2016年の結成以来、前向きな「ほんとに日本のバンドなの?」というリアクションを度々引き起こしてきたTAWINGS。現行の海外インディーと共振するようなガレージ、ポストパンク、ニューウェーブなどの要素を消化したバンドサウンドは、ローファイというより、どこか危うい雰囲気をまとった純度の高いものだ。

これまでザ・レモン・ツィッグス(The Lemon Twigs)、ハインズ(Hinds)、ジャパニーズ・ブレックファスト(Japanese Breakfast)など数多くの海外アクトのサポートアクトを務め、2018年には<SXSW>にも出演。リリースもデジタルリリースと7インチやカセットというこだわりを見せ、アーティスト写真やMVなどのビジュアルもアンニュイかつDIY精神に富んだオリジナリティをナチュラルにまとっている。そんな彼女たちが以前オムニバスに収録されていたルー・リード(Lou Reed)のカバーを8月に単曲でデジタルリリース。さらに11月には全貌が見えそうな1stアルバム『TAWINGS』もリリース予定。

個人的には80年代のニューウェーブ・バンドが持っていたような、業界の慣習にとらわれない、オルタナティヴなマインドのアーティストを思わせるサウンドと佇まいを持つTAWINGSが20代であることに謎を感じずにいられないのだが、その謎も含めて彼女たちの現在地を探ってみた。

Interview:TAWINGS

━━20代でこういう音楽をやってらっしゃるのが新鮮で。そもそもどんなきっかけで結成したんですか?

Cony Plankton(Vo./Gt. 以下、Cony) 最初は海外の現行のインディーに憧れて始めました。

━━どんな出会いだったんですか?

Cony eliyちゃんはタワーレコードのバイトで出会って、「やりたい」って一瞬で言ってくれました(笑)。Yurikaちゃんは結婚式の三次会で紹介してもらいました。

Yurika(Dr.) もともと顔見知りではあったんです。

━━いわゆるガールズバンドっていうくくりじゃなくて、音楽を0からやってる感じがしたんですよ。

Cony そうですね。日本の女の子がバンドをやるとアイドル視されて、そのせいでビジュアル先行みたいになるとすごくもったいないな、と思ったんで、そこはストイックにバンドのブランディングとして意識しました。

━━現行の海外のインディーもですが、80年代のニューウェーブ感もありますね。

Cony 私は完全に親の影響なんですけど、タワーレコードの仲間が、割とニューウェーブ、ポストパンクが好きで。基本80年代がすごく好きなんです。80sに影響を受けている現行のバンドを見つけるとすぐにハマります。

TAWINGS – Listerine (Official Audio)

━━UKやUSで女の子たちがDIYで始めた頃のニュアンスをすごくみなさんに感じるんですよ。

eliy(Ba.) 嬉しい。実際にすごく意識しているし、曲以外でもアートワークやMVの一つ一つにもこだわりをもってやっています。

━━少なくとも日本のバンドをコピーしている感じはないから。

Cony あ、でもゆらゆら帝国とかはすごくリスペクトしてます。

━━8月にルー・リードのカバー“MAKE UP”をデジタル・リリースしましたが、その理由は?

Cony カバーはもともとお世話になっているイベントをやっている方が、カバーアルバム(V.A.『RHYMING SLANG COVERS』2017年)を作る際に誘ってくださって提供した曲なんです。何の曲をやるかちょっと迷ったんですけど、友達の勧めでこの曲を聴いた時に、ルー・リードの歌い方が、私の発声と一致したというか、歌いやすかったんです。アップテンポな歌モノはあんまり私に合わない気がしたので、ルー・リードの語り口調みたいな歌い方が良くて選びました。その上、歌詞が割とガーリーな内容でそこもポイントでした。

TAWINGS – Make Up (Lou Reed Cover)

━━ところで3ピースになってからバランスは変わりました?

Yurika サポートはいるんですけど、視覚的に3人だから1人1人の責任感じゃないですけど(笑)、それは出てきたのかな。

Cony 単純にルックス的に3人組ってかっこいいよね、と思います。笑

━━3ピースといえばスリッツ(The Slits)とか。

Cony うん。スリッツも大好きです。

━━サウンドももちろんですけど、スタンスも、お手本が今の時代にはないタイプの音楽だと思います。

Cony そうですね。もうその時その時でやりたい曲の雰囲気も全然違って、なんだろ? ジャンルにとらわれない音楽性って、すごく良い言い方で表現してもらうことが多いんですけど、1つのジャンルにまとまることができないんですよ、飽きっぽい性格なので。

Yurika ジャンルで聴かれると難しいよね。

Cony 新曲を作りながら気付いたんですが、プレイスタイルはミニマルな方向を目指したほうが自分たちの良さを表現できるなと思いました。

TAWINGS – Invisible (Official Video)

━━そのミニマルさが音楽としてアウトプットする際、純度の高さに繋がっていると思います。

Yurika ドラムについては、自分が今好きな感じのドラマーは、坂本慎太郎バンドのドラムの菅沼雄太さんなんですが、坂本慎太郎バンドの時は菅沼さんも手数が多いわけじゃないけど、素敵フィルをいい具合に入れている気がしていて。そういうのが好きなのかなという気がしますね。

━━現在はアルバムを制作中なんですか?

Cony はい。2019年内に出る1stアルバムを頑張って作っています。単純に曲を作るのが遅くて、前回のシングルリリースからもかなり時間が経っているんですが、その間に自分の音楽性に変化があって、曲のテイストがばらばらなんです。それを1つのアルバムにまとめるのがすごい大変ですね。

━━皆さん、1つのバンドをやっているように見えないぐらい、各々の個性があるのが面白くて。それは音楽で繋がっているからですか?

Cony うん、そうだと思います。

eliy そうだね。みんな好きなものははっきりしてるけど、色々吸収し合ってもいるのかなって思います。

Cony 3人とも違いますけど、共通言語はすごくあります。

━━新曲はいろんなタイプが?

Cony 音楽性は結構変わったと思います。たとえば今作っている曲とかは、ある意味、これまでと全然違うことをやろうと思っています。みんなに愛される普遍的なメロディを作ってみたくて、今まで全然気にしなかった部分に着目して書き進めています。

━━そして近々のライブがphewさんとの共演で、すごいことですね。

Cony やばいですよ!

━━どういう経緯で共演することに?

Yurika mmm(ミーマイモー)with Emerson Kitamuraさんの企画で呼んでいただきました。

━━phewさんはもう活動歴35年ぐらいの日本のニューウェーブの元祖的存在で。

eliy オープニングアクトみたいな感じではなく普通に3マンみたいな感じなんですよ。信じられないけど、かなり気合いが入ります。

Cony もともと私がphewさんを好きだったんです。phewさんのアルバムを何枚かレコーディングしているコニー・プランク(Conny Plank)というプロデューサーがいるのですが、私のコニープランクトンという名前はそこからきています。phewさんの曲をきっかけにコニー・プランクを知ったくらいなので、ついにお会いする時が来たなと思って……、緊張します。

Phew Live – SuperDeluxe Tokyo 2014

━━そしてLuby Sparksとのダブルヘッドライン的な企画<DREAMTOPIA>もありますね。こちらはゲストがjan and naomiというすごい顔ぶれで。

Cony 初めての企画です。Luby Sparksは昔から親交が深い盟友で、いつか何か一緒に作りたいと思っていたので相当気合い入ってます。

━━彼らを盟友と思う理由は?

Cony 結成時期も一緒で、お互いライバル視しながらやってきました。特にNatsuki Katoが、ものすごい気にしてくるんですよ。「バンドどうなんですか、最近」って(笑)。なので私も会うたびにガサ入れしてます。

Yurika 観察力がすごい(笑)。

Luby Sparks | Look on Down from The Bridge (Live at Shibuya WWW X)

━━この2バンドでやる意義を感じます。

Cony 感じます。そして悩んだ結果のjan and naomiさんという豪華ゲストです。

━━すごく精神的な世界が高いイベントになりそう(笑)。

一同 ははは。

Cony 思想がすごい(笑)。

Jan and Naomi MUSIC SHARE#40 @ Red Bull Studios Tokyo

━━全員ストイックな感じですね。

Cony それぞれのブランディングがぶつかり合って3者3様になっていくと思います。

eliy でも来てくれるお客さんもそれを気に入ってくれるんじゃないかな?

Cony もちろん。この3マンだと、まだうちらはポップな方だよね。基本、テンション低い人しかいない(笑)

Yurika 確かに。

━━今年後半は楽しみなライブもありますし、本格的にバンドの全貌が見えそうなアルバムリリースも楽しみにしています。

Cony アルバムが出たら多分、いろんなことが変わると思うので丁寧に過ごしていきたいと思います。

Artist Photo by toki
Other Photo by 山本華(Hana Yamamoto)
Text by 石角 友香

TAWINGSインタビュー|海外インディーと共振するオルタナティヴなマインド interview1002_tawings_2500-1920x1440

TAWINGS
Cony Plankton(vo, g)、eliy(ba)、Yurika(dr)
 
2016年結成の3人組バンド。ガレージ、ポストパンク、ニューウェーブなど様々な要素を飲み込んだサウンドで、東京を拠点に活動。2017年5月に1stシングル『Listerine/Dad Cry』を7インチでリリース、その後2018年1月に2ndシングル『Invisible/UTM』をカセットでリリース。The Lemon Twigs、Hinds、Japanese Breakfastなど多くの海外アーティストのサポートを務め、2018年の SXSW に出演、初の海外公演を行った。2019年10月15日にLuby Sparksとの共同企画<Dreamtopia>を WWWで開催。2019年11月20日には1stアルバム「TAWINGS」をリリースが決定。

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RELEASE INFORMATION

TAWINGSインタビュー|海外インディーと共振するオルタナティヴなマインド interview1002_tawings_JKT_2500

水仙

2019.10.02(水)
TAWINGS
Digital Release ONLY
配信/ダウンロードはこちら

TAWINGS | 水仙 (Official Music Video)

1st Album 『TAWINGS』

2019.11.20(水)
TAWINGS
DDCB-12112
AWDR/LR2
¥2,400(+tax)

EVENT INFORMATION

TAWINGSインタビュー|海外インディーと共振するオルタナティヴなマインド interview0920_tawings_DTFlyer

Luby Sparks & TAWINGS Present <Dreamtopia>

2019.10.15(火)
OPEN 18:30/START 19:30
Shibuya WWW
ADV ¥3,000/DOOR ¥4,000(1ドリンク別)
LINE UP:
Luby sparks
TAWINGS
jan and naomi
TICKET:

チケットぴあローソンチケットイープラス

詳細はこちら

IN OUR BONES

2019.10.5(土)
OPEN 12:15/START 12:30
下北沢THREE
ADV ¥3,000/DOOR ¥3,400(1ドリンク別)
LINE UP:
phew
TAWINGS
Mmm with Emerson Kitamura
TICKET:
wakanahosoi@gmail.com

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