音楽を奏でることは、私にとっては呼吸するのと同じようなこと
――いよいよ2月20日(水)に2ndシングル「music」がリリースされますね。3曲すべてが疾走感とライヴ感に溢れたロック・チューンに仕上がっていて、早くもライヴが楽しみです。今回も制作布陣やバンド・メンバーは共通ですか?
はい、前作と同じメンバーですね。
――2曲目の“リカバリー”ではホーン・セクションも取り入れていますよね。これはカフカさんのアイディアですか?
いえ、作曲してくれた平出悟さん(UVERworldのサウンドプロデューサー)の構想として最初からあった様です。生のホーンじゃなくて打ち込みなんですけどね(笑)。
――3曲目の“無敵のロックスター”では《Don’t let me down(私をガッカリさせないで)/あたしのロックスター》というフレーズがありますけど、これは実在のロックスターに向けて歌われているのでしょうか? 「ちょっと最近のロックたるんでんじゃないの?」みたいな…。
アハハ(笑)。実際に「この人」っていうのはいらっしゃらないんですけど、私が色んなライヴを見に行くようになった時って、もうドラムを始めていたんですよね。やっぱり自分の理想として「ロック・スターはこうあってほしい」「こうありたい」っていうイメージがあって、それはステージに立つ時の自分なんです。“music”がステージの上からの自分なんで、“無敵のロックスター”では客席からミュージシャンへの願望を投げていた時の気持ちを歌詞にしました。
――そう、僕はこの3曲がひとつの世界を形成していて、テーマとしては「ロックの再生」なのかなーと考えたんですよね。“music”のサビでは《生き返れ》と歌われるし、2曲目のタイトルは“リカバリー”、そしてラストが“無敵のロックスター”。これって意識的に狙ったわけではないのですか?
それは特に…。すみません(笑)。
――じゃあ、3曲通してのコンセプトがあったわけではないんですね。それぞれ別々の時期に書かれたものなんですか?
歌詞は書き直したりして、最終的に同じ時期にブラッシュアップしていますけど、今回の作品にはどれを入れるのがベストなのか? という曲の選び方をしています。
――なるほど。では、さっきネイティヴの言語についてお聞きしましたけど、“music”、“デイドリームライダー”、“愛する覚悟”、あるいはRina Moonさん(日本・韓国で活躍する作詞家)の作詞ですが“サバイバル”など、《~ですか?》《~ましょうか?》のように「敬語」が混じってくる歌詞が面白いなと思っていて。海外暮らしが長かったから、日本語ならではの「敬語」の響きに惹かれる部分があるのですか? このあたりはやはり百恵ちゃんに通じるものがあるかなーと。
もしかしたら、昭和歌謡の影響なのかもしれないですよね。The Newsでもそうでしたけど、私は年上の方たちと接することがすごく多いので、敬語を使うことがまったく苦ではなかったんですよね。ほとんど敬語がタメ口で話すような感覚だからか、敬語を使っている気にすらなってないというか(笑)。そういう意味で、ごく自然に出てくるものだと思いますね。
――前作「愛する覚悟」がモノクロだったのから一転、思いっきりカラフルなアートワークですよね。これはカフカさん自身がディレクションしているのですか?
原案は私から出させてもらいました。
――これって“デイドリームライダー”のMVと繋がってたりするんですか? 今回もペンキを塗ったくってますよね(笑)。
塗ったくってますね~(笑)。私としては“music”のイントロが一言であらわすなら「混沌」だったんですよ。だからアートワークでも「色」を混沌とさせたかった。もともと“music”には、自分の中から色んなものが飛び出していくーーという構想があったんですよね。メイクもトータルで8時間はかかったので、ヘアメイクさんにも頑張っていただきました(笑)。
――ちょうど今日(2/5)の午後から72時間限定でビデオクリップがお披露目されましたね。極寒のなか撮影されたそうですが、どこでロケが行われたのですか?
あれは千葉ですね。よく戦隊ものや特撮の爆破シーンを撮影するような場所です。
――“デイドリームライダー”に対して“愛する覚悟”のMVは拍子抜けするぐらいラクだったと語っていましたが、今回はまた過酷な環境での撮影でしたよね。あえてドMな環境に突き進んでいるように見える時があるのですが…(笑)。
“愛する覚悟”の撮影が終わった時に、「えっ、こんな感じで良いんですか?」って言っちゃったのがマズかったですね(笑)。その一言を見事にキャッチされて、「コイツは耐えられるぞ」って。でも、あらゆることがデジタルで簡単に済んでしまう中で、自分自身、生で、時間をかけてモノをつくるってことを大切にしていきたいと思っています。
――定点観測っぽい撮影手法でしたけど、大元のコンセプトはあったんですか?
やっぱり「混沌」としている楽曲なので、景色も次々と変えて混沌とさせていきたいというのもあったんですね。それで太陽の動きとか自然の動きを取り入れたりしました。音楽を奏でることは、私にとっては呼吸するのと同じようなことなので、屋外で自然と共に撮影しました(笑)。
――ところで、“デイドリームライダー”の中盤には“愛する覚悟”のイントロのギター・フレーズが入ってくるじゃないですか。それで…。
(パチパチと拍手しながら)すごい! なんで気づいたんですか? 気づいてくれたの2人目です(笑)。
――(笑)。で、“無敵のロックスター”には《ダリラリラ》という“愛する覚悟”での《ダーリン》を思わせる言葉があったり、先ほどのペンキまみれのアートワークであったり…。これまでの3つのシングルは、すべてリンクしてるんじゃないかと思っているんです。これも特に自覚はないですか?
それも後から…ですかね。今言われて気付いた部分もあるんですけど、(各シングルの)表題曲はその時その時の自分として立ち止まって詞を書いているので、どうしてもリンクしてくるというか近いものがあります。まったくウソのない、フィクションではない言葉を入れようとすればするほど、やっぱり繋がってきてしまうのかもしれませんね。