アディダス オリジナルス (adidas Originals/以下、オリジナルス) が、ブランドのヘリテージを次世代に向け再構築する「adidas ENERGY」コレクションから、東京カルチャーを世界に向けて発信する「TOKYO ENERGY (トーキョー エナジー) 」の新たなスニーカーを発売。5シーズン目となる今回、モデルやフォトグラファーとして活動する、柴田ひかりとのコラボレートコレクション「TOKYO ENERGY HIKARI SHIBATA」を発表した。
唯一無二のムードを纏い様々なブランドでモデルとしても活躍する彼女だが、フォトグラファーとしても今年9月に<柴田ひかり 写真展 “THROUGH THE WINDOW”>を開催。また自身が手がけるプロダクト「peep inside head」でも、発売直後に即完となるなど、幅広い場面でクリエティビティを発揮させ、多くの人を惹きつけている。
「TOKYO ENERGY」では、そんな彼女と「FORUM 84 LOW CL」、「RIVALRY 86 LOW」、「CAMPUS 00s」を用いて、全5モデルを再構築。柴田ひかり自身が愛用する80〜90年代のヴィンテージアイテムをイメージソースに、独自のセンスによってクラシックスニーカーを刷新させた。今回、柴田ひかりに「TOKYO ENERGY HIKARI SHIBATA」での制作背景をはじめ、アイテムのこだわりについて話を訊くと、多様な表現に通ずる美意識が垣間見えた。
INTERVIEW:柴田ひかり「TOKYO ENERGY HIKARI SHIBATA」
──柴田さんは、普段のスタイリングの中でも、アディダス オリジナルスのスニーカーを愛用されていますね。
自分のスタイルには、ハイテクなスニーカーよりもローテクの方がハマるなと思っていて。ローテクといえばアディダスみたいなイメージがあるんですよね。
──今回どのアイテムにも「トレフォイルロゴ」(※三つ葉のロゴ)があしらわれていますが、アディダスはどんなイメージですか?
名前がなくてもこのロゴを見ただけで“アディダス”ってわかることがかっこいいなと思います。だから、今回のデザインにも絶対に欠かせないと思っていたんです。アディダスは、CAMPUS、FORUMもSAMBAなど、同じものがずっと形を変えながら残っているのはすごい。普遍的でありながらも変わらないところがとてもかっこいいですね。
(※)「アディダス オリジナルス」は、かつて「adidas」のカンパニーロゴだったトレフォイルロゴ(三つ葉のロゴ)を冠にし、ストリートスポーツウェアブランドとして2001年に登場した。
──今回コラボレーションのお話が来た時にはどんなお気持ちでしたか?
「TOKYO ENERGY」では、アーティストやクリエイターの方が多く、私みたいなタイプの人があんまりいないので、「私でいいんですか?」というのが率直な感情でした。
──コラボコレクションを通して、柴田さんのワードローブにある「80〜90年代のヴィンテージアイテムがイメージソース」と伺いましたが、なぜそこをピックアップしたんですか?
今まで「TOKYO ENERGY」でコラボされている方は、テーマがその方の象徴的なものだったので、「一番自分らしいものって何かな?」と考えた時に“古着”がその中の一つかなと思ったんです。自分のクローゼットをイメージするようなコレクションにしたくて、古着からインスパイアされたものにしました。
──アイテムにはどのように反映されたんでしょうか?
「RIVALRY 86 LOW」のスリーストライプスに採用したリボンは、90年代のフリースとかによく付いてるチロリアンテープをイメージして、一から作りました。資料を集めている時は、80年代、90年代のアディダスのアイテムをすごく見ましたね。服、靴のカラーリングは参考になっています。
──名前も入っていますね。
HIKARI.Sって名前が入ってるのいいですよね(笑)。元々「RIVALRY 86 LOW」にはここに文字はなくて。アディダスさんから「ここに文字も入れられます」って言われて、「それなら入れちゃおうかな」みたいな感じでいれたんですけど(笑)。スリーストライプスに手を加えることも珍しいそうで、だから奇跡の一足みたいなところもありますね。もしかしたらこの先できなくなることが詰まってるかもしれないので、今できることをやったというか。しかも意外となんでも合わせやすく、いい意味で主張があんまりないんですよね。
──YouTubeでデザイン画を映していましたが、リボンを柄のデザインする段階からスケッチされたんですね。
そうですね、でも一番行ったり来たりしました。質感だったり糸の細さだったり、地の色とか糸の色とかこだわって、結構時間がかかりましたね。
──「CAMPUS 00s」は2000年代に販売されていたものがアップデートされて、去年リリースされたモデルですね。
これは余計なことをせず、クラシックなデザインにしようと思って。先進的なものをまたちょっと戻したというか(笑)。当時らしさをこの先進的な形で作りたいなと思って。
──リフレクターの2ndシューレースやエンボスのロゴなど、柴田さんらしい細部へのセンスが光ってます。
余計なことをしないっていうのがポイントだったんですけど、あとはちょっと自分らしさでもあり、みんなの気分を考慮してのことでもあります。本来はスウェードのアッパーを変えたり、シューレースをオリジナルよりも細くしたり、ロゴも新しいものにしたり、これは全てに共通してるのですが、頭の片隅で考えていたテーマとして“違和感”があると思います。「アディダスらしさがあるんだけど、どこか違和感がある」みたいのを作りたかったんです。
──「アディダスだけど、アディダスなの?」みたいな。
私が作るものは結構シンプルなものが多いので、それをどう自分らしくするか考えていたんです。シンプルでクラシックを感じるという点を意識しながら作っています。
──アディダスのアーカイブをご覧になった中で、一番ピンときた部分は?
80年代、90年代のアディダスのカラーリングを採用したところです。アディダスのカラーチャートを見ながら制作したので、ほとんど自分が描いたデザインのまま作れました。細かい調節はあったけど、自分が最初に想像したものをそのまま形にできましたね。
──アイテムの着想はスケッチから入るんですか?
そうですね、基本的に絵を先に描いてます。今回も全部一回描いていますね。描いて決めていくイメージです。
──では「FORUM 84 LOW CL」について。YouTubeでもお話しされてましたが、かなりお気に入りな印象を受けました。
一番気に入ってますね(笑)。全部気に入ってるんですけど、これは深みがあるというか。全く別のものにしたかったので、素材を変えたり、ナイロンを使ったり、ストライプスを変えたり、こっちは余計なことをいっぱいしています(笑)。
──こちらも生地違いにするっていうのは、スケッチの段階から?
ほんとは全部ナイロンにしたかったんですけど、性能の関係とかでナイロンにするとすごい張ってしまうんですよ。ハリが出るナイロンだとヴィンテージ感のあるクタッと感がなく、本当に履き潰さないとクタっとした感じがでないので途中で変えました。ガムソールに変えたりとか、こういった部分は80年代のアディダスのシューズを参考にしてカラーリングしました。実物が写真より可愛いんですよ。服にも馴染みます。
──YouTubeでコーディネートも披露されてましたが、AURALEEやLEMAIREなど、ミニマルで過剰な演出をせず、機能的でエレガントなブランドと合わせていて。なおかつスポーティーすぎないという印象を受けました。
この5つは色んな人に履いてほしくて、「CAMPUS 00s」も攻めた色と守りの色と一個ずつ作ったんです。アディダスってスポーツブランドだからスポーティーに着るみたいな先入観もあるかもしれないので、幅広く楽しんでもらうためにシンプルなシャツとかカジュアルなものにも合わせられるっていう提案として、YouTubeではそういう着方をしました。
KOR) Autumn look with my adidas shoes👟
──ご自身でプロダクトを制作されている「peep inside head」でも、スタイリングされたアイテムと通ずるような美意識を感じます。
まず、今自分が作ってるものに関しては、なんでブランド化しないかというと、自分がどんどん成長していくのに合わせたプロダクトを作りたい気持ちがあるからです。多分今がその段階だから、そういう風に見えるかなって。たぶん今の自分の気分がちょっと綺麗めな、ちょっとクラシックな感じっていう気分。だから、そういうプロダクトが増えてるのかなって思います。
──アイテムはどういうところから構想されるんですか?
普通に生活していて、「あんなのあったらいいな」とか「こんなの欲しいな」とか、そういう物欲が止まらなくて(笑)。でも、その物欲が止まらないからこそ、作りたいものがどんどん増えます。自分が必要としているけど、意外と世の中を探してもないもの。じゃあ自分で作ろうかなって言って作ったのが始まりです。
──アイテムでいうと、生地感や着丈、丈感など、痒いところに手で届くみたいな。そこで、少しユニークさを出すみたいな意識がありますか?
丈感や大きさは普段作る上で一番重視していますね。シンプルだからこそ、そういう形とか素材とかは気にはしています。
──それはシルエットとしてですか?それとも動きやすさとか機能性で?
どちらもですね。着心地悪い服って結局着なくなっちゃうし。うん、着心地1番、シルエット1.5番って感じ(笑)。
──柴田さんをアイコンとしてフォローしているメンズファンもいらっしゃると思いますし、現に男性も着られるアイテムになっていると思うんですけど、アイテムを作る際に、ファッションにおけるジェンダーは意識したりしますか。
意識したことないです。意識してないからこそ、そういうニュートラルなものが生まれるのかもしれません。今回も正直、どっちのものかわかんないです。自分が着ているものとかも、ジェンダーレスとかでもないっていうか。
──多方面なクリエイティブ活動を続けられていますが、創作意欲やモチベーションはなんですか?
好奇心ですかね。「楽しそう!」って思ったものを見切り発車でやるというか、自分に合ってたものは全部続いてるし、合ってなかったらもうすぐやめる。そこは結構自分の性格っていうか。ほんとに好きだって思ったものは長く続けられるタイプなので。
──壁に当たったりはしないんですか?
好きでやってるので、あんまり辛いとか思ったことないです。壁に当たったやつは多分好きじゃなかったやつというか、「向いてないかも」と思って、そこですぐ軌道修正するというか。よく言えば柔軟っていうんですかね? 諦めがいい(笑)。
──写真や洋服のスタイルだったり、一定の柴田さんだなっていうムードがありますが、アウトプットに落とし込む時に、意識している共通のことや、自分の無くさないようにしてってところとかはあったりしますか?
あんまり意識はしたことないんですけど、好きなものが割と根本から変わってないから、何をしても統一感があると感じてもらえるのかもしれません。あと、良いなって思えるものが多いかなと。「あれもいい、これもいい」って、色んなものを好きになって、それが自分に繋がってるのではないでしょうか。なんか固くなっちゃった(笑)。
──柴田さんは影響力を持つ本当にアイコニックな存在だと思うんですけど、そのことにストレスを感じたりとかしますか?
全然ないですし、正直、人に影響を与えてる実感もないですね(笑)。もちろん、その期待には答えたいと思ったり、楽しいことを提供したいっていう気持ちはあります。「写真展やります」って言った時も反応がそんなになくて、大丈夫かなって思ってたんですけど、実際やってみたら想像した以上に来てくれるなど、自由気ままにストレスなくできてます。
──最後に今後のやってみたいことがあれば教えてください。
先の予定を立てるのがすごい苦手で、結構すぐ動いちゃうというか、「これ欲しい」ってすぐそれに向かっちゃう。なので、時間をかけて、長期的に計画をたててスケジュールをこなしてみたい。今回のコラボは今までの中でも1番長期的に計画をたてたと思います。これからもそういった企画をやり遂げていきたいです。
Text/Edit:Yuto Nakamura
Photo:Cho Ongo
PROFILE
柴田ひかり
独自のファッションセンスとライフスタイルをInstagramやYouTubeをはじめとするSNSで発信し、絶大な人気を誇る。また、モデル活動に加えてフォトグラファーとしての一面も併せ持ち、都内外含め写真展を開催。映像やアパレルなど様々な形でクリエティブするPEEP INSIDE HEADのディレクションもつとめる。
Instagram (@shibatahikari)|Instagram (@rkhtbs)|YouTube
INFORMATION
TOKYO ENERGY HIKARI SHIBATA
2023年10月21日(土)一般発売
FORUM 84 LOW CL 自店販売価格¥17,600(tax incl.)
RIVALRY 86 LOW 自店販売価格 ¥16,500(tax incl.)
CAMPUS 00s 自店販売価格 ¥16,500(tax incl.)
<取扱店舗一覧>
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アディダス オリジナルスショップ ららぽーとTOKYO-BAY
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*RIVALRY LOW 86 (IE7337) / FORUM (IG4127)のみ取り扱い