Wez Atlas、VivaOla、michel ko、Tommi Craneという20代前半の若手アーティスト4人による、東京拠点の音楽/アート・コレクティヴ〈Solgasa〉。それぞれが異なるルーツを持つバイリンガル/トリリンガルであり、アジアと欧米の距離が近づいた2010年代以降のR&B/ヒップホップをベースとした楽曲を、東京から世界に届けようとしている。

2010年代に活躍した「YouTube世代」が若くして様々な音楽を「受け取れる」世代だったとしたら、2020年代に活躍するであろう「サブスク世代」は若くして海外とも「繋がれる」世代であり、国の概念はますます融解していくだろう。ここ日本で長年議論されている「邦楽/洋楽」というカテゴリーも、いよいよ見直されていくのかもしれない。

そんな中で鍵を握るのは、〈Solgasa〉のメンバーたちのような、若くしてユニバーサルな感性を備えたアーティストであることは間違いない。9月18日(金)にはYouTubeでのライブ配信も予定しているという4人に、コレクティヴの成り立ちや、アジアと欧米の繋げ方、将来的なビジョンについて話してもらった(michel koは台湾からZoomで参加)。

Interview:
Solgasa(Wez Atlas、VivaOla、michel ko、Tommi Crane)

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VivaOla、TommiCrane、Wez Atlas(L→R)
michel ko(Zoom参加)

━━まずは4人がいつ知り合って、どのように〈Solgasa〉が始まったのかを教えてください。WezくんとVivaOlaくんはもともと高校の同級生だったそうですね。

Wez Atlas(以下、Wez) 出会いは高校ですが、〈Solgasa〉が始まったのは僕とTommi(Crane)とmichel(ko)の3人が大学で出会ったのがきっかけで、VivaOlaは後から呼びました。

VivaOla Wezとは高校3年のときに英語の授業で同じクラスになって、僕はそのときスマホアプリのガレージバンドで曲を作るのにハマってたんですけど、Wezが文化祭でマックルモア(Macklemore)のような高速ラップをやっているのを観てかっこいいなって思って、一緒に曲を作るようになりました。

━━出身はそれぞれ違うと思いますが、高校はインターナショナルスクールですか?

VivaOla いや、普通の都立高校でした。僕の両親は韓国人なんですけど、もともと日本に住んでいて、出産のときだけ韓国に戻って、またすぐ日本に来ました。

Wez 僕はもともと大分出身で、8歳のときにアメリカのコロラド州に引っ越して、アメリカで7年過ごしてから東京に来ました。

━━michelくんとTommiくんは?

michel ko(以下、michel) 僕は台湾出身なんですけど、お母さんが日本人なので、小さい頃から日本語が少し喋れて、大学に入るときに日本に引っ越しました。

Tommi Crane(以下、Tommi) 僕の出身は横浜なんですけど、7歳までタイに住んでいて、高校はブルネイに行ったり、東南アジアを回っていましたね。

━━そんなWezくんとmichelくんとTommiくんが東京の大学で知り合ったと。

Tommi 最初はmichelが曲を作ってSoundCloudにアップしていて、僕がそのアルバムのジャケットを作ったんです。僕は幼い頃から絵を描いていて、その後に音楽でした。で、WezもSoundCloudに曲をアップしていたので、僕がビートを作ったりしていましたね。

michel もともとWezくんとの出会いはサッカーなんです。僕は学校のサッカー部に入ってたんですけど、やっぱり音楽がやりたくなって。それで、当時WezくんがVivaOlaくんと作った“IDK”っていう曲をアップロードしていて、その頃から音楽のこともいろいろ話すようになりました。それが大学1年生くらいですかね。Solgasaが始まったのは大学2~3年生のときです。

solgasa

━━〈Solgasa〉を始めたのは何かきっかけがあったんですか?

Wez それまでは3人が別々で曲を作っていて、たまに協力し合うくらいでした。でも、コミュニティがあった方がお互いをサポートしやすいし、周りから見ても「あの人たち面白いことしてるな」って思ってもらえると思って、それでみんな一緒にやろうとなりました。
インスピレーションをもらったのはアジアとアメリカの文化を融合している88risingで、僕らも自分たちなりのものを作ってみようと思いました。

Tommi まあ、単純に4人でやった方が楽しいからね(笑)。もし、この4人で一緒に曲を作ったら、聴いたことがない音楽ができると思うんですよ。

Wez うん、普通に友達って感じだね(笑)。日本では「ヒップホップクルー」とかが多いけど……。

Tommi そういうのはまじめ過ぎてちょっと違うかなと思ったんです。もっと楽しく、友達としてやった方がいいものができそう。そういった雰囲気のほうが海外のスタイルにも近い気がして、だったらそれを日本にも持ってきたいなと思ったりもしました。

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━━オッド・フューチャー(Odd Future)とかもインスピレーション源になってるのかなと。

Tommi michelはタイラー・ザ・クリエイター(Tyler The Creator)がすごく好きだよね。

michel そうですね。でも一番好きなのはフランク・オーシャン(Frank Ocean)で、フランク・オーシャンの曲を聴いて、自分も音楽を作ろうと思いました。〈Solgasa〉の「gasa」は「傘」のことで、音楽のスタイルとかジャンルは全然違うんですけど、傘の中でみんなが一緒にいるイメージ。そういった意味もあって、「クルー」ではなく「コレクティヴ」って言い方をしてます。

Tommi 最初の案は「Parasol」だったんだけど、Wezが日本語を入れた方がいいって言って「傘」になって、「Parasol」の「sol」を残して〈Solgasa〉。「sol」はスペイン語で太陽っていう意味もあるんですよ。ロゴは僕の高校のときの友達のアーティストにデザインしてもらいました。

michel 英語で言う「Umbrella brand」みたいなイメージもあります。

※ Umbrella brand・・・
特定の製品ブランドに対して、ファミリーブランドやコーポレートブランドなどより上位となるブランドのことを指す。または、上位ブランドの傘下にいくつもの製品ブランドがある形態のこと。

Wez 例えば、「サントリー」という会社の中でも、お茶を作っていたり、ウィスキーを作っていたりしますよね。

VivaOla 俺たちがサントリーだったら、Tommiがウィスキーで……。

Wez 僕はなっちゃんオレンジ(笑)。

michel あとは全部in-houseで作ろうとは思っています。いろんなアーティストを集めて、ミキシング、プロダクション、カバー、撮影、ミュージックビデオ、全部自分たちで制作しようっていうスタイルも最初からイメージしていました。

━━VivaOlaくんは〈Solgasa〉への参加についてどう思いましたか?

VivaOla 一度、Wezと〈Solgasa〉について色々話したとき、僕は反対していたんです。Wezは「日本から正面突破で世界に行こう」みたいな考えで、僕は「まずアメリカに行ってから、逆輸入で入ってきた方が日本でも通じるんじゃないか」って考えで、その考え方の違いはお互いの音楽性にも出ていると思います。でも、さっき言っていたように、〈Solgasa〉は「絶対一緒にやろう」という雰囲気ではなく、手法は違っても、最終的に同じ場所を目指せればいいという考え方だというのを聞いて、それならいいなと思ったんです。なので、僕は「〈Solgasa〉にいて、そこから何かを出す」というよりは、「〈Solgasa〉に何かを足せればいい」と思っています。後から加入したし、立場的にも一歩外から見るような感じがあるかもしれないです。

━━VivaOlaくんはバークリー音楽大学に留学していたわけですが、それも「まずはアメリカから」という考えがあったからなのですね。アジアと欧米を結び付けようとしているという目的は同じでも、そのやり方にはそれぞれの考え方があるのは面白い。

Tommi 僕は東南アジアでの生活が長くて、7歳まで日本語が話せなかったので、外からいろんなアイデアを取り入れて、新しい音楽のスタイルを広めたいと思ってます。

michel 最初はアジアに集中したいですけど、目標としては欧米にも行きたい。曲は英語の方が多いので、日常で英語を喋っている人が聴いてくれると思います。

Wez 僕も最初は「まず日本を中心に活動してから」と思っていましたが、いろいろ見ていく中で、違うルートもあるなって思いました。なので、まだそこは練っている段階ですね。

michel みんな日々考えが変わっていて、「やっぱりアメリカに行きたい」とか「やっぱり日本で」とか。でも、中心にあるのは「いい音楽を作る」ということで、いい音楽を出したら、場所がどこであっても聴いてくれると思います。「Music Is It’s Own Language」ですから、まずはいい音楽を作ることを第一に考えています。

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━━それぞれ作る音楽のスタイルやジャンルはバラバラとのことですが、4人が共通して好きなアーティストっていうと誰が挙がりますか?

michel Tommiくんと僕はトラヴィス・スコット(Travis Scott)がめっちゃ好きです。でも僕が一番好きなのはR&Bで、4人全員となると……。

VivaOla 全員ってなると、意外とないかも。

Tommi マック・ミラー(Mac Miller)とか?

VivaOla 普通に聴くけど……、おそらくこの中だと僕が一番外れてるんですよね。流行りとかもあんまりわからなくて、そのとき入ってきたものを吸収する感じで、僕がバークリー音楽大学で吸収したものもまたみんなとは違うだろうし。

Tommi 僕は15歳くらいからヒップホップを聴き始めたんですけど、その前に聴いていたのは1970年代のロックでした。ピンク・フロイド(Pink Floyd)とかが好きで、今でも一番聴くのはロックだと思います。ヒップホップを作っているからこそ、ヒップホップはあんまり聴きたくないというか。同じジャンルの音楽を聴いていたら同じものを作ってしまうので、他のところからアイデアを取り入れた方が、新しい音楽が作れるのかなと。

━━アジアの音楽に対する興味はいかがですか?

VivaOla 僕とmichelは韓国の音楽がすごい好きです。

michel DEANとかね。

Tommi KOHHは?

Wez/VivaOla/michel あー、KOHHはいいよね。

VivaOla KOHHで急に繋がりましたね(笑)。でも、いちいちシェアしてるわけでもないんですよね。僕はアジアのR&Bで言うと、最近マンドポップをすごく聴いていて、アジアの言語をどう英語に混ぜるかの参考にしています。音楽が言語でもありつつ、言語自体もやっぱり大事で、日本だと「歌詞を聴くか、聴かないか」みたいな議論もありますけど、アメリカではそういう議論を聞いたことないし、より大きいステージに立つには、どちらも妥協しちゃいけないなって。

※マンド・ポップ……
台湾で生まれた、現代ポップスと伝統的な中国音楽を織り交ぜた音楽スタイル

michel 韓国ではジェイ・パーク(Jay Park)の〈AOMG〉が国内でも海外でも一番サクセスしてると思うんですけど、ああいったグル―ヴィーなR&Bは日本では少ない印象です。僕はVivaOlaくんとは逆で、マンドポップは意味まで全部わかるんですけど、韓国語はそんなにわからないので、グルーヴとかサウンドで聴いてますね。

VivaOla 僕はマンドポップの意味は分からないから、韓国語と日本語の知識を基にして、どういう母音を使っているかを分析しています。やっぱり、バックグラウンドが違えば受け取り方も違うので、相手が自分の音楽を聴いてどう感じるかも考えながら作っていますね。

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━━日本のR&Bやヒップホップに対する興味はどうですか? 「グル―ヴィーなR&Bは日本では少ない印象」という話もありましたが。

Wez 僕は興味を持っていますね。自分の競争相手でもあるし、仲間でもあるし。Daichi YamamotoとかKID FRESINOとかはすごく好きです。

michel 僕はまだ日本の音楽マーケットがよくわかってなくて、いい曲を作ったつもりでも、マーケットと合わないこともあるから、今流行ってる音楽を聴くようにはしています。最近だと韻マンの“Change My Life”のトラップの感じはいいと思いました。

Tommi PAELLASは海外からの影響をあまり感じず、すごく日本のモノになっている感じがして、それが面白かったです。例えば、テーム・インパラ(Tame Impala)って音が汚くて、グル―ヴィーで、そっちもかっこいいじゃないですか。けど、PAELLASは音がすごくきれいで、日本人の大人しい、平和な感じがして、すごい素敵だなと思いました。

━━VivaOlaくんはどうですか?

VivaOla 探してはいるんですけど……、個人的にいいと思う人があんまりいなくて。例えば、日本人って「エモい」がすごく好きだと思うんですけど、僕的には「エモい」が別に好きじゃなくて、「エモく」するとJ-POPに偏ってしまうイメージがあります。さっき「グル―ヴィーなサウンドが少ない」って言っていたのはまさにそうで、メロディーを重視する業界だと思うんです。

Tommi ベースが弱い感じするよね。

VivaOla 良し悪しじゃないけど、アメリカはクラブ文化が強くて、一緒に歌うっていうより、踊る方だから、どうしてもそっちに偏るんです。逆に、日本はカラオケ文化があるから、歌いやすいように、あえてメロディーをシンプルにしている。1980年代のJ-POPは好きなんですけど、あの頃からあんまり変わってない気がしますね。メロディーはずっと同じで、バックのトラックがその時々の流行りになっているだけで、あまりいい印象はないですね。その中でも、SIRUPは一番しっかりR&Bをやっていて、進化形だなって思いました。

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━━ここまで話してもらったような日本やアジア、欧米の状況を踏まえて、〈Solgasa〉としてはどのようなアプローチで音楽を発信していきたいと考えていますか?

Wez 僕は英語で歌詞を書くのが一番自然に言葉が出てくるし、一番言いたいことをはっきり言うことができるんです。けど、日本のシーンで英語詞を出していくと、僕が込めた想いの何%しかみんなに伝わらないので、僕の音楽を100%楽しめていない印象もあるなと最近思っていて。だから、日本だけじゃなく、もっと広く、いろんなところに発信していきたいです。今はどこに住んでいるとかあまり関係ないと思うので、もっと目線を広げて見ていこうかなと思います。

michel 今、僕はダンスの動画も出したりしていて、まずは日本の音楽モデルをやって、メインストリームに入った後に、自分が本当にやりたいことがやれればと思っています。今、EPの準備をしているんですけど、それはポップだけどフュージョンって感じで、言うなればポップなR&B、ポップなヒップホップ、そういうモノを作りたいです。例えば、リル・ナズ・X(Lil Nas X)がカントリーミュージックとトラップミュージックを混ぜたように、いろいろな文化を混ぜて音楽を作るっていう、そういうことをやりたいですね。歌詞に関しては、今はWezくんと同じく英語がメインですけど、日本語になるとインダイレクトな歌詞が多い印象なので、日本語で意味をダイレクトに伝えることが今の課題です。そのためにも、もっと日本語を練習しないといけないんですけど(笑)。

Tommi みんなと同じく今は英語詞がメインなんですけど、僕はコンセプトを立てることが好きで。歌詞は英語でも日本で体験したことがテーマだったり、サウンドはヨーロッパのロックからインスピレーションを受けたり。そうやってミックスすることで、みんなと違うものになるのかなと思います。やり方はそれぞれだけど、そうやって「いろんなものを混ぜる」っていう方法は、みんな似ているのかもしれないですね。

VivaOla 僕が6月に出したアルバム『STRANDED』も自然とそういう感じになっています。歌詞は先に英語で書いて、申し訳程度に日本語も入ってる、みたいな曲が多いですね。僕は日本語を日本語っぽく使うのはダサいと思っていて、日本人が聴いて「これ日本語?」って思うくらいがいいなと思うんです。“The Artist”をTommiと作ったときは、2人の感じがすごくマッチしたんですよ。

Tommi 日本語でも英語っぽいイントネーションになったりしていて、でもそれって自然なことなんですよ。日本語を書くときもローマ字だし(笑)。

VivaOla 俺も書くときは日本語だけど、読み方はローマ字っぽいというか。でも、Wezは日本語をすごいテキパキ言うんですよ。

Wez たぶん僕は英語の先生をやってるから、相手がちゃんと聞きとれているかチェックする必要があって、はっきり言うのが癖になってるんですよね。だから、録音するときもそうなっていて。ヤング・サグ(Young Thug)みたいな感じは無理ですね(笑)。

VivaOla 僕は歌詞が全部日本語でも全部英語に聴こえるくらいを目指してて、その意味では、まだ日本語にも可能性はあるなと思います。「違う言語から見た日本語」みたいなイメージはすごく考えていて、それはバイリンガルだったり、トリリンガルだったりする〈Solgasa〉のメンバーだからこそできることかなって思います。

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━━VivaOlaくんは現在バークリー音楽大学を休学中で、日本での活動を本格化させる予定とのことで、“The Artist”という曲はある種の意思表示のようにも聴こえました。

VivaOla あの曲はあんまり解説をしたくないというか、ダイレクトだから、歌詞を読んでわかる通りだと思います。ただ、“Tokyo Syndrome”をWezとやったときもですが、フィーチャーリングで自分とは別のアーティストを入れるときは意味については毎回あまり解説しないで、歌詞を読んで、自由に解釈してもらっています。だから、僕のパートには僕のストーリーがあって、そこに全然違うストーリーが入ってきて、また戻る、みたいなイメージですね。“The Artist”も“Tokyo Syndrome”もそうなっていると思います。

Tommi “The Artist”に関しては、VivaOlaのメッセージを自分の人生に重ねて、パラレルに書いていきました。“The Artist”がリリースされる1ヶ月前に“saigo”という曲をリリースしていて、曲のテーマがちょっと似ていたので、“saigo”のフックを“The Artist”のヴァースで使ったりしています。あと、この曲に関してはプロダクションの話も一緒にしていて、最初のドラムキックはペイントブラシで叩いたのをマイクで録音して、それにちょっとディスト―ションを足しています。

VivaOla 2人ともプロデューサータイプだから、Zoomで話しながら「その音めっちゃよくね?」みたいな、リモートでも隣にいて言い合いながらやってる感じでしたね。

VivaOla – The Artist (feat. Tommi Crane)

━━VivaOlaくんとTommiくんがプロデューサータイプなのに対して、Wezくんとmichelくんはそれぞれラッパー、シンガータイプですよね。でも、ジャンルで言えばVivaOlaくんとmichelくんがR&B寄りで、TommiくんとWezくんがヒップホップ寄りっていう、やっぱり4人のキャラクターがそれぞれ違うのが面白い。

michel そうですね。なので、僕はほとんどの曲をKRICKくんっていうプロデューサーと一緒に作ってて、Wezくんとやった“Time”もそうですね。

Wez 僕は歌詞メインでヒップホップに入ったからですね。ラップを聴いて、意味とかストーリーを感じながら、最初はパソコンでもなく、ペンと紙で始めました。これまでもずっとそこを軸でやってきた感じなんです。

Tommi 簡単に言うと、Wezがもともと一番好きだったのはJ・コール(J.Cole)で。歌詞が深くて、言葉使いもきれいだけど、ビートはわりと似ている。僕が一番好きなのはカニエ・ウェスト(Kanye West)とかトラヴィス(・スコット)で、歌詞は大して何も言ってないけど、3分の中にいろいろなサウンドが出てきて、音の中に沈む感じが好き。なので、それぞれ歌詞中心、プロダクション中心っていうパラレルになっています。だからこそ、仲良くなれたのかもしれない。みんな同じだったら、ここまで仲良くはなれてないかもしれないですね。

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━━最後に、〈Solgasa〉の今後のビジョンについて教えてもらえますか?

Wez 僕ら4人の名前を広げながら、〈Solgasa〉の名前も広めて、WezファンやTommiファンもいれば、〈Solgasa〉ファンもいるみたいな、そういうコミュニティを作って行きたいです。今はちょっと難しいけど、いずれはイベントもやっていきたい。

Tommi あとは、僕たちの1年前みたいな状況の人たちをサポートしてあげたいです。そういう人たちの味方になれる人ってなかなかいないので、僕らがそれをやれればなって思っています。

━━〈Solgasa〉はFRIENDSHIP.と仕事をすることで少しずつ状況が変わってきたのかと思うんですけど、実際のところその変化についてどう感じていますか?

VivaOla 変化しかないです(笑)。一番海外に近い形態だと思うし……。一言でいうと、一番仕事がしやすい。

Wez 自由にやらせてもらえるのはホントありがたいよね。

VivaOla で、ちゃんと届くし。ホントに音楽に集中できるので……、やっぱり、変化しかないですね。

━━9月18日(金)にはYouTubeでのライブ配信も予定されているそうですが、さらにその先の、大きな目標についても聞きたいです。

Tommi いつかはホールディングスカンパニーみたいにしたいなって。それこそ傘みたいに、下にいろんなものがいっぱいあるっていう。

Wez スタジオとかカフェとかね。アメリカだとアーティストが売れて、有名になったら、自分でレーベルを作って、若いアーティストを育ててっていうのが典型的な例なので、そういうプランも視野に入れています。

michel アメリカだとジェイ・Z(Jay-Z)のロック・ネイションとかもあるけど、日本だとそういうのは少ない気がするので、自分たちでレーベルを作って、大手レーベルのコンペティション(競合)になれたらなと思います。本当に大きい夢ですけど、<コーチェラ・フェスティバル>のヘッドライナーとか、日本だとドームツアーとか、そういうのも目指してやっていきたいですね。

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Text by 金子厚武
Photo by 大地

EVENT INFORMATION

Solgasa Next Up: Live Event 2020

2020.09.18(金)
START 20:00
Solgasa Youtube Channelにてプレミア公開

LINE UP:
Wez Atlas/VivaOla/Tommi Crane/michel ko
Jua & Shimon Hoshino (Special Guest)

An online music event brought to you by Solgasa, a Tokyo-based music/art collective.
東京を拠点とする音楽・アートコレクティブ「Solgasa」によるオンラインイベント。

Solgasa Next Up: Live Event 2020

ライブ配信視聴はこちら

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solgasa
東京拠点の音楽・アートコレクティブ
Music/Art Collective Based in Tokyo, Japan

Member:
Wez Atlas
VivaOla
michel ko
Tommi Crane

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VivaOla
R&Bシンガーソングライター/プロデューサー。R&Bをはじめとし、ヒップホップやネオソウルなどの様々な音楽から影響を受けている。2019年5月に初セルフプロデュースEP「Bloom」をリリースし、翌年の2020年6月に初セルフプロデュースアルバム「STRANDED」をリリース。

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Wez Atlas
1998年生まれ。大分県出身、コロラド州育ち。東京を拠点とするヒップホップアーティスト。
多文化なスタイルを取り入れ、高いスキルで日本語と英語を組み合わせたラップを魅せる。
エイベックス主催UNIRAP2019の総合優勝、日本コロムビアProject110のラッパー部門優勝など、様々な実績を残している。

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Tommi Crane
東京を中心に活動するバイリンガルラッパー。
ラップからビートまでセルフプロデュースするHIP HOPアーティストでありながら、ロックからの影響を公言している。
リリックのコンセプトを先に作り、そこからインスパイアしたビートを作るというユニークなスタイルで活動をしている。
2019年12月11日にリリースされた初EP「Crane Theory」は「今のHIP HOPにはまだ無い新しい音を作る」というテーマのもと、友人であるプロデューサーのBig Animal Theoryと共同で制作され、話題となった。

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Michel Ko
日系台湾人シンガー。
幼少期から聴いていたR&Bやヒップホップに強い影響を受け、叙情的でナチュラルな感情表現、かつK-Popなどのアジアンポップからも強い影響を受け、エモーショナルでキャッチーなメロディーラインが特徴の和洋折衷な若手のホープ。

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