、SDCCではコミックのクリエイターたちによるトークイベントやサイン会、作品販売などが数多く行われています。
なかでも別格扱いだったのが、アレックス・ロス氏。写実的な作風が特徴の作家で、マーベルやDCのアートを数多く手がけてきた大御所の方です。整然とした佇まいのブースは、まるで一等地にあるアートギャラリーさながら。作品をじっくりと愉しめるほか、サイン付きアートブックやコミックなどSDCC限定商品が販売されていました。


コミコンなので、当然コミックショップもあります。アルファベット順に収納されており、お目当てのコミックを探しやすい環境が整っていました。

レアなコミックを取り扱うお店もありました。最高額は、パニッシャーが初登場する『アメイジング・スパイダーマン #129』(1974年)で、なんと19,000ドル(約285万円)!


アクティビティや限定品が盛りだくさんの企業ブース
来場者数は毎年平均13.5万人、周辺の無料イベントのみ参加する人々も合わせると15万人超えの動員と言われているSDCC。エンタメ業界の大手企業は総力を挙げ、ブース出展を行います。
今年のSDCCは映画『ファンタスティック・フォー』の公開日と重なっていたので、マーベルは同作のプロモーションに注力。作風に合わせ、ブースをレトロポップ調のデザインで統一させ、関連展示を行っていました。

『ファンタスティック・フォー』に登場する高性能ロボット、ハービー(H.E.R.B.I.E.)とミート&グリートできるコーナーも!


時には同作のヴィラン、ギャラクタスがブースを賑やかしにやってきました。

映画『スーパーマン』が好評なDCは、映画で実際に使用した衣装や、スーパーマンとクリプトの愛らしいイラストを展示。常に人だかりができていました。


企業ブースは、“楽しい写真を撮れる”だけではありません。SONY PICTURES TELEVISIONやParamount+のブースでは、SNSフォローなどの参加条件を満たすと、UFOキャッチャーに挑戦することができました。キャッチできれば特典がもらえます。




動画配信サービスCrunchyrollは、9月に全米公開される『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』に全集中。鎹鴉になって無限城を飛ぶアトラクションを楽しむことができました。


SDCCの醍醐味のひとつは、特別なアイテムに出会えること。頭が大きくてクリッとした目が特徴のフィギア「Funko POP!」のミニチュア版、「Bitty Pop!」を発見(※日本未上陸)! オリジナルヒーローチームFUN FORCEと『ファンタスティック・フォー』のフィギアにときめき、どちらもお迎えすることに。


ゲーム機『Atari 2600+』のパックマンエディションをPRしていたAtariブース。SDCC限定Tシャツを販売していましたが、1日目の時点でほぼ完売でした!


その演出に痺れた『トロン:アレス』パネル
さて、SDCCのトークイベント会場で最も大きいのが、席数6,500の「ホールH」です(ちなみにホールAからホールGまでは、先ほど紹介した企業や作家たちによるブースで埋め尽くされています)。
昨年はMCUのパネルディスカッションが行われ、俳優ロバート・ダウニー・Jr.がサプライズ登壇。彼が2026年公開予定の『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』のドクター・ドゥーム役でMCUに復帰することが発表され、話題になりました。
しかし、今年MCUはパネルディスカッションを行わず、ライバルのDCも“ドラマ『ピースメイカー』シーズン2限定”の参加に。最も注目を集めたのは、『スター・ウォーズ』の生みの親=ジョージ・ルーカス監督がSDCCに初めて姿を現し、2026年にLAで開館する「ルーカス・ナラティブアート美術館」について語ったことでした。

知的好奇心を掻き立てられましたが、最も興奮したのは、別のパネルディスカッションです。それは、デジタルと現実が交錯する世界を舞台にした『トロン』シリーズの新作『トロン:アレス』。冒頭、赤と青のレーザー光線にまみれ、ダークな電子音が鳴り響くなか、戦士たちによる行進で幕開け――というサプライズが最高にカッコ良かったのです。

パネル参加者は、プロデューサーのスティーブン・リズバーガー、監督のヨアヒム・ローニング、俳優のジャレッド・レト、ジェフ・ブリッジス、グレタ・リー、ジョディ・ターナー=スミス、エヴァン・ピーターズ、ジリアン・アンダーソン、ハサン・ミナジ、アルトゥーロ・カストロ、キャメロン・モナハン。

本作の共同プロデューサー/主演のジャレッド・レトは、『トロン』シリーズへの愛を語り、新作を披露できる喜びを噛み締めていました。
「『トロン』に惹かれた理由ですか? それは1982年、まさにビデオゲームが爆発的に広まり、映画が私の人生の大きな一部だった頃に出会ったからです。見たことのない世界へと連れて行かれ、想像力を揺さぶられ、『世界ではこんなことが可能なのか』と教えてもらいました。そこには、今隣に座っている彼(リズバーガー)と、ここにいる私のヒーロー=ジェフ・ブリッジスの天賦の才が大きく関わっています」
「若い頃、何を支えにすれば良いのか分からない日もありました。そんなとき、このような作品が私に夢を与えてくれたのです。本作は、構想から9年……いや10年になるのでしょうか、“アレス”という言葉から始まった企画です。そして今、こうしてこの素晴らしい仲間やキャストと一緒に舞台に立てていることは、本当にかけがえのないことです。心から感謝しています」
また、レトは憧れのブリッジスとの撮影初日、嬉しさのあまり挙動不審になってしまったと打ち明け、ブリッジスもはにかみます。
「思わず『カット!』って言ってしまったのです。普段はあまりそういことをしないので、皆驚いていました。すると、助監督がやってきて、『大丈夫ですか? 何かありましたか?』と。私は『ただ、自分の大好きな相手と仕事をしていて、笑顔が止まらなくって』と答えたのです」


レトとブリッジスの相思相愛ぶりにほっこりしたのも束の間、ラストの演出で再びアドレナリンが身体を駆け巡りました。
同パネルを締め括ったのは、『トロン:アレス』のオリジナルサウンドトラックのリード曲、ナイン・インチ・ネイルズ「As Alive As You Need Me To Be」の特別なミュージックビデオ。ライトサイクルが走るフューチャリスティックな映像とレーザー光線、そしてヘヴィかつグルーヴ感あるインダストリアルサウンドの融合……痺れました! 「『トロン:アレス』は絶対にIMAXで観るべき」と思わされたのでした。
個性豊かな『トロン』コスプレイヤーたちも、新作を“浴びる”準備ができています!



また、会場では『トロン:アレス』とナイン・インチ・ネイルズのコラボブースも出展。オリジナルサウンドトラックが流れるなか、ライトサイクルに乗って記念撮影できるコーナーが設けられていました。


2500枚限定のレコードも販売。プレビューナイトの時点で飛ぶように売れ、1日目早朝の時点ですでに1900番台! おそらく1日目の正午までに売り切れていたことでしょう。

場外も楽しいSDCC、今年のMVPは「Peacefest」!
SDCCと言えば、スケールの大きいラッピング広告。周辺エリアのビル群や電車などあらゆる場所が色とりどりのイメージに覆われ、エンタメの街と化すのも名物です。どのような広告があるだろうかと、お散歩するだけでも心躍ります。


街中には、至るところにPOPUPも出現。SDCCのチケットがなくても遊び尽くすことができます(しかも大抵が無料!)。
そんなSDCCのPOPUP部門、今年のMVPはDCドラマ『ピースメイカー』でしょう。繁華街近くのクラブを貸し切り、「ピースフェスト」(Peacefest)を開催していました。
同イベントはSDCC開催直前に発表され、公式サイトがサーバーダウンするほどアクセスが集中、事前予約は即刻終了に。ダメもとで足を運んでみたら、幸い当日受付もあるとのこと。1〜2時間ほど列に並び、入場することができました。

中に入ると、『ピースメイカー』グッズや展示のほか、フォトブース、ビデオゲーム、サンドバック、主人公の相棒にちなんだ鷹との触れ合いコーナーなど、バラエティに富んだコンテンツが目白押しです。

でも目玉は、生バンド演奏です! このドラマの主人公ピースメイカーは往年のグラムロックが好き、という設定。シーズン1のオープニングも、80年代を意識したノルウェーのバンド、ウィグ・ワムによる楽曲「Do Ya Wanna Taste It」が採用されています。

しばらくすると、80年代感むんむんなバンドが登場! 「Do Ya Wanna Taste It」のパフォーマンスで、会場内に一体感が生まれます。


その後も懐かしのロックナンバーが続き、頭を振り、拳を上げずにはいられませんでした。

ちなみに、土曜夜に「Peacefest」で開催されたVIPパーティーには、ジェームズ・ガン監督や主演ジョン・シナを含むキャストも出席。正式に(?)、街で最もホットなPOPUPになっていたのでした。
冒頭でお伝えしたように、この記事はダイジェスト版。
コミコン文化やエンタメ情報を発信する「コミコンエンタメ通信」では、SDCC2025の取材内容を余すことなく伝えているので、より深掘りしたい方は、ぜひそちらをご覧くださいね!
text&photo by コミコンエンタメ通信