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2017年2月16日(木)にBunkamura オーチャードホールにて上演される<ケルティック 能『鷹姫』>の音楽ディレクター、マイケル・マクグリンにインタビュー。音楽と向き合う姿勢、ケルティック・コーラスと能が共演に至った経緯を語る。

“中世アイルランドの音楽を現代に蘇らせる”というコンセプトのもと、1987年に結成されたケルティック・コーラス・グループ、アヌーナ。複雑に変化する旋律と、ポリフォニックな声の重なりが創りだす神秘的な音場空間は、デビュー当初から圧倒的な評価を獲得した。アイルランドの歴史をモチーフにして全世界で大ヒットしたダンス舞台『リバーダンス』には1994年の初演時から参加。そのワールドツアーから離れた後も独自の境地を開拓し、いわゆるケルト音楽の枠にとどまらない活躍を続けている。

そのアヌーナが2017年2月、日本を代表する能楽師である梅若玄祥氏(人間国宝)と、一夜限りの共演を果たす。題して<ケルティック 能『鷹姫』>。もとになる演目の『鷹姫』とは、アイルランド人の作家でノーベル賞も受賞したW.B.イェイツ(1865〜1939)が日本の美意識に刺激され、今から100年前に執筆したもの。千数百年におよぶ能の歴史において唯一、外国人原作で今もなお演じられている新作能だ。

ともすれば「ケルトの神秘」的なキーワードで語られがちだが、アヌーナによって再構築された中世のコラール音楽(讃美歌)はきわめてモダン、かつ緻密な構造を持っている。グループの創始者/リーダーであり、ソングライティングと全楽曲のアレンジも手掛けるマイケル・マクグリンは自他共に認める親日家で、物腰の柔らかいジェントルマンだが、音楽と向き合う姿勢は誰よりも厳しい。そんなマイケルが、能というまったく違う土壌のパフォーミング・アーツとの共演を決めたのか──。ケルト音楽のみならず世界のコーラス・ミュージックをリードする“スーパースター”に、その本意と、プロジェクトにかける意気込みを聞いてみた。

Interview:マイケル・マクグリン

【インタビュー】ケルト音楽×能 “ケルティック 能『鷹姫』”。人間国宝と世界のコーラス・ミュージックのスーパースターが追求する境地とは interview_takahime_IMG_0414-700x467

──まず、オファーを受けた際の第一印象を教えてください。

申し訳ないけれど、最初は無理だと感じました(笑)。そもそも、西欧人が「能」という芸能を理解するのは難しい。もちろん舞台を鑑賞して、わかった気になるのは簡単です。しかし、それがいかに生まれ、代々どう引き継がれてきたのか。シンプルに見える物語が実は日本文化のどんな部分を踏まえ、象徴しているのか──。そういった知識がないと、単純に表面をなぞっているだけで、本質には近付けないと思うんです。高度に洗練された日本のパフォーミング・アーツと自分たちのコーラスを、本当に同じ舞台上で繋ぐことができるのか。正直なところ、お話をいただいた時点で僕自身は懐疑的でした。

──それでも今回、<ケルティック 能『鷹姫』>に挑もうと思われた理由は?

1つは、梅若玄祥先生という素晴らしいアーティストと共演できるめったにないチャンスであること。それ以上に大きかったのは、いろいろ考えを巡らせていくなかで、分野こそ違えどお互いの追究している境地が意外に近いと思えてきたことです。それも見かけ上の意匠ではなく、もっと深い、表現のコアに関わる部分で……。

大谷隆之(オオタニタカユキ)

大谷隆之(オオタニタカユキ)

フリー編集・ライター

フリー編集・ライター。大阪、北河内出身。音楽・映画・コミックなどエンタテイメントを中心に、幅広いジャンルについて執筆。「ミュージック・マガジン」「CDジャーナル」「ナタリー」「キネマ旬報」「東京人」などに寄稿。単行本『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』(スペースシャワーネットワーク)の企画・編集を担当。

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