わざとノイローゼになって、いとうさんからリハビリを受けて、それでも治らないというショー(みうらじゅん)

——最近の人は、面白い画像を撮るとすぐネットに上げちゃうじゃないですか? そこに対して、スライドショーは熟成させる、という価値もあるのでしょうか?

みうら そうですね、「そんなに早く上げてどうすんのよ?」って(笑)。

いとう みうらさんが、あたかも昨日見つけたかのようにしゃべっているものには、よく見てみると15年くらい前のもあったりしてね(笑)。だからそんなものをわざわざ出してきたもののおかしさを、まず辱めてからおもむろに言うんだよね、「96年に何をやっていたんだ?」って(笑)。

——なるほど。みうらさんは集めることに熱中しながらも、自分では「俺はおかしいな」と思ってらっしゃるのでしょうか? それとも冷静になりながら……。

みうら いや、自分がおかしいなと思っている段階ではまだ無理ですね。よそから「どうかしてる」の一言を言ってもらえなきゃ。

いとう 本気で夢中になって、すっかり当初の目的を忘れて、集める(笑)。例えば天狗を集めたときとかね。天狗なんて集めたってしょうがないでしょ?(笑)。もっとたくさんの天狗を集めているおじさんがいるというこの世界で、この人はわざとやっている。それもわざと変な天狗しか集めない(笑)。

みうら あのときは、天狗の鼻が一番長いやつを見つけるというテーマをつけたから「それだったら、どこかにもっと長いやつがあるんじゃないか?」って。よく鼻の長さを測りに行ってたけど、面の大きさによって違うんだよね(笑)。比率を考えてなかったね。あと掛け軸だと、天狗は上向いているんだけど、上に雲がかかっていていて長さが分からないとか。そういうことをする人がいるということは、やっぱり天狗の鼻の長さは、昔から問われたものなんだ。歴代ロンゲスト問題(笑)。そんなことを考えているとね、「何をやっているんだ?」ってツッコミが(笑)。

いとう そう「今さら何をやってるんだ?」って。あと、赤けりゃいいと思うなよ、とか(笑)。

みうら それを思うことによって、自分をわざとノイローゼにして、いとうさんからリハビリを受けてそれでも治らないというショーなんですよ(笑)。

いとう 俺という病棟に入ってね(笑)。しばらく患者さんはずーっと天狗のことを話しているけど、”もうやめなさい”と言われて“分かりました”と言って帰る、という。治癒だよね。

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——治癒されたところを、お客さんに見ていただくという……。

みうら そう、でもやっぱり気が付いたんですよ。俺だってそりゃ気が付くさ(笑)。気が付いてからは、違う段階に行っているから。前は”こんな写真を出すなよ!”って怒られていたんだけど、いとうさんはなぜかネタ以外のところをツッコミ出した(笑)。

いとう いや、それはやっぱりお客もこっちを期待しているだろうから、ずらしたい、というところがあるんだよね。あと一刀両断に「集めんなよ」って言っても、お客さんがみうらさんの味方になる度合いが強くなる(笑)。だからあまり無碍に扱うと「いとうさん、ひどいじゃない!?」っていうモードになるんだよ。だからしょうがないから、“分かるよ、分かる”と冷たく言っている。そのほうがおかしいから(笑)

——一方で、スライド形式というのは何かこだわりがあったのでしょうか?例えば動画というのも……。

みうら 動画も途中で何回かやりましたね。

いとう でも動画は途中で突っ込んで止められないでしょ? そうすると僕がコントロールできなくなっちゃう。静止画だと、みうらさんの説明で動き出す。それで俺が“ちょっとまって!”っていうと止まるんだけど、動画は行きっぱなしになっちゃうんですよ。止めると面白くないし。

みうら 関係ないところでも突っ込んだりすることもあるから、一枚の静止画面がいいんですよ。ショーには向いている。

いとう そう、意外に静止画のほうが情報量が多いともいえるしね。

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一回ドカン! とウケちゃったら、中毒のようにもっとウケたいと思ってより快感を受けたくなる(いとうせいこう)

——長い間、どう突っ込んでいいか、とかこういう画を、みたいな、いろんなこだわりをもってネタや見せ方を熟成されていると思うのですが、実際これだけ続けられると、“もういいかな”と思われることはなかったのでしょうか?

みうら いや、それはなかったですね。仕事でやらなきゃいけないと思うと嫌だし、集まったときにやっているだけだから。仕事意識が薄いといえば、薄いです。だから例えば「武道館なのにこんなことをしたい」みたいな考えが大きくて、台無しにするネタを持っていったり(笑)、ハワイなのに北海道のネタを持っていったり、というのをわざとやってね。

——でも例えば始まる前にはプレッシャーみたいなことも、あるということですけど、そういうものがたくさんあると……。

みうら うん、それは確かに。フリートークだからね、それは。どう転ぶか? 何か思ってもないことを言っちゃうと、そこから転がっちゃうから。それは怖いですよね。

いとう でもそれを何だか知らないけど、うまくいったなと思うときの喜びは、他では得られない。一回ドカン! とウケちゃったら、中毒のようにもっとウケたい、もっと俺が思うタイミングでウケたい、って。そうやってより思ったようなやり方をやって、より快感を得たいからやっているので、不快感ということはないんです。快感のためにただやっている。仕事でないというのは、そういう意味もありますよね。

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——では、もうやれるだけは、ずっと続けるという感じで?

みうら まあやれるだけ、というか、明日何を考えるかが分からないから、明日あれが面白いと思うかもしれないし、既成の面白いものは少なくしているから、何が飛び込んでくるか分からない。それを二人でまた揉んだら面白くなったら。そもそも面白くないものを……。

(みうら、いとう揃って) 面白くしているからね!(笑)

いとう それ、やらなくなっちゃうときは、2回くらい続けてウケてなかったときかな。「あれ、全然ロレってしゃべれてない」とか「お客をつかめてないわ。」と思ったらすっぱりとやめる。自分たちでやっている分にはいいけど、客を入れてやるとなると、笑わせる快感を得るためにやっているんだから、笑わないんだったら、やる必要もないし。

——行われる場所で“今度はやりたい”という思いはありますか? 当初は渋谷公会堂から武道館と、ショーを行われる場所がスケールアップされることもありましたが……。

みうら 渋公のときに、最後に「次のショーは」と出して「武道館決定!」って、どーんと出るとね。俺が何年も集めたネタよりウケました(笑)。だからもうそこに見合うのは、東京ドームじゃ面白くないと思うんです。あのときは武道館がおかしかった。こんなことなのに武道館かよ! っていうツッコミがまだ出るころだったし。

いとう だからあのあとに渋谷公会堂に戻ってからも“もっと面白いところはあるかね?”って話したことがあるけど、結果的にはなかったよね。

みうら だから次にハワイに行ったんですよ。

いとう そうそう、in ハワイが最高潮に面白かったね。だからそのあとに“in ナントカ丸”となんかの船でやるのは、企画としてはあるだろう。って。

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——じゃあ、あとは宇宙くらいしかないですね(笑)。

いとう そう、宇宙船から地球にビビビってネタを送って「何のために宇宙でやってんだ?」くらいにやらないと(笑)、もうね。

みうら 小屋の面白さはもうないと思うんですよ。武道館公演って、普通は「おめでとう!」っていう場面なのに、大笑いになって(笑)。

——ちなみに、何か今後やってみたい試みなんかはありますか?

いとう このあいだもしゃべっていたけど、闇のスライドショーという企画とかね、みうらさんのエロネタばっかりという(笑)。

みうら エロ部分ね。これはスライドショーでやってないんだよね。

いとう そう、ここはもうそれを子供たちも見られるようようなショーにしたい(笑)。今はR-18で男だけとか、女性だけという回もあるけど、そうじゃないやつをみうらさんと一緒にやって、そのとき俺が下ネタをどう下卑ないで笑わせるか、挑戦したい。すごいエロいものが出ているけど、嫌にならないっていう。そういうことができたら素敵で面白いなと思うから、そういうことは合間合間にやりますよ、きっと。

みうら ただ本当は、エベレストの写真でもいいはずなんですよ(笑)。どれでも十分結構いけると思うんです。

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そんなみうらじゅんが日常の何気なくも可笑しい場面を写真に撮り続け、いとうせいこうと共にボケとツッコミのトークを繰り広げるチケット即完の大人気イベン『ザ・スライドショー』。イベントでは、毎回来場者全員に「貰っても嬉しくないお土産」をテーマに、みうらじゅん自らが“いやげもの”と称するプレゼントが提供され続けている。

そして、今回映画公開記念としてオリジナルグッズ「仲良しマグネット」が登場! なんと二人の写真がマグネットになった『仲良しマグネット』を5名様にプレゼント! どこに貼り付けても、いつも「レジェンド仲良し」のお2人が見守ってくれるというご利益がありそうなこの一品、ドシドシご応募を!!

PRESENT INFORMATION

映画『ザ・スライドショーがやって来る!「レジェンド仲良し」の秘密』仲良しマグネット(5名様)

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応募期間

2017年2月21日(火)~2017年2月27日(月)24:00まで

みうらじゅん&いとうせいこう 20th anniversary
ザ・スライドショーがやって来る!「レジェンド仲良し」の秘密

新宿ピカデリー他全国ロードショー中

出演:Rock’n Roll Sliders[みうらじゅん・いとうせいこう・スライ]
監修:みうらじゅん/いとうせいこう
構成:おぐらりゅうじ
監督:伏原正康
製作:WOWOW
配給:日活/WOWOW

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