Qeticでは初期から追いかけ続けていた水曜日のカンパネラが、約3年間の沈黙を経て、また誰も発想し得ないことを見事にエンターテイメントにしてやってのけた。2012年から主演・歌唱を担当していたコムアイが脱退、そして2代目主演・歌唱として詩羽を迎える──その報せは多くの人を驚かせたと同時にワクワクさせた。
これまで大学に通いながらフリーランスのモデルとして活動していた2001年生まれの詩羽と、水曜日のカンパネラの音楽担当・ケンモチヒデフミ、その他担当・Dir.Fの出会いは、運命的なものだったと断言していいだろう。10月27日に発表された“アリス”と“バッキンガム”を聴けば、今までの水曜日のカンパネラらしさが、しっかりと引き継がれていることがわかるはずだ。その上で、詩羽ならではの表現や欲があることを、このインタビューで知ってもらうことができると思う。
詩羽が水曜日のカンパネラとしてやっていきたいと掲げていることのひとつは「自分と同世代のクリエイターを巻き込んで《水曜日のカンパネラ》を作っていく」ということ。“バッキンガム”のMVは、詩羽と同じ芸術系の大学に通うマイを監督に迎えて制作された。マイは、バンド・WARS iN CLOSETのベーシストを務めながら、自身のバンドを含むアーティストのMVを手掛けている、将来有望な気鋭の映像作家だ。2000年代生まれの感覚に大いに励まされる詩羽とマイの対談を、ここにてお届けする。
さらに、Qeticが独占で密着した“バッキンガム”のMusic Videoの撮影現場のフォトレポートも。インタビューとあわせて楽しんでいただきたい。
対談:
詩羽(水曜日のカンパネラ)
×
マイ(映像監督/WARS iN CLOSET)
「先輩」というよりも「1個上の友達」
──まず、お2人の関係は?
詩羽 同じ大学で、マイちゃんが1つ上の先輩。きっかけは、入学当初から単位のことが心配だったので、わからないことを先輩に聞きたいなと思って紹介してもらったことでした。出会って1年半くらいですよね。
マイ 正直、後輩と思ってないというか、友達みたいな感じ。詩羽が1年の頃からずっと仲良いのは、なんとなく波長が合うし、詩羽は考えがしっかりしてるし、芯があって、なんでも話せる存在だからだと思う。
詩羽 私も「先輩」というよりも「1個上の友達」という感覚ですね。好きな人の話とかもするし。お互いがやりたいことに真っ直ぐ進んでいて、常にお互いを尊敬して高め合えるからこそ、ずっと変わらないで一緒にいられるんだと思ってます。
──詩羽さんが水曜日のカンパネラに加入するって聞いたとき、マイさんはどう思われました?
マイ 文字通り、空いた口が塞がらなかったです。「私、水曜日のカンパネラに入ることになったんです」って言われて、そのときはマスクをしてたから見えてないけど、本当にこんな感じ(口が大きく空いた顔を見せる)。シンガーソングライターとかソロのアーティストとしてじゃなくて元々あるユニットに入るんだ、っていうのも衝撃だったし、色々考えることもあるだろうなって。元々あるものを背負うことになるから、期待も重圧もすごいし大変だろうけど頑張ってね、って言いました。
──しかもそれが「水曜日のカンパネラ」という、これまでの功績もインパクトも世間のイメージも色濃くあるユニットで、プレッシャーも半端ないと思うんですけど。詩羽さんは、Dir.Fに「新しいボーカルをやりませんか?」って言われたときに即答で「やります!」と答えたそうですね。即答できたのはどういう想いがあったからですか?
詩羽 元々、チャンスや楽しいことが目の前にあったら「全部やってみよう」というタイプではあったので、タイミングが来ただけなのかなと思って。あんまり気負い過ぎても潰れちゃうので、「気負いすぎずに頑張ろう」くらいのマインドでやってます。
──そのチャンスが、あまりにもデカイ話という……。
詩羽 誰も想像してなかったくらいの話ですね。あはははは(笑)。
──新体制発表時のコメントで、コムアイさんが「詩羽ちゃんはとても頼もしくて、ここは変えていきたい、ここは変えたくない、とビジョンを向こうから話してくれて」と書かれていましたが、詩羽さんが思う「変えたくないところ」「水曜日のカンパネラらしさ」とはどういうものですか?
詩羽 そのときによって「らしさ」は変わってくると思っているので、「絶対にこれだ」っていうものはないんですけど、今のスタートの時点で思う水曜日のカンパネラらしさとは、お客さんも私もみんなで一緒に楽しめる存在だということですね。
今まで見てくれていた人たちも好きになってくれることを大事にしなきゃいけないと思っているので、今までの水曜日のカンパネラらしさも大事にしたいです。でも、ずっと今まで通りだったら違いだけが目立って、面白さも楽しみも減っちゃうと思うから、今までらしさが残る中で、どんどん進化していかなきゃいけないなという想いがあります。
──10月8日に行われた初ライブ(P.O.N.D. OPENINGPARTY@渋谷PARCO)で、実際にファンと対面したときにプレッシャーなど感じることはなかったですか?
詩羽 もう、1番私が楽しんでやろうくらいに思ってやりました! ドキドキはしたんですけど、曲が流れ始めると、音が大きいから楽しくてしょうがないスイッチが急に入って、そのままの楽しさでライブができました。
– YouTube –
水曜日のカンパネラ
P.O.N.D.@渋谷PARCO
──もうすでに詩羽さんの芯の強さや表現者としての図太さを感じて、かっこいいなと圧倒されています(笑)。マイさんから見て詩羽さんはどういう人ですか?
マイ 本当に、水曜日のカンパネラがこうやっていい形で主演が変わったのは「詩羽だからなんだ」とはすごく思っていて。詩羽は個性が強いというか、「私は詩羽です」という感じで常に立っているイメージなんですよ。それが見ていても楽しいし、話していても楽しい。
ドン底から這い上がった人生のターニングポイント
──ただ、こうやって詩羽さんが自分に自信を持てるようになるまでには色々な経験があったそうですね。それについて詳しく聞かせてもらうことはできますか?
詩羽 はい。小さい頃は内気で、人見知りで、籠った子で。家庭環境でも色々あり、学生生活では対人関係など上手くいかず、どんどん自分のことを嫌いになって塞ぎ込んで下に行っちゃって。
それで高1の頃、「もう限界かもしれないな」っていうくらいメンタルがグラグラのときに、見た目を変えてみたら前向きになれたりするのかなと思って、家で1人で口にピアスを開けて、髪の毛を刈り上げて、オンザ眉毛にしたんです。「これでどうだ!」くらいの気持ちで生き始めたら、自分のことを好きな方が圧倒的に人生が楽しいなと思えるようになって。それがターニングポイントになりました。そこからは、どれだけ自分が楽しくなれるかを探すという状況ですね。
──それまで対人関係が上手くいかなかったのはどういった理由だと思いますか?
詩羽 環境がよくないっていうのが結構大きな理由でした。人とぶつかっても自分の本音を話さなかったことがさらに悪化する要因になっていたんだと思います。でも、人に話せるほど自分の意見に自信がなかったし、「自分はこうだ。」ってそのときはまだ言えませんでした。そういう小さいことが集まってどんどん事が大きくなっちゃったりして、人と上手くいかなかったのかな。
──心がどん底まで落ちてからは、もう失うものはなく、あとは這い上がるしかない状態というか。
詩羽 そうです、這い上がるしかないっていう。下に行ったら、もう上しかないなっていうのを、本当にそこで思いました。どうせ生きてるんだったら楽しんでやろう! くらいの気持ちでずっとやってます。
マイ 詩羽って、自分で自分を肯定しにいってる感じがすごくあって、それがかっこいいなと思います。普通に生きていて自己肯定感って上げに行かないと上がらない。それを詩羽は体現してる感じがします。
──「自己肯定感は上げに行かないと上がらない」、とてもいい言葉ですね。
詩羽 マイちゃんも、常に進んでる。やっぱりみんなどこかで止まったり躓いたりする中で、マイちゃんは「ちゃんと形にしてやる!」という意地があるんです。マイちゃんが作るMVは、どんどん進化していくんですよ。それを見ていて、本当にすごいなと思いますね。
──マイさんにとっての意地や、突き動かしてるものって、どういったものなんですか?
マイ コロナの時期にショックな出来事があって、「もうなにもなくなっちゃった」みたいな感覚になって。生きてくのがしんどいな、自分を好きじゃないな、人生だるいなって。でも、だるいと思っていても意味がないし、そんなことを考えなくなるくらいなにかやろうと思って、モーショングラフィックスや2Dの映像を作り始めたんです。そのあと、自分のバンドのMVを自分で撮るようになって、そこから楽しくなっちゃって。
頑張るのをやめたらここで終わるって常に自己暗示をかけながらやってます。頑張るのをやめたら、私が私を好きでいられなくなると思うので。
──そのショッキングな出来事について、聞いてもいいですか?
マイ 元カレと別れるときに、すごい罵倒されたんですよ。年上の人だったんですけど、「お前は一緒の立場じゃない」みたいに罵倒されて、もうむかつくから見返すしかないなと思って。最初は「すごいことをやったら見返せるかな、悔しがるんじゃないかな」という気持ちで頑張ってたんですけど、いつの間にかそれも全くなくなって、単純に「映像が楽しい」という気持ちになっていきました。負の感情をブーストにして映像を始めたけど、今はもうそういう感情がなくなって、映像が好きな気持ちだけが上がっているので、すごくいい形だなとは思ってます。
──2人ともどん底のときに自己表現を始めたという共通点があって、でも今は負の感情よりも単純に表現の楽しさにのめりこんでいるっていう、いい状態にいるんですね。
詩羽 確かに、似てますね。このインタビューで初めて気づきました(笑)。
仲間達と作った“バッキンガム”のMV
──詩羽さんが水曜日のカンパネラでやっていきたい新しいことのひとつが、2人で作った“バッキンガム”のMVだと言えると思うのですが、詩羽さんが水曜日のカンパネラでなにをやりたいと思ったのかを聞かせていただけますか?
詩羽 水曜日のカンパネラに加入することが決まった時点でやりたいと思っていたことのひとつが、同世代のクリエイターたちと一緒に成長していきたいということです。初めに2曲出すと決めたときに、今までらしさを残しつつ新しさも見せるという意味で、MVの監督を1曲は初期からやってくれていた藤代(雄一朗)さんにお願いして、もう1曲は一緒に成長していける人に頼みたいと思ってマイちゃんにお願いしました。
──“バッキンガム”は、撮影クルーも全員同世代だったんですよね?
マイ 全員、私と同い年の大学3年生です。
──同世代で面白いものを作りたいという想いの背景には、なにがあるのでしょう?
詩羽 学校が芸術系で、しかも元々フリーランスモデルをやっていたこともあって、アーティストやクリエイターの知り合いが多くて。みんな上手くいかなくて、もがくことも多いんですけど、常に挑戦心があるし頑張っているんですよね。
チャンスってなかなか与えられないし、タイミングがいつ来るかもわからない。でも周りには頑張ってるアーティストやクリエイターが、本当にたくさんいるんです。だから、水曜日のカンパネラに加入したら、誰かにチャンスを与えられる機会が増えていくんじゃないかと思ったのも加入を決めたポイントのひとつでした。元々、みんなで楽しみながらなにかをやる「場」を作るのが好きで。
──20代の頃って、同世代に対してライバル心や競争心を燃やしてもおかしくないと思うんですけど、みんなで一緒に上がっていこう、という感覚がお2人の周りでは強いですか?
マイ 確かに。詩羽や私の共通の友達たちは、「みんなが頑張ってるから私も頑張ろう」みたいな人が多いと思います。
詩羽 「みんなで頑張ろうぜ精神」がみんなありますね。
──同世代で作品を作っていく中で、同世代に伝えたいことはありますか?
詩羽 「頑張ってたらなんとかなる」ということかな。あとは、ハングリー精神がすごく大事だと私は思っていて。石橋を叩いて渡るよりも、「なんでもやってみよう」「とりあえずやってみよう」という気持ちで過ごしていた方が、チャンスやタイミングが巡ってくる可能性が上がると思うんです。やってみたら絶対大丈夫だし、案外なんとかなるから、みんなそういう気持ちで生きていこうぜ、というのは同世代に伝えたいですね。
マイ 昔は私も、「挑戦して失敗するよりかは、失敗しないであとから後悔した方がよくない?」みたいな精神だったんですよ。それがコロナ禍になってからは、なにかを失敗しても勉強になるし、成功したらラッキーだし、「やるしかない」という気持ちで過ごしてます。後悔しないようにやるのが実は一番楽だなと思う。
──お2人の世代だと、行動する前にいろんな情報を調べられる状況で生きてきたからこそ、石橋を叩いて渡るような行動を取る人が多くなるのかなと。
詩羽 多いなって、冷静に思いますね。この世代はやっぱりみんな石橋を叩いて渡るなって。「やりたい」って口には出すんですけど、いざそれをやるための行動には移さないというか。実際に勇気を持って行動するのは本当に限られた人だなって。
マイ 足を踏み出しちゃえば、もう体が勝手に動くんだけどね。
──詩羽さんはモデルも音楽も写真もやられていて、マイさんは映像監督とバンドを両立されていますが、そうやってマルチに活動するのが普通だという感覚もありますか? 少し前だと、「ひとつのバンドを貫くのがかっこいい」とか、会社員でも「ひとつの会社で一生懸命働くのがかっこいい」みたいな価値観があったけど、やっぱり変わってきているのかなと。
マイ 周りの人たちも、活動を1つに絞ってない人が多いなと思います。モデルをやりながら絵を描いてる人がいたり、マルチに活動している人の方が多い気がします。
詩羽 多いですね。自分にできることとできないことを見極めた上で、マルチにやってる人が多くて。ちゃんとやってる人たちってそこに気づくのが早いから、両立できるのかな。
マイ 無理ってなったらやめるんですけど、好きなことはとことん突き詰めていく。私も、好きなものが何個もあってよかったなと思うし、音楽も映像も両立するために頑張ろうという気持ちがありますね。
詩羽 1つのことだけに絞ると、それで行き詰まったときに逃げ場がなくなっちゃうし。失敗したときに「でも、私これもあるしな」と思えるものって、すごく大事だと思うんですよね。だから意外とみんないろんなことをやって、マルチに成長させていくのかなって思います。
──音楽にしろ映像にしろ写真にしろ、表現するためのツールが手に入りやすくなったからこそ、好きなものや得意なものを突き詰めやすい、世の中になっていることも影響してそうですね。
マイ 時代に感謝ですね(笑)。
自分であることが許された憧れのカルチャー
──2000〜2001年生まれのお2人が、どういったカルチャーに影響を受けてきたのかも気になります。
詩羽 私は、矢沢あいさんの漫画が好きで。初めて読んだのが『ご近所物語』なんですけど、主人公が「自分らしく」という感じで、急に髪をバッサリ切ってピンクにしたり、なかなか合わせられないカラーのファッションがすごくかわいくて。服って着方によってかわいくなるし、身につける人によって服の価値が変わってくるということや、自分らしく生きてる人ってかっこいいんだなということを、矢沢あいさんの漫画から学びました。
──詩羽さんは「.NOMA」という90年代カルチャーを発信するプロジェクトをInstagramで展開していますよね。90年代カルチャーの魅力を、どのように感じているんですか?
詩羽 私は90年代のファッションが好きで。やっぱり時代って回ってくるから、昭和のファッションやカルチャーを好きな人がすごく増えていて。私たちは昭和や90年代を知らないからこそ魅力を感じるんだと思います。2000年代に生まれた私たちが、90年代の魅力を一旦飲み込んで自分たちらしく発信したら面白いんじゃないかなと思って始めたのが、「.NOMA」ですね。
──詩羽さんは高校時代に軽音部でバンドをやられていたそうですが、どんな音楽をやっていたんですか?
詩羽 高校の3年間は、WANIMA、KANA-BOONとか、男性ボーカルのザ・邦ロック系のギターボーカルをやってました。元々、お母さんも音楽が好きな人で、小さい頃から家や車の中で当たり前に音楽が流れている環境だったので、自然と私も音楽が好きになって。YUKIちゃん、JUDY AND MARY、サカナクション、フジファブリック、椎名林檎、東京事変、スピッツとかがよく流れてました。それで自分もやってみようかなと思って、軽い気持ちでギターを始めたのがきっかけです。高校を卒業するタイミングで、もう音楽は趣味だってはっきり決めてたんですけど(笑)。
──なのに、巡り巡ってまた音楽をやることになって(笑)。
詩羽 なにが起こるかわからないですね(笑)。
──マイさんはどういったものに影響を受けてきましたか?
マイ 私、憧れてる方がいるんですけど……THE ORAL CIGARETTESの山中拓也さんです。高校の頃に出会って、ライブで感銘を受けて。「かっこいい人であり続けろ」「自分が自分をかっこいいと思える人でいてほしい」みたいなMCにも感銘を受けたし、狂気的にもなるのが表現者としてもうかっこよくて。あんな存在になりたいと思ったし、その人に感銘を受けている人間として格好悪い人でいたくないなと思い続けています。でも、山中拓也さんになりたいわけではなく、自分は自分でちゃんと生きたいと思わせてくれて。それがきっかけで美大に行きたいと思いました。
映像だと、イアン・ポンズ・ジュエル(Ian Pons Jewell)とか、日本だったら加藤マニさんが大好きで、影響を受けているなと感じます。美術品じゃなくてアトラクションみたいなMVを作りたいという想いがあって。しかも、映像の主張が強いものではなく、音と共存してる映像を作りたくて。その2人は音を大事にされているなと思うのですごく尊敬しています。
──“バッキンガム”のMVも、音と映像のマッチングがすごく気持ちいいし、ユーモラスですよね。シンセサイザーの音にジュースミキサーの画を合わせてるシーンとか、大好きです。
マイ よかったです、ありがとうございます。私も音楽をやっている側なので、曲が第一ということはわかっていて。音でやってないことを映像でやっちゃったら、それはもうMVじゃない。曲を活かす映像、音を具現化している映像が、MVだと思っているんです。だから主役は音楽で、どう視聴者を最後まで飽きさせずに見せるかをいつも意識しています。
元々、ケンモチ(ヒデフミ)さんの曲が大好きで、“バッキンガム”はケンモチさんが作った曲と詩羽の歌声のフュージョンが超いい感じなので、細かい音まで聴きまくりました。「なんかヒヨコがピヨピヨ言ってない?」とか、「裏拍でリズムをとっているところめっちゃ気持ちいい」とか、いろいろ思いながら聴いて、最大限に音を大事にするMVにしようと思ったんです。あと、私が好きな詩羽のかわいさを最大限に出しました(笑)。
2代目歌唱の詩羽が考える水曜日のカンパネラらしさ
──水曜日のカンパネラというこれまでも映像が評価されていたユニットで、しかも友達である詩羽さんにとっての大事な1本目のMVとなると、マイさんにとっても相当プレッシャーがあったのでは?
マイ ありましたね。自分の中で考えすぎて、1回スランプみたいになったんですよ。涙が出てくるくらい、思い詰めていたらしくて(笑)。でも、私が見てワクワクするものじゃないと誰もワクワクしないなと思ってから、いい方向に向かいました。
──マイさんが思う「水曜日のカンパネラらしさ」ってどういうものですか?
マイ これまでのMVをたくさん見たんですけど、どんな監督さんでもちゃんと「水曜日のカンパネラ」になっているのがすごいなと思って。でも、どの作品も監督さんが「水曜日のカンパネラ」に合わせにいってるわけではなく、それぞれの監督さんが、そのときのコムアイさんを生かす表現をしたら、全部「水曜日のカンパネラ」になってたんだろうなと思って。だから、今回は詩羽を最大限生かす表現をしたら、それが「水曜日のカンパネラ」になるんじゃないかなと思って作りました。
──今回、“バッキンガム”と同時にリリースされた“アリス”のMVは、これまでの水曜日のカンパネラの代表作を多々撮られてきた藤代(雄一朗)さんが監督されていますが……。
マイ やばいですよね。MVのティザーが出たときにもう1曲の監督さんを知ったんですが、「藤代さん……。すごい……」と思って。藤代さんはもう、本当にすごい方ですよ。
詩羽 再スタートする際の1曲目ってすごく大事だなと思って。最初は“アリス”だけをリリースするという話だったんですけど、 “アリス”はサウンドも新しすぎるし、ラップもないし、これを1曲だけ出して勝負に出るのは本当に正解なのかなと不安になって。
Dir.Fとも話して、“バッキンガム”と“アリス”を2曲同時に出そうってまとまったときに、それが一番いい答えだったんじゃないかなと思えました。それで自然と、新しい感じの“アリス”は今までも監督されてきた藤代さんに、今までの水曜日のカンパネラっぽさがある“バッキンガム”を新しい監督に、ってなったので面白いなと思いましたね。
──最後に改めて、これから水曜日のカンパネラでどういうふうに魅せていきたいかを聞かせてもらえますか。
詩羽 今までのファンの人たちも、これから私が出会っていくファンの人たちも、みんなで一緒に楽しんでいきたいという気持ちでやっています。世代を超えて、国を越えて、みんなが一緒に楽しめるアーティストでありたいなと思いますね。
Text:Yukako Yajima
Photo:横山マサト
PHOTO REPORT
今回、Qeticは“バッキンガム”のMV撮影現場を独占密着!
同世代のクリエイター達による熱気ある現場の様子をフォトレポートでお届けします。
Photo:横山マサト
水曜日のカンパネラ – バッキンガム
水曜日のカンパネラ – アリス
PROFILE
詩羽(水曜日のカンパネラ)
アーティスト。2001 年生まれ、東京出身。
2021年9月、知人の紹介から面談を受け、水曜日のカンパネラの二代目・主演&歌唱担当として加入。高校卒業後、ストリートスナップなど個人でのモデル活動を行い、音楽と言葉と時間と私をテーマにInstagram に詩と写真を投稿しながら自己表現を模索している。
HP|Twitter|YouTube|Instagram(詩羽)
マイ (WARS iN CLOSET)
WARS iN CLOSET Bass,Cho・映像監督
2000年生まれ 東京都出身
WARS iN CLOSETでの音楽活動とMVを基本とした映像監督両方を主軸にし、ベーシストでもありながら自身のバンドや様々なアーティストのMUSICVIDEOの企画・監督・編集、ティーザー映像の編集などを手掛けている。
音と映像が共存し、アトラクションのように多様性のあるワクワクする映像作品を作り続けたいと思っている。映像編集が大好き。
Instagram|Twitter|YouTube(WARS iN CLOSET)
RELEASE INFORMATION
アリス/バッキンガム
2021年10月27日(水)
水曜日のカンパネラ
収録内容:
M1.アリス
M2. バッキンガム
・全作詞作曲:ケンモチヒデフミ
EVENT INFORMATION
水曜日のカンパネラRELEASE PARTY〜LET’S PARTY〜
2021年12月8日(水)
OPEN 19:00/START 19:30
WALL&WALL
チケット ¥3,500(1ドリンク別)
一般発売:2021年11月13日(土)10:00〜
*その他先行は、詳しくはオフィシャルサイトにて