ホワイト・ストライプスの要であり、ザ・ラカンターズの司令塔であるジャック・ホワイトのサイド・プロジェクト、ザ・デッド・ウェザー(The Dead Weather)。メンバーはザ・キルズのアリソン・モシャート(Vo)を筆頭に、ザ・ラカンターズのジャック・ローレンス(B)、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのディーン・フェルティタ(Gt)と凄腕ぞろい! あのジャック・ホワイトがドラムを叩き、ホワイト・ストライプス/ザ・ラカンターズとは異なる魅力で世界中のファンを魅了している。

実に5年ぶり3作目となるニュー・アルバム『ドッジ・アンド・バーン』が海外では一足先に発売され、早くも話題となっている彼ら。更に新曲“Be Still”のライヴ・パフォーマンス・ビデオの公開や、5年ぶりのテレビ出演となった米人気TV番組『Late Show with Stephen Colbert』でのパフォーマンスなど、精力的な活動によりその勢いは増すばかり。

さらに10月7日(水)の日本盤の発売を記念し、期間限定全曲試聴がホステス公式YouTubeにて開始。いよいよ新作への期待が高まる、ザ・デッド・ウェザーだが今回ギタリスト、ディーン・フェルティタのインタビューが到着! アルバムへの想いや、バンドのこれからにヴィジョンついてなど貴重な話を語ってもらった。

▼【全曲試聴】ザ・デッド・ウェザー『ドッジ・アンド・バーン』

text by Qetic

Interview:Dean Fertita[The Dead Weather(Gt)]

ーー今回、レコーディングは時間を見つけて、断続的に行なわれたとのことですが、アルバムを制作しようという思いはいつ頃から抱いていたのですか?

2年前くらいかな。まずはシングルからレコーディングしようと決めて、「サードマン」の会員向けサービス「Vault」からリリースしたんだ。シングルを幾つかリリースして、それをまとめる形でアルバムをリリースするっていう昔ながらのやり方をなぞるっていう意味もあったし、同時に僕らのスケジュール上、レコーディングをする時間を見つけるためにもそれがちょうど良いやり方だった。それで4曲を2つのシングルとしてリリースして、そのあと僕らが住んでいるナッシュヴィルで、全員の休暇が重なる機会があった。最初はそこでもうひとつのシングルを作るつもりだったんだけど、結果的にそのまま2週間くらいでアルバムが出来上がったんだ。最初のシングルを2年前にレコーディングして、その1年後くらいに次のシングルをレコーディングして、3度目のレコーディングでアルバムが出来たから、アルバムの制作にかかった時間は全部合わせて実質3週間半くらいだったけど、スケジュールの都合上2年かかった。それぞれのレコーディングの間隔が長かったから、アルバム全体としての統一感に欠けるんじゃないかっていう不安があったけれど、実際出来たアルバムを聴いてみると、アルバム全部が継続的にレコーディングされたようにも聴こえるものになっていると思う。それは僕らが実際ひとつの部屋に集まって曲を作っている時の様子、先入観や事前のアイデアを持たずに、自然とリラックスした雰囲気でお互いに反応し合う僕らの関係が、時間が経っても変わっていないことの表れでもあると思うよ。

ーーザ・デッド・ウェザーの過去2作は、あなたがソロ・アルバムをリリースする前の作品でした。でも、今回はソロとしてのキャリアがある上でのリリースで、今、あなたにとってザ・デッド・ウェザーをやる理由というのは、どういうものなのでしょう?
※ディーン自身も2009年(ザ・デッド・ウェザーの前アルバムのリリース前)に初のソロ作品をリリースしている)

さっきの質問に答えている間にも気付いたことだけど、僕らが今回のアルバムを作った理由は単純にそれをやりたかったからで、次のアルバムを作るまで何年もばらばらでいたくなかったんだ——プレッシャーとは無縁に、全員で一緒にバンドとして自分たちのやりたいことをやるっていうのはとても解放感があるし、僕らはお互い知り合って長いから、それぞれの人格の普段とは違う面を引き出し合うことができて、一緒にレコードを作るのはとても自然な作業なんだよ。時間が経ってもそういう関係はずっと変わっていないし、僕らの友好関係に変化はないと思う。

ーーわたしが感じたのは、このバンドは4人のメンバーによる自立したバンドになっているということでした。もうホワイト・ストライプスの幻影も探さなくていいし、ソロの代わりでもないという。あなたはどう思いますか?

うん、このアルバムは僕らがこれまで作ったレコードの中で、一番僕らをよく表しているアルバムになっていると思う。僕らそれぞれの演奏も一番良いものになっているし、僕らのやりたいことが以前よりもはっきりしていたから、それをアルバムに落とし込みやすくもあった。ジャックのドラムも今までで一番良いと思うし、作詞やアリソンの歌もとても良い。(ザ・デッド・ウェザーの)レコーディングの度に、僕ら自身もまだ気付いていない新しい視野が生まれてくるのはとてもクールだよ。これまでのアルバムどれも、とても素早くて短いレコーディングで出来たものなんだ。まるでレコーディング自体がひとつの乗り物で、僕ら全員それに乗り込んで発進するみたいな感じさ。そしてそこで出来たものに生命を吹き込むのがツアーに出てライヴをすることなんだ。それぞれの曲をツアー中毎晩違ったアレンジで演奏することこそが、このバンドのエキサイティングなところだよ。だからレコードは僕らのやっていること、僕ら自身が遂げている変化の暫定的な姿だと言える。

▼The Dead Weather – Sea of Cowards – Whole Live Set at Third Man Records

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