ネオソウルやヒップホップ、新世代ジャズなどを昇華した現代のポップ・ミュージックとして、グッド・ミュージック好きの心をとらえて離さない存在になったTENDRE。ベースに加え、ギターや鍵盤、サックスなども演奏するマルチプレーヤー河原太朗が自身で歌うソロ・プロジェクトという認識も浸透しつつ、何より音楽そのものが広く聴かれるようになった事実がある。2017年12月リリースのEP『Red Focus』、翌年10月にはtofubeatsがリミックスを手がけた楽曲“RIDE”も含む1stアルバム『NOT IN ALMIGHTY』と、コンスタントにリリースを重ね、その音楽が響く層も自然と拡大してきた。

ライブを重ねる中で、演奏力や小気味いいセンスはもちろん、意外とお茶目(!?)なキャラクターも知られることとなり、情熱的な演奏とユーモアに満ちたMCが醸し出す空間がクセになるファンも増殖中だ。今年はいわゆるジャパニーズポップやロック系のフェスにも出演。そして今後は初の<GREENROOM FESTIVAL>、昨年に続いての<FUJI ROCK FESTIVAL>への出演も決定している。

また、Charaの近作『Baby Bamp』収録曲でプロデュースを行い、ツアーではバンマスにも抜擢。これまでにはYOGEE NEW WAVES、Ryohu、sumikaのレコーディングに参加するなど、ジャンルも横断的だ。

そんなTENDREが4月の“SIGN”に続き、5月には生楽器を使用していない楽曲“CHOICE”を配信リリース。意外なこの新曲を糸口に、TENDREの現在地を話してもらった。地元・大倉山でのロケを終えたタイミングでのインタビューで、時にラフに時にじっくり言葉を探す彼の実像が伝わるかと思う。

Interview:TENDRE

TENDRE・河原太朗が語る、音楽への向き合い方|自由にやり続けるために嘘をつかない interview190517-tendre

――先日「CHOICE」がリリースされましたが。リズムのアプローチも全然変わって面白い曲ですね。

そうですね。ソロプロジェクトというか、1アーティストとしてのあり方を去年ないし、最初のリリースから色々考えつつ。去年で自分の中での土台は作れたような気はしたんですけど、新しい年になった時に結構この先をどうやって生きていくかというところで、考えてて。

――大きなテーマですね。

ま、なんとなくなんですけどね(笑)。例えば5年後とか。何かに追われてはいけないなと思って。レーベルとこういうタイミングでこういうの作ったらいいんじゃない? って話をしたりとか、そういう物事を順序よく進めるっていうのは自分の中で大事なんですけど、やっぱり創作においてはやりたいことを自由にやり続けるために嘘をつかないというのはなんとなく、今年は特に大事したいというのは思ってて。

“CHOICE”とかも、基本的に生楽器は今回入れない、要はPC上で完結するもんだったりとか、別の環境から録ってきた音を使っただけのものだったんです。マルチプレーヤーと称されることが多い中で、かと言って別に楽器を触らないといけないというルールは誰も作ってはないですし、それは音楽のジャンルも然りだと思うので、“CHOICE”が全てを物語ってるというよりはやってみたいことの一つとして割と電子的なアプローチをやってみようかなという、アイデアの破片をちゃんと形にしたものというか。ですし、今年に入って、色々自分の中での可能性の幅がすごく広がってきたからこそ、一つの破片として、まず最初にこの“CHOICE”をリリースできて、そこはすごいよかったかなと思ってますね。

――活動が長期展望というか、短観ではないんだなということがこの曲でわかりました。

まぁそうですね。やっぱり何かを作るのであれば、やっぱり愛されるってことも大事ですけど、自分が愛すべきものを作らないといけないと思うんで。そこが、いっときにいい盛り上がりがついてっていう喜びで終わってしまうよりかは、ずっと続く喜びをちゃんと自分の中に、とどめていけたらなと、なんとなく思いながら最近生きてますね(笑)。

――いい意味でTENDREどうなっていくのはわからないなという謎が生まれた感じがします。

具体的にやりたいこともいっぱいありますし、それが例えばよりおっきい会場でってことだったりとか。でもあまりそれに照準を定めすぎちゃうと、そこに向かってる時に色々失ってしまうものもあったりするんじゃないかなと思って。やっぱその場で巡り合った何かのタイミングだったりとか、人だったりとか、音だったりもそうですけど、それをいかにちゃんと自分の中で鮮度をいい状態で捉えられるかだと思うんで。

言っていくことも大事だし、その場で思いついたことをちゃんと体現していくっていうこともすごく大事なのかなと思いながらやってますね。生き様って言ったらちょっとあれですけど、でも生き方ってそういうことなのかなと思ってて。自分はやっぱ音楽で生きていくって中でも、そういう生活を含めた価値観を変えたくはないので。それを大事にしながらやっていけたらいいなって思いの中のリリースでしたね。

TENDRE・河原太朗が語る、音楽への向き合い方|自由にやり続けるために嘘をつかない interview190517-tendre-2

――そしてこの『SIGN/CHOICE』を冠したリリースツアーが東名阪で、しかもファイナルの東京はお誕生日ですね。

ほんとにね、図らずもなんですけど(笑)。ほんとに。誕生日にライブをやるっていうものほど恥ずかしいものはないじゃないですか。でもむしろもうそういう機会をいただけたのであれば、僕から何か差し上げられるような日にーー他の名古屋、大阪もそうですけど、あくまで自分の生誕ではあったとしても、自分にできることをプレゼントっていうんですかね、何か差し上げられたらいいかなって思いで。今はそういう思いでとりあえずいるかな、と(笑)。

――だんだんツアーで回る場所も増えていき。

そうですね。自分の身の回りのバンドなりミュージシャンがいろんな形で大成をする中で、去年から色々と自分の中での状況が楽しくなってきたっていうところもありますし、だからこそ担うものも出てきますから、そこはいい緊張感を持ちつつというか。だし、周りの仲間だったり、例えば世間的なものに左右されずにというか、周りも受け入れた上で自分はこうあるべきだってことを例えばワンマンも通してそうですし、作品を通してもそうですけど、自分なりの大成をそこで日本の音楽界にもし作れたんだったら、それ以上に幸せなことはないなと思いますし。

TENDRE・河原太朗が語る、音楽への向き合い方|自由にやり続けるために嘘をつかない interview190517-tendre-4

――今年すでに春フェスのタームは終わり、初夏から夏には<GREENROOM FESTIVAL>や<FUJI ROCK FESTIVAL>への出演も決まっています。

<GREENROOM FESTIVAL>はそれこそ地元・横浜なので、なんかこうやっと出れるなというか、待ち焦がれてたフェスの一つですし、まぁフジも昨年に続いてというところで、非常にありがたいことに。両方とも自分もお客として遊びに行ってた、特に思い出のあるフェスでもあるわけですから、そこに堂々と出れるっていうのはすごくありがたいなと思うし、だからこそ生半可なことはしたくないかなというか。

ベストな演奏をするっていうことよりもいかに自分の中で情熱を滾らせるか?ってことがすごく大事かなと思ってて。心地よいライブをするっていうことよりかは、僕はどちらかというと、それがエモーショナル、「エモい」っていう言葉とかになっちゃうとあれなんですけど、なんかちゃんと自分が思い入れを抱いてきたものだからこそ、じゃそこでその思いを昇華させられるかどうか?ってことが自分自身としてはすごく大事な部分かなと思いますし、それを通してお客さんにその情熱だったり、そこでしかない盛り上げがもし生み出せたのなら、それが自分の中での一番価値のあることかなって思いますね。

――<FUJI ROCK FESTIVAL>に出演するアーティストはいくら洗練された音楽性でも、普段以上にステージにかける熱量を感じます。

一昨年、ネバヤンが苗場食堂でやってたのが良かったことをふと思い出したんですけど。もちろん他のアクトの時ももちろんすごい瞬間あったんですけど、その場でしか作れない熱量って、ライブハウスでもないし、それを見れることなかなかないじゃないですか。だし、自分はそれを作る側だから、自分で見れることはもちろんないと思うんですけど。いかにその景色を焼き付けるかというか、自分のエネルギーが唸ってる中で見ている人にどんどんと染み付いていくものでもあると思うから。そこが前提というか、そうできたらいいなっていう思いが今、強いですね。

TENDRE・河原太朗が語る、音楽への向き合い方|自由にやり続けるために嘘をつかない interview190517-tendre-1

Text by Yuka Ishizumi
Photo by Hayato Oishi

INFORMATION

SIGN/CHOICE

Now on Sale

TENDRE『SIGN / CHOICE』RELEASE ONE-MAN TOUR

2019.06.07(金)
愛知 池下UPSET
OPEN 19:00/START 19:30
ALL STANDING ADV ¥3,500 税込(ドリンク代別途必要)
ぴあ(P:146-939)/ローソン(L:42392)/イープラス
tel:052-936-6041(JAILHOUSE)jailhouse.jp

2019.06.09(日)
大阪 梅田Shangri-La
OPEN 18:30/START 19:00  
ALL STANDING ADV ¥3,500 税込(ドリンク代別途必要)
ぴあ(P:146-765)/ローソン(L:51915)/イープラス/モバイルサイトGREENS!チケットhttp://www.greens-corp.co.jp/
tel:06-6882-1224(GREENS)greens-corp.co.jp

2019.06.15(土)
東京 渋谷WWW X
OPEN 18:00/START 19:00
ALL STANDING ADV ¥3,500 税込(ドリンク代別途必要)
ぴあ(P:146-905)/ローソン(L:72728)/イープラス(プレ:3/26 12:00 – 31 18:00)/岩盤 http://ganban.net
tel:03-3444-6751(SMASH)smash-jpn.com

オフィシャル先行発売:3/19(火)17:00 〜 3/24(日)23:59
http://w.pia.jp/t/tendre/
一般発売:2019/4/6(土)〜
企画:Rallye Label
制作:SMASH CORPORATION

GREENROOM FESTIVAL’19

【日程】2019年5月25日(土)・26日(日)
【会場】横浜赤レンガ地区野外特設会場
【主催・企画・制作】グリーンルームフェスティバル実行委員会
【後援】横浜市文化観光局、横浜港運協会、(⼀社)横浜港振興協会
SPACE SHOWER TV、J-WAVE、FMヨコハマ、InterFM897、TOKYO FM

HPTwitterInstagramFacebook

FUJI ROCK FESTIVAL’19

【日程】2019年7月26日(金)・27日(土)・28日(日)
【会場】新潟県 湯沢町 苗場スキー場

HPTwitterInstagramFacebookYouTube

TENDRE

HPTwitterInstagram