UKのベース・ミュージックにはすごくインスパイアされる(タイゲン)
――サヴェージズは先日USツアーも終えてきたばかりですが、それぞれワールド・ツアーを経てきた中で、あらためてロンドンの音楽シーンについてどう思うか教えてもらえませんか?
ユウキ イースト・ロンドンとサウス・ロンドンのバンドでは全然違うよね。若いバンドと古いバンドでも違うし。
タイゲン イースト・ロンドンのバンドは、言ってしまえば“トレンディ”なバンドばっかりだよね。だから僕らの好みではないな。
ユウキ あいつらはフェイクだよ。
フェイ・ミルトン(以下:フェイ) ロンドンのバンドにコミュニティ(共同体)というの存在しないと思うの。もちろんバンドはたくさんいるけど、「ロンドンのバンドはこうでなきゃいけない」っていうルールは無いと思うわ。
タイゲン 常に変わり続けているんだよね。次々と新しいバンドが新聞・雑誌・Webのようなメディアで取り上げられては、すぐに消えていくんだ。
ユウキ そう、何ヶ月もプレイしないうちにね。で、消えちゃう。
タイゲン 何週間っていう短いタームで、ロンドンの音楽シーンはどんどん変わっていくんだよ。
ジェニー うんうん。それがBO NINGENにコラボレーションを打診された時に、迷わず「イエス」と答えた理由でもあったのよね。正直なところ自分たちにやれるの? とは思ったけど、これは大きなチャレンジだし、今後もコラボを続けていくべきだと思ったんだ。フェイが言ったようにロンドンにはバンド同士のコミュニティがほぼ存在しなくて、みんな自分たちのビジネスだったり、マネージメントだったり、そんなくだらないことばかり気にしてるのよ。特に、若いジェネレーションがね。だから私たちみたいな繋がりは、ロンドンでは本当にレアなケースなの。同じ世代で、同じ影響も受けているし、その上で全然違うバックボーンを持っているからね。
――コラボレーションについて詳しく教えてもらえますか?
ジェニー 40分におよぶ楽曲を書き上げて、それを5つのチャプターに分けたの。ダダイスムのアイディアね。2つの言語でポエトリーを同時に読み上げる…ってアイデアだったんだけど、そこから世界における“個”をお互いに作用させたり、引き出してあげるってコンセプトなの。私はフランス人だから、最初は日本語とフランス語でやってみた。まずはヴォーカル(ポエムの読み上げ)だけで始まるんだけど、そこから徐々に楽器が入ってくるの。つまり、たくさんのことが同時進行で起こっているのよ。今こうして8人が座っているように、きちんとセッティングして(笑)。
タイゲン 2台のドラム、3本のギター、2本のベース、そして2人のヴォーカルがいて……。
ジェニー U字のように並んでね。“バトル”と呼ばれる4つ目のチャプターではすごく激しくなるの。目隠しでプレイしてる感覚に近いかな。ドラマーの合図に合わせて、片方のヴォーカルが「ウワワワ―!」っ叫んで、さらにもう片方のヴォーカルも「ウロロロー!!」って叫ぶの。それぞれの違った側面を見られるんだけど、ダイナミックでとにかく楽しかったわ。東京でもあのパフォーマンスがやれたらいいわね!
タイゲン 次回は絶対やろうよ!
ジェニー あれはちゃんと映像に収めるべきよ。で、ロンドンの音楽シーンについてだけど……。ぶっちゃけあまり良く知らないのよね(笑)。
タイゲン ロンドンはバンド・ミュージックよりクラブ・ミュージックのほうがずっと盛り上がっているんだよね。最初にロンドンに行った時は、インディのバンド・サウンドにすごくガッカリさせられたんだ。でも、今はUKのベース・ミュージックにすごくインスパイアされている。自分たちのリズムやビートの骨格部分であったりね。ただ、残念ながらバンドで感銘を受けた奴らはほとんどいないな。いや、たしかに良いバンドはいくつかいるんだけど、「シーン」というものが形成されにくい分、それを探しにくいというのはあるかも。
ジェマ エレクトロ・ミュージックのほうが、ちゃんと「シーン」が出来ていると思うんだよね。
タイゲン そう! もっと「繋がり」があるっていうかね。
ジェマ 20〜30組ものアーティストが繋がっていながら、それぞれのストーリーもちゃんとあるわ。