機材が多いからリハーサルがたいへんそうだなぁ(笑)
––––この二つのライヴ・アルバムの選曲で驚いたのはバンドの形態が全く異なるのにどちらも最後が“Something In The Air”(1981年のソロ・アルバム『ニウロマンティック』に収録)だということです。聴き比べてみたらIn PHASEとMETAFIVEではぜんぜん違っています。
そうそう! 実はこの曲を自分でドラムを叩きながら歌うのは初めてなんです。ソロのライヴではかなり唄っているけど今まではドラムはスティーヴ(ジャンセン/元JAPANのドラマー)だったりデイヴィッド(パーマー/元ABCのドラム)とかね。だから自分の曲なのに「ライヴで唄いながらどうやってドラム叩けばいいかな?」って思って(笑)。それで参考にしたのが<One Fine Night>(高橋幸宏生誕60周年記念ライヴ)でのスティーヴのドラムを聴いて参考にしました。
––––METAFIVEのほうが全体的にノリが前のめりに聴こえます。それはクリックのせいで?
うん、どうしてもクリックに影響されますね。そこを乗り越えることが面白い。ライブ全編を通して、In Phaseではリズム(ドラムとベース)は揺れてもそれがグルーヴになるからいいやって思うけど、METAFIVEでは出来るだけジャストに叩こうとしています。
––––In PHASEとMETAFIVEのそれぞれのグルーヴ感の大きな違いは?
ベースとドラムのアンサンブルの違いですね。In Phaseでは圭くんがナマのベースを弾いていて、METAFIVEではまりん(砂原)くんがクリックを聞きながら頑張ってベースをキーボードで手弾きしています。ドラム自体がやっていることは同じなんだけどノリが自然と違ってくる。ミックスするときに「つくづく違うんだなぁ」って自分で感心しました(笑)。どっちがいいってことはないんだけど。
––––敢えて聞くとIn PhaseとMETAFIVEではどっちがドラムを叩きやすいですか?
えぇ!? うーん、In Phaseのほうが叩きやすかったです(笑)。METAFIVEではまりん(砂原)くんが手弾きをしてくれてはいるんだけど、全員がクリックを聴いているからベース・ラインは少しだけノリが前に行くんです。ナマだとノリは常に少しだけ揺れるか、あるいは少しだけ後ろに行きます。実は昔のYMOでもベースはほとんどプログラムはしてなかったんです。細野(晴臣)さんが弾いているからリズムはジャストか、ちょっとだけ後ろでした。
––––その二つの異なる幸宏さんのバンドが<WORLD HAPINESS>に出演されるんですよね。
自分のソロ名義で一日で二つやるっていうのは初めてです。二つのバンドのリハーサルを並行してやるっていうのもやったことないな。機材が多いからリハーサルがたいへんそうだなぁ(笑)。