3月8日(日)に、渋谷は円山町にあるclubasiaの24周年企画として、ravenkneegato、the McFaddinPOINT HOPEの4バンドが主催する新イベント<SyU -種->が開催される。

互いの違いや共通項を認め合いながら切磋琢磨してきた4バンドのパフォーマンス力やキュレーションのセンスが融合し、新たな花が咲く瞬間を想像させてくれるエネルギーに満ちたタイトル。

ラインナップに目をやると、エレクトロにロック、ヒップホップなど、さまざまな要素を独自の感覚で採り入れ、“ジャンル”の向こう側にある未来を開拓しようとする気概を感じるライブアクトと、現場の空気を捉え空間を彩ることのできるDJがずらりと並ぶ。遊びに行く理由は人それぞれだが、どの角度から入っても、今までに感じたことのない刺激によって、以降の日々に見える景色を豊かに彩ってくれるだろう。

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Interview
ravenknee × gato × the McFaddin × POINT HOPE

━━まず、なぜこの4バンドで主催しようと思ったのですか?

joe matsumoto(Vo.&Gt./ravenknee 以下、joe) 2019年1月にravenkneeが初めて開催した自主企画のイベントに出てもらったのが、gatoとPOINT HOPEで、the McFaddinも呼びたかったんですけど、スケジュールが合わなくて。今回のイベントはうちのhigashiが発起人なんですけど、当時の企画に呼んだ、または呼ぶ予定だった4バンドの主催なんです。

━━では、みなさんお互いにどのような印象をお持ちでしょうか。

joe gatoは音楽的に僕らとはぜんぜん違いますけど、エレクトロと生演奏を新しい感覚で掛け合わせてるという意味では共感できる部分が大きいですね。そして、ライブがめちゃくちゃカッコいい。

katsuyuki higashi(Dr./ravenknee 以下、higashi) あまり他のバンドのドラマーに機材のことは訊かないんですけど、gatoのhirokiくんには「そのシンバル、口径はなに?」とか「そのハットどうやってんの?」とか、よく尋ねますし、彼とはお揃いのシンバルを使ってるんです。

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L:katsuyuki higashi R:joe matsumoto

━━なぜhirokiさんのドラムにはそこまで興味が湧いたのですか?

higashi エレクトロの音にハマる生ドラムとして理想的なんです。例えばクラッシュシンバルだと、僕が使ってるものは高い音がするんですけど、hirokiくんのは低いというか。そういう細やかなこだわりがシンセや同期の音とすごくマッチしていて、違和感がないんですよね。

hiroki(Dr./gato) 僕は初めてhigashiさんのドラムを見たときに、すごすぎてバンドやめようかなって思いましたけどね。めちゃくちゃいい音が爆音で鳴っていて、どんな人が叩いているんだろうなって。ravenkneeはとにかくスケールがでかい。

age(Vo./gato) うん、スタジアムとかフェスとか、大きな会場がイメージできるよね。僕らも同じように、いろんな場所に出ていきたいとは思ってるんですけど、ざっくり言うならば、gatoは「陰」でravenkneeは「陽」。その二極でちゃんとライバルとして活動している感覚があって、敵であり仲間なんです。

keisho maeda(Gt./the McFaddin 以下、keisho) わかる。joeが前にやっていたバンドも好きだったんですけど、ravenkneeになって、よりメジャーなフィールドでやれるマインドやパワーを獲得したように思います。演奏力も圧倒的で、初めて対バンした時もヤバいと思った。

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L:age R:hiroki

━━gatoとravenknee、the McFaddinは、音楽性は違えどお客さんが被る部分も多くて、共同体的なイメージもあるんですけど、POINT HOPEは活動ベースが少し異なるようなイメージがあって。そこはどうでしょう。

age 確かに、イメージはそうかもしれないです。でも、POINT HOPEとはルーツが近い気がしていて、親近感を持っています。

中村歩己(Gt.&Syn./POINT HOPE 以下、中村) gatoは“ダンスフロア“と対峙しているバンドだと思うんです。それに対して僕らはクラブシーンとの関わりは少ないし、アプローチこそ違うんですけど、共鳴できる部分はあるような気がします。

age 僕個人の出自がハードコアとかエモで、マインド的には今もそこが中心にある感覚があって、ハマってるんじゃないかと思います。

中川航(Dr./POINT HOPE 以下、中川) そこは重なりますね。僕がPOINT HOPEとは別でやってるsans visageというハードコア寄りのバンドのイベントに、ageくんがDJで出てくれた時に、彼のイメージにあったダンスミュージックで“躍らせる”スタイルではなく、エモとかポストロックを、“いい曲をかける”って感じで響かせてくれたんです。

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L:中川航 R:中村歩己

━━バンド単位でPOINT HOPEともっとも距離が近いのは、joeさんが冒頭で話されたようにravenkneeですよね。

joe POINT HOPEの存在は、うちのギターのkazuki(matsumoto)に教えてもらったんです。当時、僕らは“daydreaming”を世の中に喰らわせてやるぞって意気込んでたんですけど、彼らの“トンネルを抜ければ”を聴いて「まじか……やめてくれよ」って思いました。POINT HOPEに限らず、ravenkneeはgatoとPOINT HOPEとthe McFaddinを混ぜて爆音にしたバンドだとも言えるくらいに、みんなからは影響を受けてます。

━━the McFaddinとPOINT HOPEだけは、まだ一度も交流がないんですよね。

keisho このあいだ東京でボン・イヴェール(Bon Iver)のライブを観に行った時に、加藤(Vo./POINT HOPE)さんにはお会いしました。Bon Iverを好きな人に悪い奴はいないと思うので、テンション上がってます。近いシーンでやっているのにも関わらず、一緒になる機会がなかったので、今回満を持してって感じで、お互いのライブの感想とかも言い合えたらなって思います。

中村 the McFaddinは音源を聴いたときに「これをライブでどうやるんだろうな」と思ったので、僕らも楽しみにしています。

age ravenkneeもポップだと思うんですけど、the McFaddinは“キャッチー”という言葉がはまる感じがしますね。アートワーク、音源、ライブ、あらゆる面ですごく色気があって、あえて変な言い方をすると、すごくエッチなバンドだと思う(笑)。

joe 僕がravenkneeの前にやっていたバンドの頃から、keishoとは出会ってて、この中ではもっとも古い仲間。めっちゃカッコいいです。

higashi 実はkeishoがravenkneeの初代ギターだったかもしれないっていう。

joe そうそう。gatoがエレクトロの部分で見習うべき仲間だとしたら、the McFaddinはフィジカル面を見習うべき仲間だと思っています。

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━━イベントタイトルの「種」はどこから来たのでしょうか。gatoとravenkneeとはとりわけ関わりの深い、東京亜種というコレクティブもありますが。

higashi うちのkazukiも在籍するS亜TOHというユニットがやってるパーティ<亜>から自然と導かれた部分はあると思います。“亜”と言えば“亜種”みたいな。

━━え?東京亜種ありきだと思っていました。

higashi 僕は東京亜種が立ち上がるって話を知らなかったんです。ravenkneeが2019年の最後のライブの後に、何やら集合写真を撮るらしいということで、ふらふら着いて行ったらそれが“東京亜種”で(笑)。あとは漫画の『寄生獣」ですね。「この種を喰い殺せ」ってシーンがあって、いいワードだと思いました。共存というか、一緒に頑張っていこうとは思うけど、仲良しこよし、馴れ合いみたいな感じにはしたくない。それぞれ固有の“種”ではあるんですけど、ちょっとダークでアンダーグラウンドな要素もありつつ、メジャーな世界を目指しているという共通点もある。そんな“種”同士が食い殺し合う勢いで戦って、相乗効果でいいものが生まれてほしいという願いを込めています。

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age “種”は“一つひとつ”という言葉にあるニュアンスを示した言葉だと思うんです。僕らそれぞれが個人レベルから始まって、バンドやユニットといった演者単位になって、もちろんお客さんも含めて、そこに生まれる“種”の概念をどんどん拡張していけたらいいなって、思います。

keisho 今回の4バンドって、gatoがエレクトロで、ravenkneeはバンドとエレクトロの融合、僕らがいちばんロックなバンドで、ある意味gatoとは対極にいる感じがするんです。

ryosei yamada(Vo.&Gt./the McFaddin 以下、ryosei) どのバンドもカッコいいと思っていることはある程度共通しているのに、やってることは全く違う。そこにすごく魅力を感じます。

keisho だから、ジャンルの違いはほぼ意識したことがなくて、今回唯一関西から参加する僕らの立場からすると、東京の洗練された感じを採り入れていきたいですね。

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L:ryosei yamada R:keisho maeda

━━東京と関西の違いとは?

ryosei 僕らが知る範囲のバンドシーンにおいては、技術的にパソコンを触れる人、それをライブで体現できる人は、東京のほうが確実に多いと思います。全体的な動きとして、新しいものを積極的に採り込んで、ブラッシュアップしていってるイメージが強いです。

keishoもちろん、京都、関西にもそういう人たちはいるけど、確かにそうだね。地域単位になると、東京だけでカルチャーがどんどん進んでいるような気がするんです。僕らはそこにある結界みたいなものをぶち壊したい。京都とか東京とか関係なく、もっと大きなスケールで、互いに刺激を与え合っていいものを追求していけたらなと、思います。

中川 その“結界を壊す”みたいなことに近い意識は僕らにもあります。さっきも話しましたけど、他の3バンドのように、クラブカルチャーに根付いたイメージはないと思うんですけど、やっぱりエレクトロも好きだし、今回はDJもたくさん出てくれるので、すごく嬉しいし楽しみです。

中村 ひとつの“種”だけだとやがて息絶えてしまう。いろんな“種”が混ざってこそ、新たなシーンが生まれ活性化していく。そこがこのイベントの醍醐味なんじゃないかと思います。

higashi まさにそうですね。僕ら以外に出てくれるゲストアクトも、そういう想いで呼ばせてもらいました。DJは今回、あえて個人ではなく、<Ajam>、<TIPS>、<FORM>と、近い志を持っているパーティ単位でブッキングしました。Group2(DJ set)は、以前asiaで<ZONE>というイベントをやっていた繋がり。illiomoteとJohnnivanは、一緒にやってそうなんですけど、いいタイミングのなかったバンド。kycohは若手でもっともおもしろいと思っているバンドで、今回はオープニングアクトですが、次は主催側にいるかもしれない。そういう新たな動きを感じられることは大きな魅力だと思います。

━━そこにWez Atlasがいることも、すごく興味深いです。

higashi ヒップホップは今すごく元気がいいなかで、僕らから見たヒップホップの要素も入れていきたいと思ってるんです。その最初の一手がWez Atlasですね。僕らならではのミクスチャー感も、味わってもらいたいです。

joe そしてまた、それぞれに散って“種”を芽吹かせて、再びみんなで集まって何かやりたいって、気が早いですけどすでにそう思うくらいワクワクしてるんで、まずは1回目を楽しみにしていてください。

Text by TAISHI IWAMI
Photo by 横山 渉

EVENT
INFORMATION

新イベント<SyU -種->主催バンド座談会|"種"の概念を拡張した先に見える新たなシーンとは interview_200226_syu_flyer-1440x998

SyU-種-×Ajam -clubasia 24th Anniversary-

2020.03.08(日)
OPEN/START 15:00
渋谷clubasia&渋谷LOUNGE NEO
ADV ¥3,000/DOOR ¥3,500(1ドリンク別)

LINE UP:
[-種- ACT]

ravenknee
gato
the McFaddin
POINT HOPE

[-GUEST- ACT]
Group2(DJ set)
illiomote
Johnnivan
Wez Atlas
Gi Gi Giraffe
Omoinotake
kycoh(O.A)

[-亜種- ACT]
東京亜種
S亜TOH
RiL
valknee
Us
DVESHA
SALICHANMODE
Mari Sakurai

[DJ]
Ajam
(遠藤孝行,斎藤雄,片山翔太,村田タケル)
TIPS
(斎藤雄,SHiN,YUU UMEMOTO)
FORM
(JUDGEMAN,tommy.arakaki,age)

[VJ]
Hello1103
OYAMADA

[FOOD]
みやん軒
ミンキッチン

詳細・チケットはこちら

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ravenknee
東京を拠点に2017年12月始動。
同日「daydreaming(short ver.)」をYouTubeに公開し注目を浴びる。
2018年4月に自主制作盤『1st EP』を世に送り出し、8月には早々とSUMMER SONIC 2018に出演を果たす。
同年11月Debut EP「PHASES」を、2019年7月に「ubugoe」、9月に「Pick you up」を配信リリース。
そして10月には1st Full Album「the ERA」をリリースし、渋谷WWWにて自身初となるワンマンライブを12月に開催し成功を収める。
ドラマティックに高揚するエレクトロサウンドをベースに、イギリスや北欧を中心とした世界中の音楽的ルーツを唯一無二のセンスで色濃く抽出し、 エッジーに煮詰め、 ポップミュージックに仕上げられた楽曲たちが新たな時代の最前線を担う。

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gato
2018 年、突如インディーシーンに現れたエレクトロバンド《gato》。
昨今のムーブメントである post dubstep, future bass, hiphop といったジャンルを基調にしつつも、ゼロ年代 ドイツエレクトロシーンや北欧エレクトロニカの流れをも感じさせるバンドサウンドは、現行のインディーシーン において唯一無二の存在。
同年 12 月に、1st EP『Luvsick』を配信限定でリリース。当時全くの無名にも関わらず、表題曲「Luvsick」が TOWER RECORDS や HOLIDAY! RECORDS などのプレイリストに選出され、早耳リスナー間で話題を集める。 渋谷 Glad にて開催した同 EP のリリースパーティでは、カルチャーとしての音楽にフォーカス。 ヒップホップ・トラックメイカー・シンガー・DJ と表現の幅を絞らず、CIRRRCLE, pavilion xool,Utae など 同世代の多彩なアーティストを招集。初の自主企画ながらも 150 人超の動員を記録しソールドアウト。
2019 年 4 月、新メンバーとして sadakata(VJ) が加入し現体制に。ボーカル age の美声、曲を繋いで演奏する DJ ライクなパフォーマンス、映像と楽曲のシンクロ率の高さが武器のライブには定評があり、イベンター・DJ・ ブッキングマネージャーなど、各所から出演オファーが殺到中。多い月は 10 本近くイベントに出演することも。 初見のオーディエンスから対バンアーティストまでをも虜にし、着々とファンを増やしている。
時はサブスク戦国時代。Billie Eilish, BTS, Black Pink などを筆頭に、加速度的にボーダレスな化が進む 世界の音楽市場に向けて、日本発信で真正面から勝負できるアーティストになることを目指す。

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the McFaddin
関西を中心に活動中の5人組ロックバンド。
ヒップホップ、ニューウェイブ、エレクトロ等メンバーそれぞれのルーツとなるサウンドを詰め込んだ、1st Full Album「Rosy」を2019年7月に発売。ネットストアにおいて入荷後すぐにソールドアウトになるなど注目を集める。
同年9月に自身初の海外フェス公演を行い、全編現地にて撮影を行ったMV「N.E.O.N.」を公開した。
全編VJを導入しているロックバンドとして、多方面にて活動中。
現在では主催ナイトイベント「dip.」を京都METROにて定期開催しており、DJ、rapper、トラックユニットなど多彩なカルチャーをミックスしたパーティを行なっている。

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POINT HOPE
Alternative music group from Tokyo

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