2022年7月29日(金)〜31(日)にかけて開催された<FUJI ROCK FESTIVAL ’22(以下、フジロック)>。Qeticでは、<フジロック>現地にて、出演したアーティストのインタビューを実施。今回は、31日に出演したスーパーオーガニズム(Superorganism)のインタビューをお届けする。
7月15日に4年ぶりのアルバムで、グループにとって2作目となる『World Wide Pop』をリリースしたスーパーオーガニズム。新作リリース後、初のフルライブショーを披露したのが今回の<フジロック>だった。
WHITE STAGEに登場したバンドは、最新作『World Wide Pop』の楽曲をたっぷりと披露。ライブの最後には観客やスタッフをステージに上げて大団円。流行病で失われていた光景をその瞬間だけでも取り戻し、ライブやフェスならではの“お祭り”を感じさせてくれた、素晴らしいパフォーマンスを披露した。
インタビューに応えてくれたのはオロノ(Orono)とハリー(Harry)。現在回っているツアーや、進行中だという映像のプロジェクトなどについて、ユーモラスに話してくれた。なお、今年10月28日(金)には、最新作のリミックスEP『World Wide Pop ? Reeeemix!』をリリース。2023年1月には東京・大阪・名古屋・広島・福岡の全5都市を回るジャパンツアーも決定しているので、ぜひともお見逃しなく!
SUPERORGANISM – Flying(FUJI ROCK 22)
INTERVIEW@FUJI ROCK:
Orono、Harry
from Superorganism
──4年ぶりの<フジロック>出演ということで、まずは心境をお聞かせいただけますか?
ハリー ちょっと不思議な感じ。でも、馴染みがあるというか。
オロノ ちょっと疲れたけど……いい感じ。いつも通りの仕事を全うするまで。
──<フジロック>のあとは日本に滞在されたりするんですか?
ハリー そうだね。2日間は日本にいるよ。
オロノ たくさん仕事がある。またインタビューを受けたりしてね。
ハリー そのあとオーストラリアに行くよ。
──ツアーですね。セカンド・アルバム『World Wide Pop』を7月15日にリリースされたばかりですが、どんな反響がありましたか?
ハリー とてもいいよ。制作に時間がかかったからやっとリリースできて、ある種の解放感があるね。でも、変な気持ちでもあるよ。本当に時間をかけて制作した作品だから。それをみんながどう楽しんでくれてるのか、いま体感してる。
オロノ あなたはどう思ったの?
──個人的なお気に入りは“Everything Falls Apart”です。イントロのノイズが面白かったし、アルバムを通してスーパーオーガニズムのポップスが満遍なく堪能できて、とても好きな作品でした。
オロノ いいね。あなたが好きなら良かった。
ハリー ありがとう。
──<フジロック>がアルバムリリース後の初フルライブショーということで、オーディエンスが注目していますね。
ハリー 今回は楽器が増えたね。とにかくロックしたいよ! それに……。
オロノ そう、<フジロック>のために特別な楽器を用意してきた。
ハリー 演奏に関しては、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)みたいな感覚。観た人はそう思わないかもしれないけど、ソウルはブルース・スプリングスティーンなんだよ(笑)。
──来日する前にUKのレコードストアを回ってインストアライブしてましたね。9月からオーストラリアやヨーロッパを回ると思うんですけども、バンドなりのツアーの楽しみ方はありますか?
オロノ ライブ以外はほぼクソ。
ハリー 彼女は正しいよ(笑)。
オロノ 99.9%はクソだけど、ライブがそれをすべてまかなえる。
ハリー それに、飛行機に乗るのがマジで怖いんだ。業界を間違えてるよね。疲れるし。でも、ライブが最高なのさ。
オロノ マイレージを貯められると嬉しくない? ビジネスマンだから、そういうの大事。
──マイレージの使い道は?
オロノ もっと飛び回る。アップグレードさせてビジネスクラスに乗る。使い道は無限にあるね。「The sky is the limit」ってね。
──ははは。イギリスとヨーロッパでオープニングアクトを務めるディラン・カートリッジ(Dylan Cartlidge)さんについて教えてもらえますか?
ハリー 彼は最高だよ。本当にクールな人だね。彼とは2回、コラボレーションしたことがある。“It’s Raining”(『World Wide Pop』収録)にも参加してもらった。あの曲の人選は本当に奇妙だよね(笑)。あと去年、スーパーオーガニズムで彼の楽曲“Anything Could Happen”のリミックスをした。彼はすごく才能があるし、これまで観たことのあるベースプレイヤーの中でも指折りに上手いんだ。それに、彼は素晴らしいラッパーでもある。去年、彼のショーに行ったんだけど、彼はオーディエンスの中に僕がいることを知ってたんだ。それで、スーパーオーガニズムについてのフリースタイルラップをその場でやってくれた。即興だよ。本当に才能があるよね。
──すごいですね。日本でもぜひパフォーマンスを観てみたいです。とあるインタビューでオロノさんがツアードキュメンタリーや長編映像作品を作ってみたいと仰ってました。アイデアは固まってきたりしていますか?
オロノ (インタビューを)読んでくれてありがとう。いま、いろいろと撮り溜めた映像があって。インストアライブのツアーで、エリオットという大親友がずっとカメラを回してくれてて、普段のバンドの姿が見れると思う。Instagramビデオみたいな感じで縦で撮っていて、それを20分くらいにまとめる予定。お互いをインタビューしたりしていたり、わたしたちの違う側面が見れると思う。
ハリー 好きなバンドの飾らない姿を見れるって、すごく良いよね。エリオットは本当に大親友だから、とにかく自然体でいられるんだ。カメラを向けられると緊張したり硬くなったりしちゃうけど、彼の場合は全然大丈夫。だから、バンドのいつも通りの自然な姿を見ることができると思うよ。
──最近、カニエ・ウェスト(Kanye West, Ye)のドキュメンタリー『Jeen-Yuhs』が話題になってましたね。カニエに近い人物が彼の自然な姿を撮影していて、それをまとめた物でした。ご覧になりましたか?
オロノ 彼は天才。まだ見てないけど見たい。時間がないのだけど……。
ハリー カニエは大好きで、バンドにとっても大きな存在だよ。ビートルズのドキュメンタリー(『ザ・ビートルズ: Get Back』)も出たよね。だから、ビートルズ〜カニエ・ウェスト〜スーパーオーガニズムみたいな流れができてるかな(笑)。
オロノ 『Get Back』は観たけど、その時間を巻き戻してカニエのドキュメンタリーを観れば良かった。『Get Back』は良かったけど……。
ハリー ははははは! オーストラリアに行くとき、カニエのドキュメンタリーを観ようよ。
──感想をとても知りたいです。今日、オロノさんはnardwuarのパーカーを着用されてますが、nardwuarのスーパーオーガニズムのインタビューも観てみたいです。彼のインタビューで好きな回はありますか?
オロノ タイラー(・ザ・クリエイター|Tyler, The Creator)の回かな。でも、全部面白いからランダムに見てる。気持ち悪がられるほど細かい部分までそのアーティストのことをたくさん知っていて、面白い。
ハリー 彼は本当にすごい。エネルギーに溢れていて、それが伝わってくる。鳥肌が立つときあるよね。
オロノ 刺激的な人だよね。日本語版nardwuarになればいいと思う!
──頑張ります。最後に、この箱から質問を引いていただけますか? 一つの質問に、それぞれ答えていただきたいです。
──最初は「最大の失敗は?」です。
ハリー 最大の失敗か……。大きな質問だね。ない。失敗したことはないね(笑)。
オロノ 『Get Back』を観たのが失敗だった。
一同 (笑)。
──つぎは「過去に戻れるとしたらいつ?」ですね。
オロノ そうね。『Get Back』を再生する瞬間。
一同 (笑)。
ハリー 過去に戻ることは考えないかな。むしろ未来に行きたい。
──どのくらい未来に行きたいですか。
ハリー 良い質問だね。気候問題を解決した後で、地球が太陽に飲み込まれる前(笑)。
──ありがとうございます(笑)。
オロノ つぎは「完璧な一日を過ごしたことはある?」。
ハリー 何日かあるよ。スペインのバルセロナで開催された<Primavera Sound>にいたんだけど、その日はカニエのアルバム『Ye』がリリースされた日だったんだ。あまり反応は良くなかったけど……。
オロノ 私も『Ye』はお気に入り。
ハリー だよね。ホテルの最上階にあるプールであのアルバムを聴いたんだよね。そのあと、1万人の前でライブをしたんだ。それに、その日の夜にはタイラー・ザ・クリエイターのライブも観た。とにかくクールなことがたくさん起きたんだ。君は?
オロノ 綺麗な長い一本のうんこがしっかり出た日。結構ある。週に一回はある。
ハリー ははははは!
──いいですね(笑)。睡眠は2人ともとる?
オロノ つぎは「睡眠をしっかり取る派? それともショートスリパー?」。
ハリー めっちゃ寝るね。1日8時間は寝る。
オロノ そこまで寝れないときもあるけど、寝るのは大好き。一は排便、ニは睡眠。
ハリー ツアー中のストレスに、睡眠不足がある。ふだん僕は良い人格の人間だと思うけど、この2つ──睡眠と食事をしっかりしてないと、かなり機嫌が悪くなるね。不機嫌で嫌なやつになっちゃう(笑)。
オロノ クソ野郎になる(日本語で)。
──ははは。つぎで最後の質問です。
オロノ 「好きなラッパーの歌詞」。いま思いついたのはカニエのリリックで、「Name one genius that ain’t crazy」(『The Life of Pablo』収録“Feedback”)。自分のペインティングに取り込んだりもしたかな。
ハリー いいね。僕もカニエが好きで……思いついたのは「Close your eyes and let the word paint a thousand pictures/One good girl is worth a thousand bitches」(『Yeezus』収録“Bound 2”)かな(笑)。
Photo by 横山マサト
Interview, Text by 船津晃一朗
INFORMATION
WORLD WIDE POP TOUR
2023年1月13日(金) 東京 ZEPP DiverCity
開場 18:00 / 開演 19:00
前売:¥7,000 (1F:スタンディング/2F:立ち見) ¥7,500 (2F:指定席) ※ドリンク代別
(問) SMASH:03-3444-6751
2023年1月15日(日) 大阪 NAMBA HATCH
開場 17:00 / 開演 18:00
前売:¥7,000(1F:スタンディング) ¥7,500 (2F:指定席) ※ドリンク代別
(問)SMASH WEST:06-6535-5569
2023年1月16日(月) 名古屋 DIAMOND HALL
開場 18:00 / 開演 19:00
前売:¥7,000(スタンディング) ※ドリンク代別
(問)JAIL HOUSE:052-936-6041
2023年1月17日(火) 広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
開場 18:00 / 開演 19:00
前売:¥7,000(スタンディング) ※ドリンク代別
(問)クラブクアトロ:082-542-2280
2023年1月18日(水) 福岡 DRUM LOGOS
開場 18:00 / 開演 19:00
前売:¥7,000(スタンディング) ※ドリンク代別
(問)BEA:092-712-4221
※未就学児童は入場不可、小学生以上はチケットご購入が必要です
※購入時に個人情報の登録が必要となります
一般発売:9/10(土) 10時〜発売
東京公演 e+・チケットぴあ(P:225-024)・ローソン(L:72278)
大阪公演 e+・チケットぴあ(P:224-982)・ローソン(L:52335)
名古屋公演 e+・チケットぴあ(P:224-927)・ローソン(L:43051)
広島公演 e+・チケットぴあ(P:224-908)・ローソン(L:63468)
福岡公演 e+・チケットぴあ(P:225-314)・ローソン(L:81446)
World Wide Pop ? Reeeemix!
2022年10月28日(金)
Superorganism
label: Domino/Beat Records
TRACKLISTING
01. On & On(Lewis OfMan Houseparty Remix)
02. Teenager(DJ Sabrina The Teenage DJ Remix)
03. Solar System(Andrew Applepie Remix)
04. Black Hole Baby(ME-GUMI Cover)
05. crushed.zip(mabanua Remix)
06. Teenager(Rock Version)
World Wide Pop
2022年7月15日(金)
Superorganism
label: Domino/Beat Records
国内盤CD BRC699 ¥2,200(+tax)
解説+歌詞対訳冊子 / ボーナストラック追加収録
国内盤CD+Tシャツセット BRC699T ¥6,200(+tax)
帯付限定輸入盤1LP (ゴールド・ヴァイナル)
WIGLP448XBR
帯付限定輸入盤1LP (ゴールド・ヴァイナル)+Tシャツセット
WIGLP448XBRT
TRACKLIST
01. Black Hole Baby
02. World Wide Pop
03. On & On
04. Teenager (feat. CHAI & Pi Ja Ma)
05. It’s Raining (feat. Stephen Malkmus & Dylan Cartlidge)
06. Flying
07. Solar System (feat. CHAI & Boa Constrictors)
08. Into The Sun (feat. Gen Hoshino, Stephen Malkmus & Pi Ja Ma)
09. Put Down Your Phone
10. crushed.zip
11. Oh Come On
12. Don’t Let The Colony Collapse
13. Everything Falls Apart
+Bonus Track (BRC699)
FUJI ROCK FESTIVAL ’22
2022年7月29日(金)30日(土)31日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場