常にサウンドと歌詞は同時に育っていく感じで、
そのふたつが一緒に進んでいくのがとても重要

――では、それぞれ使用している機材について教えていただけますか?

G それは説明し始めると長くなりそう(笑)。メインのギターはひとつだけ。すべてをこなせるギターがひとつあるのがいいんだと思ってるところがあって。アルバムのレコーディングは、ほとんどドキュメントみたいなものだった。その時点での自分達のライヴをそのまま記録するような感じで。だからライヴと同じ楽器で始めたのよ。そうは言っても、サウンドをもっと増やすために加える箇所もあるけど、あくまでシンプルさを保ちながらね。制限があるからこそ、もっと一生懸命やるようになると思うし、そこからどれだけのものを生み出せるかに取り組まなくてはいけないから。ギターに関して私が大事だと思うのは、その楽器自体が持つオリジナルのサウンドを鳴らすこと。私のギターは1966年産のフェンダー・デュオソニックIIなんだけど、それはもともとスチューデント・モデルだからすごくシンプルなギターで、小さなおもちゃみたいと言えるくらい。アンプはVOX AC 30で、フェンダー・ツインも使ってる。すごくクリーンで、弾いてる音が全部聞こえるところが好きなの。それにディレイやディストーションとかのエフェクターも使ったりもするけど、やっぱり一番大事なのは自分が弾いている楽器自体の音をちゃんと出すようにすることで、常にそれを考えるようにしているわ。

A 私がメインで使ってるのは1976年のプレシジョン・ベースで、アンプはAshdown EVO III。どちらかというとクリーンなサウンドの方が好きなので、ペダルはときどきディストーションも使うけど、曲によって違って……うん、一般的にはクリーンな方が好き。そこにちょっとディストーションを加える感じね。

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――サヴェージズでは、どのような方法で楽曲を完成させていくのでしょうか?

G 特に決まったやり方はないんだけど、アイデアが出るとプロセスが始まって、そこからはいつも同じで変わらない。どんな小さなアイデアからでも始めることができるから、ひとつの言葉・歌詞でもいいし、その場合はそのアイデアに合うどんなサウンドを作れるかを進めていく。ときにはサウンドの方から始まってそれとともに歌詞が形作られていくこともある。ただ常にサウンドと歌詞は同時に育っていく感じで、そのふたつが一緒に進んでいくのがとても重要なの。ひとつひとつのサウンドが、歌詞の背後にある意味を映し出すことがね。だから歌詞に影響したものを知ることもすごく重要で、ジェニーが読んでる本とかにも、みんな興味を持って、常に話をするようにしている。でも、偶然生まれてくる曲もあって(笑)。ときにはどこからともなく出てくる曲もあるし、だからやり方を特定することはできないんだけど、それをライヴ・パフォーマンスでちゃんとできるように、何が必要で何が必要じゃないかを見極めて整えていくプロセスは間違いなくある。ライヴ・パフォーマンスを通じて曲が完成していくところもあるから。

――参考までに“Dead Nature”や最終トラック“Marshal Dear”のような、アルバム中でも少し毛色の変わった曲は、どのようにして出来たのでしょう?

G “Dead Nature”はすごく抽象的な感じで、あれは実は吊るしたギターから生まれたものなのよ。そのときの映像もどこかにあると思うんだけど、天井からギターを吊るして、ディレイをかけていろんなスティックでギターを叩いたの。フィードバックがほしくて、アンプの前でスイングさせたりもして。

A そう、最高だったわ。いろんなやり方で叩いたのよね、たくさんの違ったサウンドを出すために。すごく面白いアイデアだった。全員が参加してやったのもよかったし、スタジオでああいう経験ができてよかったと思う。うん、それに仕上がりにもすごく満足してるから。

G “Marshal Dear”は第二次世界大戦で実在したロンメル元帥についての曲。ドイツの陸軍元帥の実話で、彼はヒトラーの暗殺計画に関与していたと疑いをかけられたの。その計画は失敗に終わって、事実が発覚したとき、ロンメルはランクの高い陸軍元帥だったから大変なことになって、彼は家族を救うため自殺を強要され、死ぬまでに15分の時間を与えられた。この曲はその最後の15分間についての曲で、家族を救うために自ら命を落とす決断をすることがテーマになってる。『Silence Yourself』というアルバム・タイトルも、この曲のコーラスからとっているのよ。悲しい曲だけど、ある意味とても興味深い、心を打つ曲で、この曲にだけ唯一、バンド外のミュージシャンが参加してる。デューク・ガーウッドがクラリネットを吹いてくれているの。アニメーションで映像作品も作って、すごく時間がかかったけど、本当に美しいものができたと思う。この曲はあまりライヴでやることがなくて……というのもピアノが必要だったり、明らかにとても違ったヴァイブがあるから演奏の仕方も違ってくるしね。ただ、レコーディングでも、必ず全員一緒に作業すること、同時に演奏することを大事にしたわ。

――わかりました。ところで、これまでの話にも出てきたジョン&ジェンというデュオを、ジェニーと一緒にやっていて、サヴェージズのプロデュースも手がけているジョニー・ホスタイルという人は、バンドにとってどんな存在ですか?

G 彼はバンドにとって本当に大きな存在ね。ジョンと対面したのは、ジェニーと初めて会ったときと一緒で、当時の彼は女性ギタリストを探していた。その頃の私は技術的なトレーニングも何も受けてなかったし、完全に独学だったんだけど、そう言ったらジョニーは自分もそうだって言って、そこが気に入った(笑)。私達はアートについて話すときの感覚が似ているし、サウンドに関して抽象的なことを彼に説明するのも簡単だというか、すぐお互いの言いたいことを理解し合える。アルバムをレコーディングしたときも、サウンドに関するコミュニケーションにおいてという意味で、彼と一緒だとすごく直感的にできたのよ。

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