––––おそらく、現在ベース・ミュージックはDAWやサウンドシステムの進化でベースのミックスは変化しています、そのあたりをエイドリアンと話したりというのはありましたか?

うん、そこはあったよね。だから、僕はエイドリアンに僕自身の作品etc、色々と聴かせたし……まあ、そうでもなければ彼がそれらに触れる機会もなかっただろうしね! ただまあ、究極的には……僕達は人々の注意を惹きたいんだよ。それは何かというと、実はとても大事なことなんだけど、ベース・ミュージック界における、ものすごい速さで変化するトレンドやファッションとその変化の性質ってことで。というのも過去数年、インターネットのおかげでベース・ミュージック・シーンの変化はハイパーに加速しているし、それは要するに……言い換えれば、今流行っているものも、2年も経ったらダサいものになってしまう、そんな状況ということで。で、今回のプロジェクトで、『Late Night Endless』というアルバムで僕達が本当に捉えたかったのは、それよりももうちょっとタイムレスな何かをクリエイトしたい、そういうことだったんだと思う。それもあったから、僕達は「もっかの最新」と言われているスタイルだの流行をそのまま自分達の作品に組み込もうとするとか、トレンドに乗っかるといった誘惑に抵抗しようとしたし、そうした諸々からこのアルバムを完全に遠ざけようとしたんだ。そうやって、流行云々に関係なく、「僕達自身はこの作品にどうアプローチするだろう?」、ただそこだけに専念したっていう。もちろん、同時代の様々な音楽からの影響を完全に無視するなんて不可能な話だよ。ただ、僕達がこのプロジェクトの、それこそ発端から集中していたこと、熱心に考えていたのはその点だったし、そうやって僕達としては、できれば今から15年、20年後に聴いても意義があって、聴く人間の興味を掻き立てることのできる、そういうアルバムを作れればいいなと思っていたんだ。

––––それは、あなた達がダブ/ベース・ミュージックの根本、根源的な価値観に帰ろうとした、ということでもあるのでしょうか? 

いや……っていうより、それよりもとにかく、何がトレンディで何がファッショナブルなのか、あるいは逆に今は何がイケてないのか、今の世界の音楽シーンはどうなっているのか、そこらへんを意識しようってことだったんだと思う。だから、意識した上で、それらのトレンディな趨勢に接近し過ぎたり、あるいはそこに無闇に乗っかろうとしないっていう。たとえば、僕達が今回フットワークのアルバムかなんかを作ったとしたら––––。

––––(笑)。

それはまあこの先半年くらいは「めちゃクール!」ってことになるだろうけど、たとえば5年後にはそうでもなくなっているんじゃないか、と。だから、今回僕達がとったアプローチというのは、ある意味「何がトレンディか」という意識の外にあったというのかな。そうしたことは考えずに、これからも寄せては返す様々なトレンドと言う名の波、願わくはその荒波に耐えることができる何かをひとつにまとめよう、ひたすらそう考えながら作ったものだっていう。

––––このコラボレートは、今後も永続的に続くプロジェクトでしょうか?

うん、ぜひそうなればいいなと僕は思ってる。それに、僕達の側にも今回はまだプロジェクト全体のほんの表面をかすっただけだって感覚があるし、さっきの話にも少し出て来たように、僕達が本当にやりたいと強く望んでいることのひとつは、自分達ならではのプロダクション、そしてソニックを掴むってことなんだよね。だから、さっきも話したように「1+1=2」以上の何かを生み出したい、シャーウッドとピンチではなく、それ固有の何かとして成り立つものを作りたいっていうことで。で、そのためにこれまで僕達は多くの時間とエネルギーを投資してきたわけだし、うん、だから今後もこのプロジェクトが続いていってくれればいいな、と。僕としてはこのプロジェクトが1回きりのものだとは思っていないし……仮にこれがそういう性質のプロジェクトだったとしたら、僕達はこんなに時間をかけることもなく、もうちょい手っ取り早く何かサクッとリリースしていたはずだからね(笑)!

Release Information

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