京都を拠点に活動するthe McFaddinをご存知だろうか? 2012年の結成以降幾度となく体制を変えながら、様々な世代、ジャンルからヒントを得た柔軟性の高いサウンドを鳴らすバンドとして、着実に頭角を現しつつある5人組だ。そんな彼らはシングルとEPのリリースを精力的に重ねてきたが、7月に満を持してフルアルバム『Rosy』を世に送り出した。今作から新たな楽曲制作方法を取り入れたといい、彼らの放つ音楽はさらなる広がりをみせるに違いない。Qeticでは、バンド史上初となるインタビューを5人全員に行った。

the McFaddin – Live at 京都磔磔(Official Video)

──the McFaddinの母体は2012年に結成されたそうですね。皆さんそれぞれが音楽を始めたきっかけや、バンドが現体制に至るまでの経緯を教えてください。

Gt. 片平泰斗(以下、片平) 僕、自分がなぜギターを始めたのか覚えていなくて、「高校に入ったらバンドをやるぞ!」と思っていたわけないのに、気づいたら軽音楽部に入っていて(笑)。楽器を始めたばかりの頃に、もう脱退してしまった前ドラマーの同級生と、同じく同級生の山田と集まってバンドを組みました。

Vo./Gt. 山田涼生(以下、山田) 最初はNIRVANAのコピーバンドをやっていたんですよ。前ドラマーが脱退してから1学年下の後輩の安東が入ってきました。僕と片平、安東の3人はよく音楽の情報交換をしていましたね。高校時代は王道のミクスチャーロック、ポップス、UKロックにもハマりました。ヒップホップも聴いていたしね。

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Dr. 安東悠羽(以下、安東) 僕がバンドに入った当初は、The BirthdayやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTといったガレージロックバンドをコピーしていました。聴いていた音楽はKASABIAN、Rage Against the Machine、Red Hot Chili Peppersなどだったと思います。音楽を始めた経緯は、5歳からピアノを弾いていたんですが小学校高学年くらいで飽きてきて、父親がドラムをやっていたのもあってドラムのスクールに通い始めたんです。中学校では吹奏楽部でコントラバスを弾いて、高校では吹奏楽部と軽音楽部を掛け持ちしていたんですけど、その頃に山田や片平に会ってバンドにシフトしたという感じです。

Ba. 松永 雅之(以下、松永) 僕も高校時代にクラシックのコントラバスを弾いていたので、そもそも「楽器を弾く=ポップミュージックをやる」という感覚ではなかったんですが、20歳くらいになってエレキベースもやってみようと思い、このバンドに参加してるという感じです。

Gt. 前田圭昭(以下、前田) 僕がみんなと出会うのは彼らが大学に入ってからなんですが、僕のルーツはRADWIMPSなどの日本のバンドです。

the McFaddin 1st Full Album “Rosy” Official Trailer

──アルバム『Rosy』収録曲には打ち込みの音が効果的に使われているものが多いですが、このような打ち込みと楽器が融合した楽曲は、作曲段階でどのようにして組み立てているのですか?

山田 僕と安東、片平は打ち込みでも楽曲を作ることができるので、家でパソコンで作ったものをスタジオに持ち寄ってメンバーに聴かせて、「やってみようぜ!」となればどの楽器がどのパートを弾くかを固めていきます。バンドに落とし込んだのもをもう一度持ち帰って、打ち込みでブラッシュアップしてまたスタジオへ持っていく。削ったり足したりの繰り返しです。

片平 すべての楽曲がその手順を踏んでいるわけでもなくて、2時間スタジオに入るだけで完成したり、1か月以上かかったり、曲によってさまざまです。今作の収録曲だと“Dear, rosy McFaddin”は半年くらいかかりました。最初はまったく違うテイストだったんですが、ライブで演奏しながらアレンジを変えていきました。

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安東 僕らの曲は「やってみたらこうなった」という曲も多い中、“Dear, rosy McFaddin”は「こういう楽曲にしたい」という最終地点を決めて作り始めた曲で、今までにあまりない試みだったので難しかったです。

前田 コンセプト先行でいろいろ試して作り上げた曲なんですが、何度か挫けそうになりましたね(笑)。ただ、山田、片平、安東が一緒に住んでいるので、一度スタジオで作業をしたら、次回集まるまでにある程度進めて持ってきてくれるんですよ。その上で「こう弾いてみて」と言ってくれると僕らも乗っかりやすいですし、このバンドのやりやすいポイントだなと思います。

松永 シンプルなオルタナティブサウンドで、ギターもドラムも直球の生音で、コードをバーンとかき鳴らすような楽曲をひさしぶりにやったんですよね。こういう熱くてヤングなアプローチは僕らの曲には少ないので、面白かったです。

the McFaddin 5th Single Official Trailer

──今作“Rosy”を聴かせていただき、個人的に印象に残ったのは“N.E.O.N”だったのですが、ヒップホップシーンの現行のスタンダードであるトラップのサウンドを取り入れていますよね。

山田 僕の中では“N.E.O.N”はなかなか攻めている曲です。というのも、もともとはthe McFaddinのためではなく個人的にヒップホップのトラックを作っていたんですよ。僕は歌詞を書くときに英語と日本語のバランスをよく考えるんですが、日本語をかっこよく聴かせるラッパーのようなメロディーを乗せたくて。そんなある日家に帰ったら、片平が僕のトラックに音を足していてそれがすごく良かったので、いっそのこと曲の前半と後半をまったく違うものにしたくて、後半をすべて安東に作ってもらいました。ビートに含まれる「チチチチ」という音も、生でやらないとバンドでトラップをやる意味がないので、安東に生で刻んでもらいました。

安東 レコーディングでも実際にパッドに音を入れて叩きました。人力トラップです(笑)。やってみたら意外とできたんですよね。

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──なるほど!ヒップホップを思わせる楽曲もあれば、EDM的エッセンスの強い“Let her down”もあったりと、サウンドが幅広いです。

山田 “Let her down”は2nd EPのリードトラックの再録版です。リスナーのみんなが気に入ってくれた曲なんですが、僕らは「この曲はもっとできるな」と思っていたので、前のほうが良かったと言われてもいいから思いきり作り変えよう!と思ってリミックスしました。ちなみにその次に収録した“Parakeet”は3rd EPからの再録です。どちらも当時とはバンドの体制が変わっているので、音も大きく変わったと思います。

──アルバム『Rosy』全体の制作期間はどのくらいだったのですか?

山田 昨年9月に京都磔磔で行ったライブ後に作り始めました。

前田 作曲はそこから半年間くらい行って、レコーディングを終えたのは今年5月です。

片平 “Fresh air”なんかはレコーディングと並行して作曲しましたね。

the McFaddin 4th Single Official Trailer

──先ほど、完成までに半年かかった“Dear, rosy McFaddin”のお話がありましたが、逆に最も制作期間が短かった楽曲はどれですか?

山田 “Blue tank”は、2回スタジオに入っただけで完成しました。一度、作曲する日に松永がスタジオに来なかったことがあったんですよ。仕方がないので残りの4人で楽器を回しながら、僕が代わりにベースを弾いたりしてみて、その日にできたコード進行とメロディーを持ち帰って家で曲に起こしたのがこの曲です。

片平 不思議なのが、スタジオで鳴らした段階では全然ピンと来なかったんですよね(笑)。次の日僕が家に帰ってきてパソコンにある曲のデータを見たら、昨日とまったく違うものになっていて、「これはいける!」と思いました。

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安東 今まではスタジオで全員集まって作曲することが多かったけど、このアルバムから作曲方法が大きく変わってDTM(パソコンを用いた作曲)を導入したのは大きな変化ですね。

山田 DTMはずっとやりたかったんですけど、まだ技量的にイメージを再現できなかったというのもあるし、機材にもお金がかかるという壁があって。でも最近やっと少しずつ環境が整って、形にできるようになってきました。

the McFaddin 3rd Single Official Trailer

──初めてDTMを用いて作り上げた作品が世に出たわけですが、これらの楽曲はライブではどんなふうに立体化されるのでしょう?

山田 前提として、ライブのほうが絶対に良いと思うんですよ。制作する段階から、ライブで音源をいかに再現するのか、そして生で演奏したときのどう爆発するのかをイメージして作っているので、思いっきり浴びてほしいです。

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──今後この作品を提げて、ライブを始めとする様々な活動をされると思いますが、今バンドとして挑戦してみたいことは何ですか?

前田 まだライブをしに行けていない場所に行きたいね。僕らのツアーは半分旅行みたいなものなんで、観光するんですよ(笑)。先日は高知に行く機会があったので、ライブの合間に飲みに行ったり、滝の見える場所に行ったり。東京に行くときは前乗りして湘南で遊んだり。

山田 東京に行くときは富士急ハイランドに寄ったりもするね。

安東 遊ぶの大好きやもんねぇ。

片平 ライブやイベントも重ねつつ、グッズを作っていきたいです。自分たちのバンドをブランドとしても良いものにしたいので。まだ実現できていないアイデアはたくさんあります。

松永 楽曲の歌詞や世界観に沿ったグッズを作って、好きな楽曲を手に取れるようにするのはすごく面白いんじゃないかと思います。

山田 とりあえずTシャツは準備しています!他にもこれから色々と考えていけると嬉しいです。

──音源だけじゃないこれからのthe McFaddinの展開を楽しみにしています!

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Interview/Text by Natsumi Kawashima
Photo by Yoshihiro Mori

RELEASE INFORMATION

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1st Full Album“Rosy”

M1 Sincerely
M2 Blue tank
M3 N.E.O.N
M4 little gum
M5 Let her down
M6 Parakeet
M7 six
M8“Fresh air”
M9 Dear.Rosy McFaddin
M10 Sleep like a bloom

¥2,500(tax in)

LIVE INFORMATION

1st Full Album -Rosy- Release Party「Hey, kids around the world…vol.5」

2019.08.23(金)
京都・京都磔磔
OPEN 17:30 / START 18:00
GUEST:ベランダ
DJ : SOULMAN

the McFaddin

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