INTERVIEW FOR FUJI ROCK

SANABAGUN.

Photo by 横山マサト
Text by ラスカル(NaNo.works)

     

満を持して━━平成生まれのHIPHOPチーム・SANABAGUN.が、今月26日(金)〜28日(日)に開催される<FUJI ROCK FESTIVAL ’19(以下フジロック)>へ出演することが決定した。今年の2月にキーボーディスト・大樋祐大を新メンバーに迎え、再び8人編成で新たなスタートを切った“新生”SANABAGUN.。6月25日に東京・大阪計4公演のマンスリー・ライブ<2013–2018>の初回<White Black>を開催し、さらにその公演のアンコールではニューアルバム『BALLADS』を10月23日(水)にリリースすることを発表した。今回のインタビューでは、新メンバー加入から現在に到るまでの動きやそのテーマ、新作アルバムの概要、そしてフジロック出演への意気込みなどを、岩間俊樹(MC)、澤村一平(Dr.)、髙橋紘一(Tp.)の3人に聞いた。

INTERVIEW:岩間俊樹、澤村一平、髙橋紘一(SANABAGUN.)

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8人編成で再始動。軸はブラさずアップデートする

━━まず今年に入ってからのSANABAGUN.ついて聞きたいのですが、2月にキーボーディストの大樋祐大さんが新メンバーとして加入し、再び8人編成の“新生” SANABAGUN.が誕生しました。どういった意気込みやテーマで動き出しましたか?

澤村一平(以下、澤村) 祐大が入って“新生” SANABAGUN.ということで、まあ同じようなことを前にも言ったと思うんですけど、また頑張るぞって感じで。6月末のライブで10月にアルバムも出すことも発表して、それに向けて新体制でどういうSANABAGUN.を作っていくかが、自分たちの中で一番大きなテーマです。

━━そのテーマというのは、明確にどういうものか言葉にしていますか?

髙橋紘一(以下、髙橋) 意外とそこは抽象的なのかなって感じてる、俺は。

澤村 模索しながらですね。やっぱり1人でもメンバーが変わるとバンドの雰囲気も変わるし、出る音も変わる。10月に出すアルバムに向けて、どういうサウンドでどういう曲を作るか、どういうライブをするか。そういうのをみんなで話しながら進んでいきたいっていう段階ですね。

髙橋 メンバーが変わっても、ライブでずっとやってきた軸は変わらない。ただ、音源を作る過程で新しい部分を共有している感じはします。

━━「こういうことが新たにできそう」と感じている部分はありますか?

岩間俊樹(以下、岩間) 今までも、本当はもっとやれるのにやれていないことはたくさんあった。今年のテーマに関してさっき紘一が“抽象的”という言葉で表現しましたが、それって理由があるなと思って。SANABAGUN.ってメンバーが2人脱退しながらも常に変化し続けてきた反面、なかなかこれっていうものバシッと提示できていないところがあって。音源もその都度作り方が変わってるんですよ。最初のアルバムは一発撮りだったし、常にエンジニアさんも変わってる。

━━ただ、今回の新メンバー加入をきっかけに“これ”っていうのが見つかりそうな予感はあるんじゃないですか。先月末の渋谷CLUB QUATTROで行われた公演、<White Black>も絶賛の声が多かったですし。

澤村 正直、今の8人でのライブはすごく手応えがあります。そして、このタイミングでフジロック出演も決まったので、今のSANABAGUN.を多くの人に見てもらえるチャンスがあるのはすごく楽しみですね。

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髙橋 目には見えないんですけど、“サナバくん”っていうのが僕らの心の中にいて。これまでいろんなことがあって、サナバくんはずっとこっちを見ていない状態が続いてたんですよ。でも今は一番「サナバくんが近くにいるな」ってみんな感じてると思います。ここまで長かったですけど、やっとこうなれた、なれるかもみたいな、何かをつかめそうな兆しはありますね。

━━ライブの魅せ方に関して変えていこうと思っている部分はあるんですか?

澤村 でもさっき紘一が言ってみたいに、ライブのパフォーマンスに関して軸の部分はそれほどブレていないけど、それがお客さんにどう伝わるかとか、自分たちが満足度をどれくらい感じるかという部分で、今の8人になってかなりいいなって思う。方向性を探っていくというよりは、どちらかというと「この感じがもっといける!」っていう感覚ですね。

髙橋 アップデート作業だよね。それに新しいメンバーが入っても、今までのものを押し付けるじゃないですけど、もうこういう方向性があるからみたいな感じで。ライブに関しては元からあるものに乗っかってきてもらうというか、理解してもらうというか。だから祐大にもこの夏かけて、演者としての楽しみ方をもっと理解していってほしいですね。

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━━みなさんは祐大さんにどんな印象を抱いていますか?

髙橋 楽しいやつですよ。

澤村 でもあいつ……スマブラ弱いんですよ。

(一同) ハハハ!

髙橋 それは絶対書いてもらった方がいい(笑)。

澤村 楽器はめちゃめちゃうまいんですけど、スマブラは弱くて。そこだけはまだあいつ若いんで、じっくり時間かけて育てていこうかなって。

岩間 64?

澤村 いやSwitch。すいません、ホントどうでもいい話でした(笑)。

━━いえいえ。少しだけ話を戻して、先ほど岩間さんは「本当はもっとやれるのにやれていないことはたくさんあった」と言っていましたが、それは具体的にどういう部分ですか?

岩間 うーん……例えば、もっとライブにしてもエンターテイメントにできると思うし、MC、振り付け、“間”とか、もっと詰められるところはある。ただ、詰めなくてもなんとなく合っちゃってた感じもこれまではあったので、俺自身のことに関してはその辺ですね。8人いるので、ステージ以外だと時間の共有が難しい部分がある。もっと時間をシェアして音源を作れたらいいなとか、そういうところですね。あと、SANABAGUN.は前にここ(下北沢ケージ)で夏祭りをしたんですけど、そういう面白いことを企画したりとか、今まで誰もやっていないことを考えて実行したりする能力はあると思うので、それを甘えずにやり続けられたらいいなと。今でもやってないことはないんですけど、さらに意欲的にやったらもっと“サナバくん”が近くに来る気がします。

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『BALLADS』で挑戦した音源とライブの差別化

━━10月23日発売のニューアルバム『BALLADS』は、もうほぼ完成していますか?

澤村 9割ぐらいは。もう歌入れも終わって、あと最終的なミックスぐらいですね。

髙橋 あと“お皿に盛るだけ”ぐらいの感じだよね。

澤村 え、なんかすごい……カッコいい言い方したね。

(一同) ハハハハ!

━━じゃあもうアルバムの制作に関しては落ち着いているんですね。

澤村 そうですね……あとは“お皿に盛るだけ”って感じで。

髙橋 俺のセリフね……。

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━━フフ。アルバムの新曲はマンスリー・ライブの各公演で披露していくんですよね?

岩間 そうです。すでに1曲ずつマンスリー・ライブで発表していきますってことは伝えていますね。

━━アルバムの話をもっと聞きたいのですが、先ほどライブに関して軸は変わらずと言っていましたが、音源を制作するにあたって変化した部分はありますか?

岩間 今まではプリプロは入ってもこういうボイスメモで録って、バンド全員でスタジオに入って作る、みたいなことが多かったんです。でも今回、楽器陣はまんべんなくみんな作っているんですけど、DTMである程度デモをパソコンで組んでから持ってきた。そういう作り方は、新しいチャレンジだったかなと。今までは本番RECを録ってその一週間後にボーカルRECとかだったので、その間でしか声を乗せるトラックを聴けなかったんですね。でも、今回はそれを先回りしてやってくれていたおかげで、自分のフロウとか乗っている声の質感とかをイメージできる時間をしっかりとれる状態で臨めたのでだいぶ違いました。なので、今回ラップはうまいと思います。

髙橋 お〜〜〜。

澤村 いや昔からうまいよ、ラップ。自信持ちなよ。

(一同) ハハハ!

澤村 楽器陣的にもその変化は大きかったです。今までは楽器隊の本番の音を録ってからボーカルの声の順だったので、初めてそのときにオケにボーカルが乗ったのを聴く。そのときたまに「こういう風になったんだ。でもここをもうちょっとこうしたら良かったのかな」って思っても修正が効かなかった。でも今回は早い段階でまずDTMで作って、それに声をあらかじめ乗っけてくれたから、「もうちょっとこうしたいな」っていうアレンジができたんです。でも普通に考えると、みんなこんなことは当たり前にやっていたんだろうなと思って。やっと僕らも始めたわけですがそれを知れたのは大きな一歩で、まじこれまでは原始人のような作り方で……。

髙橋 ね、文明のありがたみを感じた。

澤村 こうやったら曲のアレンジの完成度がもっと上がるんだなと。

髙橋 だからみんなDTMで打ち込んでから持ってくるんだって。

澤村 高校生以下みたいな(笑)。でも大きな一歩を踏み出したね!

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髙橋 ライブは良いけど音源は……っていうのは自分たちも思っているし、外からの評価も妥当だと思ってるんですが、今回はそのあたりをみんなすごく意識して制作した。なので、次のアルバムは伝わりやすさも含めて、新たな色は出せたんじゃないかなと思います。

澤村 みんなの共通認識として、音源とライブの差別化をしたいっていうのもあって。それは次のアルバムにおいて大きなテーマになっていると思います。結局、音源をライブで重ねていくうちに、ライブ版みたいにどんどん進化していって、久しぶりに音源を聴くと「なんかしょぼいな」みたいに感じることがこれまであって。逆に今回は、ライブでは絶対再現できないような、すり減らない音源を作るということをみんな意識しました。

岩間 まだ情報解禁できない部分が多いのですが、新しく仕掛けていることが多いのでいろいろ驚くはず。楽しみにしていてください。

澤村 そうですね、今まで出てきてないようなアイデアが山盛りです。『BALLADS』はかなり新鮮なSANABAGUN.を出せているんじゃないかと思います。

髙橋 言いたいけど今は言えないですね。ここから新しいSANABAGUN.を小出しにしていこうかなと。もったいぶって。

澤村 そのもったいぶりがピークに達して、みんなCD屋に並びまくるみたいなのが理想。

岩間 と言いつつ、4ヵ月後の告知をすでに小出しにしちゃってるよね(笑)。

髙橋 焦らしたいくせにすぐ言っちゃうんだよね。

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歓喜のサプライズ発表と念願のWHITE STAGE

━━アルバムの発売も待ち遠しいですが、その前に今年の夏は、とうとう<フジロック>への出演が決まりました。率直に決まったときはどう思いましたか?

髙橋 でもあのサプライズ発表の動画のやつがホント最初に聞いたときだったので、あれが素の反応ですね。あの時点ではもう「今年もダメだった」と思ってましたし、なんなら正直「他の予定入れたいんだけど」ぐらいの感じだったので。

澤村 それ毎回ある流れだもんね。「最終があるからまだスケジュール空けといて」って言われて、「空けてます、大丈夫ですよ」って言いながらも「結局……無かった」っていう。

━━あの動画で、岩間さんだけ少し反応が薄かったような気がしたんですが。

岩間 あのときは「おお……」って感じで、もちろんめちゃくちゃ嬉しかったんですよ! 反応薄いって声と、後にけっこうみんなから「岩間、感動して泣いてる」みたいに言われて(笑)、

髙橋 うらやましいですよ。反応薄かったのに結果、岩間株があがって(笑)。

岩間 あとは、あのタイミングでやらなきゃいけない曲のリリックがまだできてなくて……。

髙橋 そう、楽器陣はもうあのときはレコーディングが済んでいて。「終わったー!」みたいな感じになっていたところにあの吉報だったので、もう……。

澤村 心の底から喜べる感じでした。

岩間 俺は真っ只中だったんですよ。3日後にレコーディングだったのであの日もスタジオに一人で行って、12時ぐらいまで掛かったので家には帰らず漫喫で寝て。またスタジオ行って終わったあとに仮歌入れて……とかしてたので。ちょっと……感情を素直に表に出せなかった。

澤村 でも俊樹だけじゃなくて、(高岩)遼もちょっと反応が薄くて。みんなで喜びながらもそれがチラッと目に入って、「フロント2人は知ってたんだな〜」って思ったもん。でもあとから聞いたらそうじゃ無かったんで、あれ、あんま血が通ってないのかな、うちのフロントマンはと思って。

(一同) ハハハハハーー!

髙橋 でも確かに、うちのフロントマン2人は特にその気があるかもしれない。みんなが「わー!」ってなってるときに「おお」みたいな。寡黙に向き合ってる姿を見ることが多い気がする。

岩間 いやでも、あのとき「これ喜ばなきゃいけないんだ」とすぐに悟って、あとから飛び跳ねちゃったりした自分がいました(笑)。

━━<フジロック>最終日、WHITE STAGEのトップバッターですが、どんなパフォーマンスにしたいですか?

髙橋 やっぱり<フジロック>に出るならWHITE STAGE以上がいいと思ってたから。生意気ですけどROOKIEA GOGO(以下、ルーキー)は通れなかった時点で、地道にというよりは一発目からドーン!って感じがSANABAGUN.っぽいし。そこはプライドというか……なので素直にめちゃくちゃ嬉しかったです。

澤村 毎年スケジュールを空けても入らない状況が続いていたので、その期間は家でヒマしてたんですよ。でもそのときにSNSを見るとみんなフジロックに行ってるので、もうSNSは見ないようにしてました。それが今年はSNSに上げる側になったので……どうしようかな。

━━会場にはいろんなお客さんがいますし、SANABAGUN.の存在を魅せつけて欲しいですね!

澤村 ワンマンだと2時間かけてじっくり自分たちを見せられるけど、今回は40分という限られた時間しかない。その中で自分たちの全部をぶつけたいです。

髙橋 やっぱり俺らは“路上上がり”を自負しているので、人の足を止めさせることに関しては秀でている。人が寄るっていう話で言えば、リアルタイムでのお客さんの反応だったり、通りすがりの人たちを立ち止まらせるとか、<フジロック>ならではの環境を俺らは追い風にしていければ。

岩間 同世代でも出ているアーティストがたくさんいるし、ルーキーを通っている人もいる。そう考えるとこれまでかなり悔しい思いをしてきたので、今年はその気持ちを思い切りぶつけたいですね。

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待望━━“新生”SANABAGUN.が初出場の<フジロック>にぶつける、路上の美学と最強のセットリスト

FUJI ROCK FESTIVAL ’19

2019.07.26(金)、27(土)、28(日)

新潟県 湯沢町 苗場スキー場

9:00 開場 11:00 開演 23:00 終演予定

詳細はこちら

SANABAGUN.

ストリートにジャズのエッセンスを散りばめ個性とセンス重んじて突き進む平成生まれのヒップホップチーム

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