mysoundイチ押しのアーティストにテーマに合わせた楽曲をピックアップしてもらい、その曲にまつわるエピソードから本質を掘り下げていくプレイリスト企画。今回はインディシーンの注目の的、TENDOUJIが登場。8月9日にリリースされた『MAD CITY』は彼らにとって、記念すべき1stフルアルバム。アルバムにかける思いを聞きつつ、『ギリギリの状態でトイレ全て使用中だった時に聴きたい曲』のプレイリストについても話を探っていきます。
Interview:TENDOUJI
ヨシダタカマサ “バンドを始めるまで、こんなに真剣になったことなかった”
——タイトルの『MAD CITY』ってどういう意味なんですか?
アサノケンジ(以下、アサノ) 僕らは千葉県松戸市出身で、別名“MAD CITY(マッドシティー)”って言われてるんですよ。まあ、治安の悪いところで、ヤンキー漫画の舞台にもなってる場所なので。しかもキ『MAD CITY』って響きがカッコイイじゃないですか。だから、このタイトルにしました。
——1stフルアルバムが完成して、どんな手ごたえを感じていますか?
アサノ 出来ることは全部詰め込んだし、好きな感じも出せているので。あとは本当に売れたら良いなって思います。僕らが高校生の時に聴いたら、絶対にハマってる名盤が出来たな、と。
——TENDOUJIは地元の友達で結成されたバンドですが、活動を通してメンバーの変化は感じますか?
オオイナオユキ(以下、オオイ) プロっぽくなってきたというか、楽しませようと頑張ってると思う瞬間はありますね。
——どんな時に思いますか?
オオイ 「今日、体調良くなさそうだな」とか「ノってないな」って状態でも頑張ってる時。中学の頃には見せなかった表情をしてて、こんな一面があるんだ、と思いました。
モリタナオヒコ(以下、モリタ) 良いこと言うじゃん。
——バンドを始めたことで、メンバー同士の知らなかった一面が見えてくるのは面白いですね。
アサノ みんな、ちゃんと真面目にやってるなって感じだよね。
モリタ 真面目を恥ずかしがらなくなった。
ヨシダタカマサ(以下、ヨシダ) バンドを始めるまで、こんなに真剣になったことなかったもんね。
——プレイリストについてもお聞きします。『ギリギリの状態でトイレ全て使用中だった時に聴きたい曲』って、テーマが面白いですね。
アサノ もっと下品なテーマもあったんですけど、これくらいがちょうどいいかなって。
——この自由な発想がTENDOUJIらしいな、と思いました(笑)。では、アサノさんから聞いていきますね。まずは“Back In Black”。
アサノ ニルヴァーナがめっちゃ好きなんですよ。で、カート・コバーンがこのバンドを聴いているって知って聴くようになりました。
——トイレの状況に置き換えると、この曲が流れてる時はどんな状況ですか?
アサノ ドアを蹴破ってでも“したい”っていう(笑)。
——あはははは! なるほど。
アサノ その衝撃で漏れてしまうなら本望な感じです。
——続いてのブラーはいかがですか?
アサノ これはメロディがめちゃくちゃ良いんですよ。癒されるというか、ずっと聴けるなって。イメージとしては中学生です。あの頃ってトイレに行くのが恥ずかしいじゃないですか。お昼ごはんを食べた後の昼休み……みんなに隠れてトイレへ駆け込んだら全て使用中で「・・・嘘だろ」っていう。
——「お前らも入ってたのか」と(笑)。
アサノ そうですね(笑)。そういう状況で聴きたい1曲ですね。
Blur—“You’re So Great(2012 Remastered Version)”
——次はモリタさんのピックアップした曲について、話を聞かせていただきます。
モリタ これは主人公が僕じゃなくて、柴田恭兵なんですけど。バンっ! ってドアを開けたら「やべ! 全部埋まってる」みたいな。
——なんで、自分じゃなくて柴田恭兵をイメージしたんですか(笑)?
アサノ そもそも、ナオ(モリタ)は人前でトイレに行かないんですよ。俺らにバレないように、隠れてこっそり行くタイプで。
——メンバーは付き合い長いから、気にしなくてもいいじゃないですか。
モリタ 長いですけど、自分を知られるのが恥ずかしいんですよね。ちょっと汚い部分じゃないですか。
——“人にやさしく”を選曲したのはどうして?
モリタ 今はトイレがいっぱいって状況はあんまりない気がしてて。昔のトイレだったら和式で、暑くて「早く済ませたいのに、最悪だぁ〜!」みたいな……なので“人にやさしく”です。つまり、トイレから早く出ようよってことを込めて。トイレの中でゆっくりしてるヤツいるじゃないですか。
——「そんなに長く用を足す?」って人いますよね。
モリタ そうなんすよ。だから、この曲を選びました。
THE BLUE HEARTS ー“人にやさしく(デジタル・リマスター・バージョン)”
モリタ 次はLINDBERGで一番好きな曲なんですけど、これも光景が浮かんじゃったんですよね。登場人物は柴田恭兵なんですけど。
——さっきも柴田恭兵じゃないですか。
モリタ あはははは! この曲はどの情景にも当てはまるし、どんなシチュエーションでも泣けると思うんですよ。歌詞も今回のテーマと合致してて。歌詞の《もう少し もう少しだけ》がまだ出ないでくれって思いながら漏らしちゃう。そしたら、“君のいちばんにほんとはなりたかった”で締まるのが凄くオシャレじゃないですか?……と、いうことで歌詞が凄く合ってると思ったので、この曲を選ばせてもらいました。
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text&interview by 真貝
Photo by 山口真由子