――2011年はリリースもありつつ、バトルもありつつで濃い年だったんですかね。そして、2010年に続き、<UMB>2連覇を果たした訳ですが。その時はどう感じましたか?
あの時は勝つ気なかったんですよ。あんまり入れ込むのもしんどいし。アルバムを作ったっていうのもあって、フリースタイルに上手に向き合えて無かったこともあって、それで東京予選はまあ負けちゃったんです。それでやっぱりくやしくて、切り替えて3 on 3、敗者復活戦と、目の前の試合を勝っていこうと思って、それで気が付いたら本戦も優勝してたっていう感じでした。だからこの年は、すごい目標だったって言う事ではなかったんです。
――2012年には、晋平太さんが中心となって『M.B.A~mic battle association~』というコンピレーションを作りましたが、これはフリースタイラー同士の繋がりを考えてのことですか?
どうしても大会側の思惑通りになっちゃうというか。僕らもその大会に一個一個出てるだけだと、そういう風になってしまうのは良くない。こっち側としても、もっと面白いムーブメントにするには、やってる側が発信していくことも重要なのかなって。僕が中心って訳でもないですけど、全国のフリースタイル上手いやつらと連携し合って何かやれたらいいなと思い、コンピレーションを作ったんです。どうしても普段バトルしちゃうから、仲良くなれない瞬間とかもあると思うんすよね。そうじゃなくて、より繋がれたらいいなっていうか。あとは、本当は仲良いのに、それを表現する場がバトルしかないとかだと、なんかちょっと不自然かなとも思ったし。
――2012年で<UMB>を引退と事前に発表しましたが、どういった真意があったんですか?
<UMB>もあれだけでっかくなってるし、自分今年でちょうど30歳だし、世代も変わった方がいいかなって。今後はもっと若い子のものになるだろうし、もっと色んな人を巻き込めるようになって風通しが良くなった方がいいじゃないですか。でも2012年はマジで優勝狙ってたんですけど、計画狂っちゃった(笑)。
――そうした経緯を踏まえて、今回ベスト盤をリリースする訳ですね。
特にここ3年くらいはフリースタイル中心になっちゃってきてたんで。でも俺の名前も、もう一回フリースタイルのおかげで知ってくれた人もすごい増えたんで、今しかないないだろうと。僕の場合、名前とかフリースタイルを知ってても曲を聴いたことがないとか、結構いると思うんですよ。そういう人が一番手を出しやすそうな、過去作の詰め合わせみたいな形で。
――冒頭の二曲が新収録曲で“I WILL #1”は割と名刺代わりっていうか。
そうですね。またなんか別のことで一番になりたいなと思って。フリースタイル以外の事でも。
――で、二曲目の“I Still Love You 2”でまたヒップホップへの情熱を歌っていますね。
情熱って言ってしまうのは、最近すごい恥ずかしいんです。年取ったからかな。まあ情熱なんですけど、そういう事を言いづらいっていうか…勿論好きだけど、上手くいってなかった時期には、辞めようかなって思った事もあって。普通に仕事もしてたし、ぶっちゃけ全然無くてもよかったんですよ、ヒップホップ。それでも、やっぱりラップするのがすごく好きなんで、だったらもうちょっと頑張りたいなって思って。
“I Still Love You”を作った時が22歳くらいで、俺は大好きだから一生やるよって簡単に言えたんですけど、今30になってそういう事を言うのって、やっぱり違うんですよね。同年代はどんどんやめていって、音楽を仕事にしてる人は少ないわけで。ましてや風穴を開くのは難しい時代じゃないですか。だからもう一度、好きだけでやるって言いづらいんですけど、逆にこういうときだからこそ、例えば同い年の人とか、もうやめちゃおうかなって思ってる人とかに、でも好きなだけでもいいんじゃないのっていうことや、今の流行りと自分の好きなヒップホップが違かろうが同じヒップホップなんじゃないのっていうのを言いたくて。
――ベスト盤のタイトル『TODAY IS A GOOD DAY TO DIE』って結構凄いなって思ったんですが。
別になげやりじゃなくて、今までのことはもういいやっていう。だからタイトルが『TODAY IS A GOODDAY TO DIE』って言って、今日は死ぬのに良い日だっていう、これはインディアンの言葉なんです。これにまとめたから、今までの俺を知りたい人はこれを聴いてくれればいいし、もう自分はこっから過去のことは気にしなくて生きたいなっていう気持ちなんですよ。何回フリースタイルで勝ったとか、もうそういうの関係無いよって今俺は思ってて、そういう風に、周りの人からも思っててもらえればいいなって。
――過去作全部聞き直してみたんですけど、もう本当、ブレが無いと言うか、常にポジティブだし、表現として前向きなんですよね。
確かにあんまりネガティブなことは言わないかも。本当は嫌なんですよね。人の悪口言ったり、人貶したりするのは。じゃあなんでフリースタイルバトルとかやってるのか謎なんですけど。
しかも楽曲は何度も歌うものだから、あんまり後ろ向きなことは言えないっていうか。
鎮座DOPENESS vs 晋平太
――ベストアルバムには今までの楽曲とプラスして、過去のMCバトルのベストバウト集を特典DVDとして収録してありますね。これも、やはりフリースタイラーとしての側面も一緒にパッケージして、はじめて晋平太のベストっていうのを伝えたかったからですか?
そうですね。多分こっち半分(DVD)は絶対俺にしか出来なかった事だし、こういう形でアルバム出せる人はいないと思うんですよ。日本では、自分以外で。どっちも足して今までの俺だったのは間違いなくて。だからこういう形にしたんですよね。
あと、最近YouTube文化すごいじゃないですか。声掛けてくれる子なんかも8割「応援してます、いつもYouTube見てます」とか。映像ってすごいんだなあって。だから、これからそういうのはどんどん使っていきたいなっていうのはあって。多分それこそYouTubeで知ってる人と、楽曲を知ってる人は絶対に一致して無いんですよ。それで一緒にしたかったっていうのがある。
――ちなみに、フリースタイルの魅力って何でしょう?
フリースタイルの魅力っていうのは、瞬間を切り取れるから、みんなで共有できるっていう事じゃないですか。多分ライブとかやっていても、例えばブルーハーブとか般若君とかの楽曲を知ってて、共感しにきてる人にだったらありえますけど、まだまだ俺の楽曲とか完璧に知らない人が多い場所で俺の曲を聴いて全員がそういう現象になることは極めて稀で。だけど、フリースタイルならそれができる。みんなが共有してる空気を表せる。ほんとに瞬間的なんですよね。ドドドーン!! みたいな。あるんですよね、みんなが火ついちゃう瞬間みたいな。
――なるほどー。それでは、晋平太さんにとってヒップホップって言うものはズバリなんでしょうか?
ヒップホップっていうのは、ズバリ…なんなんだろうな、だから、その、やれそうなことなんですよね。
――ラップを始めたきっかけにも繋がりますね。
そうですね。医者とか絶対目指すなんて最初から無理なんだけど、ラップはやれそうだから今まで来ちゃったっていうか。「俺の人生です」とか「命懸けてやってます」とか、そういう人もいっぱいいるだろうし、俺もこの歳まで続けてるんで、そういう気持ちが無いって言ったら嘘になるんですけど、その中でもなんかこう、ラップってどっちかって言ったら(自分に)合ってるなっていう。自分の人生、自分が生きてく道として、例えばお金を稼ぐ手段とか職業としてもそんなに不得意な事じゃないなと言う事を、ヒップホップに関しては思えるんですよ。だからヒップホップは、自然と出来る事。それに好きだから、努力出来る事。
――「好きが1番の才能」って言いますもんね。
そうですよね、多分、好きなんですよね。あとね、聴くとかっていうよりも、やるのが好きで、歌ってるのが好きなんですよね。だからフリースタイルが好きなんだと思うんですけど。
――では最後の質問です。晋平太さんの今後の目標はなんでしょうか?
やっぱラッパーとして本物になりたいなって言うのが次の目標ですね。本物のラッパー、マッチョくんやNORIKIYOくん、般若くんとか。そういったトップレベルのラッパーになりたいっすね。しかも誰しも認めてくれるような。そして、晋平太として人生を楽しんでいけたら1番いいなと思ってます!
――ありがとうございます!
(text&interview by Yu Nakazato)
Event Information
2013.02.02(土)「蝕」@渋谷GAME
2013.02.15(金)~16(土)@大阪
2013.02.22(金)「街おこし」@札幌alife
2013.02.24(日)「街おこし」@旭川
2013.03.09(土)@高知
2013.03.29(金)リリースパーティ@AXIS
2013.04.13(土)「NEW FUNK NIGTH」@沖縄
2013.04.27(土)@山口
Release Information
2013.01.25 on sale! Artist:晋平太 Title:TODAY IS A GOODDAY TO DIE FILE RECORDS RUDECD-1008 ¥2,625(tax incl.) Track List:CD Track List:特典DVD
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