<第26回東京国際映画祭>のオープニングセレモニーにて、父フランシス・フォード・コッポラと共に登場したことも話題となったソフィア・コッポラ監督。ベネチア国際映画祭金獅子賞やアカデミー賞脚本賞はじめ、数多くの賞に輝く実績が語るように、作品毎に大きな話題を呼ぶ監督の作品であるが、12月14日(土)公開『ブリングリング』も例に漏れず。
本作は、無軌道なティーンがパリス・ヒルトン、オーランド・ブルーム、リンジー・ローハンなどハリウッドセレブの家に強盗を繰り返し続け、被害総額3億円にのぼると言われている、ロサンゼルス・ハリウッドで実際に起こった事件がベース。そしてこのセンセーショナルな題材でソフィア・コッポラ監督は新境地を開いているのだ。
窃盗団のメンバー5人のティーンを演じるのは、『ハリー・ポッター』シリーズでお馴染みのエマ・ワトソン。優等生から一変、本作ではハメを外しまくるティーンを演じている。さらに<アカデミー賞>にノミネートされたことのある女優ヴェラ・ファーミガの末の妹で『アメリカン・ホラー・ストーリー』第1シリーズにレギュラー出演したタイッサ・ファーミガ。ロブ・ライナーの『Flipped』(原題/日本公開未定)に出演のイズラエル・ブルサール、そして新人クレア・ジュリアン、ケイティ・チャンとフレッシュな顔ぶれが揃っている。
究極の青春映画であり、大人たちの心をえぐる『ブリングリング』。公開まで2週間を切ったこのタイミングで、Qeticはソフィア・コッポラ監督のオフィシャル・インタビューを入手した。本作で監督が伝えたいこととは? 早速読んでみてほしい。
Interview:Sofia Coppola
――「ヴァニティ・フェア」の記事を読む前に、“ブリングリング”窃盗団について聞いたことがありましたか?
ニュースがちょっと出たことは覚えていたけど、特に大きな注目はしていませんでした。でも「ヴァニティ・フェア」の記事を読んでいたら、なんだかまるで映画のようだなと思って。若くて可愛い子たちがセレブの世界で悪事を働いっていうのが、信じられなかったし、彼らの発言に本当に驚きました。それほど間違ったことをしたっていう自覚がないように見えたし、窃盗によって世間の注目を集めることに魅かれていただけのように思えて。その一連の出来事全てが、いかにもFacebookやTwitterで育った今の世代のことを表しているなと感じましたね。
――この話をどのように脚本化したのでしょう?
もちろん記者の記録や警察の報告書も読んだし、子供たちにも直接会って、できる限り理解しようとしました。それから、自分が同じような年頃の時にどんな事をやったり感じていたのかを考えて、関連付けようとしたり。例えば、友達と仲間を作ったことや、あの年頃にやったばか騒ぎのこと、どうやって仲間に加わろうかと思ったことなどなど・・・。彼らの親たちの描写について言えば、ネイエーズ姉妹(※実話のブリングリング当事者のアレクシスたち)の母親を実際に見たことがあったので、その経験を元に母親の個性を考えました。
――私はネイエーズ姉妹が、テレビのリアリティー番組「Pretty Wild」に出演していたという事実にも驚きましたが…。
そうですね。リアリティー番組と共に育った世代にとって、その番組の内容がどのように映るのか、この子たちが番組に出演したことでどんな影響を受けているのか、といったことを考えさせられました。プライバシーなんて無い、ということが当たり前になってきていると思います。この子たちに対する一般的な考えはどういうものか分かりませんが、とんでもないことをやって人々の注目を集めたのは確かだと思います。私たちは皆、時々センセーショナルな事件報道に興味をひかれますが、この子たちがやったのは、その極端な事例だと思います。