ちょっと陳腐に聞こえる回答で申し訳ないんだけど、
僕はいま、自分の夢を叶えていると思うんだ
――2013年と昨年は日本のデパート「高島屋」の、母の日&父の日キャンペーンを手がけてましたね。この仕事を任されることになった経緯と、制作時のエピソードがあれば教えていただけますか?
GASっていう東京のクリエイティヴ・エージェンシーから僕に連絡があって、彼らのクライアントである高島屋が僕と一緒に仕事をしたがっていると言われたんだ。彼らはキャンペーンに出てくる家族を作りたいっていうコンセプトを持っていて、そこから発展していった。クライアントには幾つかの具体的でとても良いアイデアがあったんだ、13年の家族写真のアイデアや、去年のお出かけのアイデアとかさ。GASは、キャラクターにより内容や深みを持たせるために、それぞれのキャラクターに簡単なプロフィールをつけるように依頼してきて、去年のは母の日・父の日ともにストーリーも作ったんだ。このファミリーのキャラクターたちは僕自身の家族をなんとなくベースにしていて、14年のキャンペーンで描いた場所は、僕の地元からもそれほど離れていないコッツウォルズにある場所なんだ。
――チータムさんの描いたキャラクターをコレクションした「THE OUTLINES」を拝見すると、『魔女の宅急便』のキキやピカチュウ、芸者、あるいはBapeのNIGO®さんなどが見つかります。日本生まれのキャラクターやカルチャーにも興味があるのでしょうか?
間違いなく、日本のカルチャーにはかなり興味があるよ。アニメやマンガにはあまり詳しくないけど、もっと知りたいと思っているし。NIGO®は僕のストリートウェアへの関心から来ているんだ。今は僕の趣味も変化したけど、以前はBAPEが大好きだった頃もあったんだ。(BAPEのアイテムは)ひとつも持ってたことはないけどね……僕には高すぎたよ!
――日本、および<HCW>に遊びに来たことはありますか?
日本は僕にとってたぶん他のどこよりも行ってみたい場所だけど、まだ行ったことがないんだ。なぜ行ったことがないのかは分からないけど……いったん日本に行ったら僕の食べたいもの、買いたいもの、やりたいこと全部をやるために沢山のお金が必要だって分かっているからかも(笑)。
――特に日本でやってみたいこと、行ってみたい場所は?
国中を訪ねて、最高のスシを食べて、ヨーロッパでは買えない服を山ほど買いたいな! 僕は食べ物が大好きで、スシも本当に大好きなんだ。先週『二郎は鮨の夢を見る』(11年)っていう、二郎っていう人とその人の寿司屋についての映画を観たよ。ほとんどの人が「彼のスシは世界最高だ!」って言ってるから、僕にとってはそれが人生最高のスシになるはずさ。二郎は85歳だから、いつかは彼がいなくなってしまうその前に彼の店に行かないといけないね!
『二郎は鮨の夢を見る』予告編
――いつかデザインしてみたいモノ・ヒト・コトはありますか? 個人的にチータムさんのイラストはBE@RBRICK(ベアブリック)と相性が良いのではないかと思っています(笑)。
BE@RBRICKはぜひやりたいよ。もしも君たちのうちにメディコムの人を知っている人がいたら、僕のことを推薦しておいてほしいな! おもちゃのこと以外に関して言えば、僕はとにかく自分がやらせてもらっていることにとても感謝しているよ。色々な分野の会社のためにイラストを描いて、色々なものを作っていることをさ。
――最後に、チータムさんの「夢」を聞かせてもらえませんか? 今抱いている「野望」などでも構いません。
ちょっと陳腐に聞こえる回答で申し訳ないんだけど、僕はいま、自分の夢を叶えていると思うんだ。もしもこれを維持して、イラストレーターとして仕事を楽しみながら、人生でやりたいことをやれるだけのお金を稼ぎ続けることができれば、僕の目標は達成できるよ。
質問作成・文: Kohei UENO
インタビュー協力:Hostess Entertainment Unlimited