ド頭で“CUE”と“BALLET”をやっちゃう
––––In Phaseの『PHASE』はソロ・アルバム『LIFE ANEW』でのロックという方向性がライヴで展開されています。その“ロック”感はやはりジェームス(・イハ)さんが参加していることが大きいですか?
そんなこともないんじゃないかな。スマパン(スマッシング・パンプキンズ)のジェームス・イハというよりは彼のソロ・アルバム(1998年『Let It Come Down』/ 2012年『Look To The Sky』)が好きだったんですよ。スマパンと全くサウンドが違いますからね。レコーディング・メンバーを集めるときに(高桑)圭くんのCurly Giraffeを聴いてみるとジェームスのサウンドに近いものがあったのでこの二人を組み合わせてコーラスをやってもらったりしたら気持ちいいんじゃないかなとか……そういう組み合わせを考えながらメンバーを集めたから。自分のルーツになっているロックに向き合うためなのでメンバーのそれぞれにロックの気質がはっきりありますよ。
––––In Phaseでツアーを開始するにあたってはアルバムの再現性とライヴでの新たな展開のどちらを重視されましたか?
両方ですね。とくにジェームスについてはあまり再現性を求めていなかったんですが、例えばDVDの副音声でも話をしているように(DVDにはメンバーがライヴを振り返る副音声も収録)彼はライヴでも想像した以上にカッチリとギターを弾いているんです。失礼な言い方だけど「ちゃんと弾いてくれてるじゃん」って(笑)。
––––バンドらしさが出来てきたのはレコーディングからですか?
うーん、本当にバンドらしくなったなと思ったのはツアーを始めてからですね。ジェームスはツアーに参加すると決まってからも「こんな短いリハーサル日程で(公演を)やるの?」とか「こんなにたくさんの曲数は出来ない」とか言ってね。アルバムの曲だけじゃないってことが分かったら「そんなの聞いてないよぉ」みたいな(笑)。だけど練習熱心でしたよ。ツアーのリハーサルが終わってからも練習していました。だからツアーでは会場毎のグルーヴは間違いなくあるんですけど、みんながやっていることはわりときっちりとしていたんじゃないかなと思いますね。
高橋幸宏 with In Phase – 『PHASE』Official Trailer
––––METAFIVEでは80年代の曲を再現するということでの新鮮さってありましたか?
とくに“CUE”(YMOの1981年のアルバム『BGM』に収録)は当時に近いトラックでやるというのは何十年ぶりでしたから、僕が新鮮というよりはライヴを聴いてくれるお客さんとかリスナーのほうが新鮮だったかもしれないですね。ド頭で“CUE”と“BALLET”をやっちゃうっていう大サービスでお客さんがすごく喜んでくれたことは実感しました。お客さんが「キタっ!」って思っているのが分かりましたね
––––In PhaseとMETAFIVEを聴き比べると、In Phaseは明らかに音そのものにウネリがあってMETAFIVEのほうが聴感的に音が堅いと思いました。
それはミックスの段階から意識はしていました。ミックス・エンジニアはどちらも飯尾(芳史)くんなんだけどMETAFIVEのマスタリングは砂原くんですからソリッドなテクノの音になっています。