2月8日、Seihoが自身のTwitterにて突如発表した正体不明のイベント<靉靆(あいたい)>。公開された情報は、都内某所で開催されること、そして煙のようなデザインのホームページのみにもかかわらず先行チケットはあっという間にソールドアウト。
昨年からおでん屋をスタートし、夏には、アメリカツアーにて、去年最後の開催となった<Low End Theory>に出演。また、矢野顕子、KID FRESINO、Mame Kurogouchiとのコラボレーションなど、濃度の高い経験を積み重ねてきたトラックメイカーのヴィジョンはどうなっているのだろうか? またそんなSeihoが新たに始める<靉靆>とは?
気になってしょうがなかったQetic編集部は、今回のイベントについてSeihoに本人に訊いてみた。
Interview:Seiho
<靉靆>ってSeihoさんにとってどんなものですか?
22、3歳の時に自分でレーベルをスタートさせて、キャリアの緩やかな山みたいなのをようやく登って下り終え、この数年、いろんな方々とものづくりをし、過去の2011~2016、5年間くらいで自分が作ってきた山をいろんな人と共有させて頂いた年でした。さらに同世代のアーティストと話す機会が多かったり、自分の居場所の確認ができ30代になって次の山に行こうかなと。なので今回のショーはその最初の動きと言えるかもしれないです。
<靉靆>の核となるものは?
これから、この公演に関わってくれているクリエイターさんたちも発表されるんですけど、何を作るかというよりかは、どんなものが出てきても、その人から出てきたものであれば100%受け入れられる、信頼してるから「自分とはちょっと違うけどOK!」っていう人たちと作っています。それがこの公演にとって一番大事な部分です。
クローズドにした理由は?
今回、情報をクローズドにしたのは「自分だけが知っている」っていうことを認識してほしかったことが大きいです。各々が「情報の価値」をどうやって付けていくかが大事なんじゃないかと思っていて。その少ない情報の中で集まってくれた人たちで、ショーを作り上げたいなと思いました。
<靉靆>のコンセプトは?
<靉靆>はまどろんだ雲をイメージしています。雲って確実に存在はしてるけど、掴めないじゃないですか。「気持ち」もそうで、この人がこの話をしてるのって自分に好意を持ってくれてるからなのかなとか、ただ単に話の流れで言ってるのか、意地悪で言ってるのかなって考える時があると思うんですよね。けど、本人もそれを意識してやっているわけじゃなくて、ぼんやりそういうことをしていると思うんです。そういった、掴めない複合的な感情っていう意味合いもあります。 今回のショーをクローズドにしたのもそういったことを感じてほしくて。一方向から情報を見ても答えは見つからないし、かと言って多角的にその情報を見ても、見つかるわけでもない。根本的にどこかから見たら答えがあるんじゃないかなとか、深いところからみたらあるんじゃないかなとか探すけど答えはどこにもなくて、公演は存在してるけど、全体的にフワっとしていて正解はどこにもない。重要なのは自分が見たり感じたものの中から、自分なりの正解をどう探すかみたいな感じかな。でも<靉靆>のコンセプトからしたら、それ自体も正解じゃないんけど。
<靉靆>で表現したいことは?
土曜日のお昼ぐらいにクラブから帰ってきて、ごはん食べてちょっとぼーっとして、寝ちゃって起きたらちょうど夕方の5時くらいみたいな。なんか1日無駄にしてしまったなっていう感情と、そのとき動かなきゃいけない、電気をつけなきゃいけないって思うけど動けない。意外とその時って気持ち良いじゃないですか? 今回のショーをやる前からずっとやりたかったのは、そのまどろんでる瞬間。「あーやってしまったな」っていうなにもない30分とか、ぼんやり考えながら天井を見つめて、時間だけが過ぎていくあの瞬間。ああいう感情の表現をしたいなと思ってて。僕の中でその時間のテーマはずっと根本的にあるんです。クラブでのパフォーマンスも、こっちがアグレッシブに動くことによって、感じる時間の長さを変えたいというか。音楽って時間芸術だから、長い時間を短くしたり、すごい短い一瞬の時間を長くしたりすることが一つの面白さとしてあると思う。僕のライブやDJでも、そこを操作しようと思って、積極的に自分が動いたり、突然動かなくなったり。生花とか牛乳のパフォーマンスもそう。時間をどうやってふんわり歪ませられるかみたいな。今回はそれが結構反映されてる気がしますね。
今回の公演について、まだ秘密が多いですが、後悔させないよう頑張りますので、2月15日の17時からチケットの一般発売、ぜひチェックしてください!
Photo by Kazma Kobayashi