――では、今作について話を聞かせてください。今回はどういう作品になってると思われますか?

「さあ、行くぜ!」って歌ばっかりじゃないし、「もうダメだ」って歌ばっかりでもないし。泣いたり笑ったりするんだけど、何にしても最後は「もうちょっとやってみようかな……」っていう光があるようなアルバムにしたいとは常に思ってる。

――今回は特にSIONさんの温かさが滲み出てる作品だと、サウンドからも歌詞からも感じます。ケツを蹴り上げられるというよりも、肩を優しく抱いてくれるような包容力を感じました。

じゃあ、そういう風に書いといて(笑)。

――その辺はご自身では意識されてないんですか?

あんまりないんだけどね……。人にああだこうだ言えることやってないから、全部自分に対して言うようにはしてるんだけど……まあ今はこういう曲が必要だったんだよ。あとは、自分の好きな方を見ていたい。前は歌にしたくないことを書いたりもしてたけど、それはもうしない。

――“人様”でも、《唄にも出来ない事が続いてる/唄にはしたくない事は終わらない》と歌ってますね。

自分なりの戦い方、立ち方があるのかなぁって。そういう風に考え出したのは40ぐらいかもしれない。

――曲のアレンジはバンドメンバーが担当してますけど、みなさん、示し合わせたように温かみのあるアレンジを寄せていて。SIONさんから何か特別に注文したわけではないんですよね?

うん。頼んだ時点でその人に任せてるから。「ウッドベースが聴きたいな」とかそういうのはあるけどね。みんな、歌を聴かせる演奏やアレンジがとにかく上手いんだよ。

――今回はエレキギターを思いっきりかき鳴らすような曲がないですね。

割りとアコースティックな楽曲が多いかもしれない。

――SIONさんがそういうモードになってきてるってことですか?

どうだろ、さっきと同じになるけど、今はこれが必要だったんだよ(笑)。

――今回は、タイトルにもある通り、「空」がキーワードになってます。SIONさんには雨の歌も多いですけど。

俺は雨の歌が多いよねぇ……。でも、今は青空がいいなぁ! なんだか寅さんみたいだけどさ(笑)。

――そういう思いが随所に滲み出てますよね。今作を聴いて改めて思ったんですけど、SIONさんの音楽に出会うべき人がまだ会えてないと思うんです。今、そういう人たちに向けて自分の音楽を紹介するとしたらなんて伝えますか?

音楽って好き嫌いがすごいあるじゃない? でも、敵意を持たずにスッと聴いて欲しい。今の時代は全てに対して否定から入ることが多いけど、そうじゃなくて、ポトンと俺の音楽が届いたらいいな。こういう歌唄いもいますよって。

――ちょっとでも興味を持ってもらって、恒例となってる6月の野音公演に来て欲しいですよね。今年は30周年の特別な年です。

特別に何かっていうのはないかもしれないけど、あそこはベッドで点滴状態になっても続けたいな(笑)。

――それぐらい思い入れがあるんですね。ステージから見える景色って年々変わってきてるんじゃないですか?

だんだんもう近くも遠くも見えなくなってきてるから(笑)、空! 緑! ビル! ぐらいしか分からないけど(笑)。本当にね、今のうちに頭も体を使いこなしておかないと。あっという間だから!(笑)、「50代は楽しいぜ、60代はもっと楽しい!」とか言う先輩たちがいるけど、楽しくないって(笑)。あれは自分に言い聞かせてるんだから(笑)。あ、野音のステージから見える景色ね。空と緑とビルもいいけど、やっぱ参戦してくれてるみんなの顔が最高だよ。

【インタビュー】デビュー30年のSIONが語る—“俺は息をするために歌を書かなきゃいけない” interview150302_sion_sub3

text & interview by Daishi “DA” Ato
photo by 太田好治

SION -”俺の空は此処にある”

Event Information

SION-YAON 2015 with THE MOGAMI
2015.06.14(日)@日比谷野外大音楽堂
OPEN 17:00/START 18:00
ADV ¥6,480/DOOR ¥7,020
※学割 : 高校生までは当日学生証提出で¥1,500返金
LINE UP:SION with THE MOGAMI(池畑 潤二、井上 富雄、細海 魚、藤井 一彦)
TICKET:
先行発売 2015年2月27日~3月6日
一般発売 2015年3月21日
チケットぴあ(0570-02-9999)、ローソンチケット(0570-084-003)、イープラス

Release Information

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