「四角く」まとめてしまうのが自分のいつものクセなので、
それを壊したい
――今回もアートワークは限定盤と通常盤で非常に凝っていますけど、ジャケット撮影でカラスに扮していますよね。やはりコンセプトはカフカさんが考えられたのですか?
そうですね、カラスに私のカツラを被せるっていうのをどうしてもやりたかったんですよ。それが何ヶ月も前からあった構想です。まあ1stアルバムだし顔見せもあった方が良いでしょってことで、通常盤ではその逆をやってみたという感じですね。
――やはり最初のアルバムは「カフカ=カラス」しかないという感じでした?
むしろこのインパクトって、最初のアルバムのカヴァーでしか成り立たないと思っていて。このタイミングを逃したら二度と使えないアイディアだとも思っていたので、ひたすらゴネてました(笑)。好きなんですね、やっぱりカラスが。
――1stアルバムのリリースということもありますし、今まで聴いてきた中で人生最高の1stアルバムを教えてもらえませんか? 洋楽・邦楽問わずで。
渡辺真知子さんの『海につれていって』(78年)っていうアルバムがあるんですけど、いっとき自分の中のテーマ・ソングだった“迷い道”と“かもめが翔んだ日”が入ってるんですよ。だからそのアルバムが一番すごいんじゃないかと予想してて。というのも、実はアルバムとしてはまだ聴けていないんですけど(笑)。これからその衝撃にぶつかっていこうと思ってるところです。
――ドラムを始めた頃ってどんな作品を聴いていたんですか?
先生からもらったタンゴとかフォークロアのテープばっかり聴いてましたね~。私、楽器が楽しくて音楽に触れ始めたので、リスナーとしてはけっこう遅いんですよ。でも、さすがにもっと聴いてみた方が良いなと思って、かなり雑食に色んなアルバムを聴いてきたと思います。あ、1stアルバムではないんですけど、ジェイソン・ムラーズの『ミスター・エー・トゥ・ジー』(05年)はけっこう聴き込んだ気がしますね。
――プリッツのCMや『新堂本兄弟』への出演でカフカさんの存在はお茶の間に広く知られるようになったと思いますが、そのへんは日々実感していますか? 1年前とはぜんぜん状況が違ったりだとか…。
うーん、それこそCMが流れ始めた直後くらいには、小学生~中学生のコに「プリッツの人ですか?」って話しかけられることはありましたけど…(笑)。でも、街を歩いていて「シシド・カフカさんですか?」って訊かれることはそうそう無いですよ。生活が変わったわけでもないですし、自分自身の意識改革があったわけでもないですし……。ただ、やらせていただける仕事はすごく増えていて面白いですし、対バンの際にお客さんがあらかじめシシド・カフカのことを知ってくれているという状況は増えたかもしれません。「どうもはじめまして、シシド・カフカです」という最初の段階を踏まずにいけるというのは、今までの自分からしたらすごく大きいことですし、楽曲を一緒に歌ってくれるのも嬉しいですね。うん、だからライヴでいちばん実感しているのかも。
――そして、いよいよワンマン・ライヴが東名阪で控えています。ファンもばっちりアルバムを聴き込んでくると思うのですが、これまでのライヴとは気合の入りようがまた一段違うのではないでしょうか?
今までがわりと曲数の少ないワンマンや対バンが多かったので、今回は「たっぷりお聴かせします」という感じですかね。余すところなくお見せします! という心づもりです。
――分度器のバランスにも気を使われたアルバム『カフカナイズ』ですが、どんなシチュエーションで聴いてもらえたら嬉しいですか?
ホントに大きなアミューズメントパークなので、その中で存分に遊んでほしいですね。「四角く」まとめてしまうのが自分のいつものクセなので、それを壊して1曲1曲に遊びゴコロを必ず忍ばせるよう意識しているから、アルバムを聴いてくれたみなさんの日常の中にパッと遊びゴコロが咲けば良いなと思いますね。とにかく、色んなシチュエーションで聴いてほしいです(笑)!
(interview&text by Kohei Ueno)