FUJI ROCK FESTIVAL(以下、フジロック)>にウェスタン・キャラヴァン(WESTERN CARAVAN)が帰ってくる。

昨年の初出演では、本格的なカントリー・ミュージックのバンドという<フジロック>では異色の存在にもかかわらず、その腕達者な演奏で評判をとり、異例の二年連続出演となった。

ウェスタン・キャラヴァンはカントリーといっても、現在のヒット・チャートに上るようなポップ・カントリーではなく、南部音楽の伝統に根ざすカントリー・ミュージックを演奏するバンドだ。特にカントリーとジャズのハイブリッド、ウェスタン・スウィングを得意としている。

とはいっても、彼らは南部出身ではなく、ニューヨークのバンドなのである。あの大都会で20年以上も本格的なカントリー・ミュージックを演奏し続け、今では「NYで最も人気の高いカントリー・バンド」と呼ばれる。そんな彼らにその歴史、5月に発売されたニュー・アルバム『ホンキ―・トンク』、そして<フジロック>への抱負などを訊いた。

なお、彼らは7人編成だが、ツアーの際には代わって加わるメンバーもおり(昨年同様、来日するドラマーはブルース・スプリングスティーンのシーガー・セッション・バンドに参加したラリー・イーグル)、その全員がインタビューに答えてくれた。

Interview:ウェスタン・キャラヴァン

2年連続フジロック出演という初の快挙を果たすNYのカントリーバンド、ウェスタ ン・キャラヴァンに来日直前インタビュー!それぞれが抱くフジロ ックへの熱い思いとは interview180717_western-caravan_02-1200x800
Bob Krasner

——このバンドは、95年に現ホット・クラブ・オブ・カウタウンのギタリスト、ウィット・スミスが始めたそうですが、結成当初の話を聞かせていただけますか?

サースティ・デイヴ(歌手) ウィットは僕の率いるカントリー/ロカビリー・バンドのメンバーだった。それから彼がこのウェスタン・スウィングのプロジェクトを始め、僕にも声をかけてくれた。僕が一緒にやった最初のギグでは、今のメンバーは誰もいなかったけど、すぐにスティーヴ・アルコットがベースに、スキップ・クレヴェンスがペダル・スティールに加わった。NY市内のロデオ・バーに週一回出演し始めると、スウィング・ダンスを楽しむお客さんが集まるようになった。最初のコンセプトは正統的な編曲で演奏されるウェスタン・スウィングだったよ。まもなくすると、カントリー・ファンに加え、ジャズ・ファンもやってきた。そのことはウェスタン・スウィングがどんな音楽かを要約しているね。

——都会育ちの皆さんが、カントリー・ミュージックのどこに惹かれたんでしょう?

デイヴ・ソネヴォーン(ドラムズ) 僕はオハイオでカントリーを聴いて育って、ペダル・スティール・ギターのサウンドが大好きだったし、30~40年代のビッグ・バンドのスウィングも大好きだった。ウェスタン・スウィングとホンキ―・トンクで両方のスタイルの良いところを演奏することになったわけさ。

ラリー・イーグル 僕の場合は、ジャズ、ブルーズ、ソウルを学び、演奏してきた素養のおかげで、ステレオタイプなイメージじゃなくって、ひとつの音楽ジャンルとしてのカントリーに出会ったとき、実は心を揺さぶられ、学ぶこともできる音楽と理解した。ハンク・ウィリアムズは確かに20世紀半ばのアメリカのポップ音楽で最もソウルフルな歌手のひとりだったし、レイ・プライスのテキサス・ホンキ―・トンク・ダンスホールの曲のシャッフル・リズムは、ハウリン・ウルフやウィリー・ディクソンのような偉大なシカゴ・ブルーズにすごく多くを借りている。そして、レイ・チャールズの62年のアルバム『Modern Sounds in Country and Western Music』はそんなつながりのネクサスで、多くの伝統がまったく新しい方法でまとめ上げられていた。

ヴァン・マナカス(ギター) 僕は正直な感情表現と名人芸の演奏によって、この音楽スタイルにたちまち惹きつけられたね。

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——ウェスタン・キャラヴァンの音楽に「ニューヨークらしさ」があるとすれば、どういったところでしょう?

ボブ・マストロ(フィドル) 「ニューヨーク・サウンド」というものがあるのかはわからない。でも、確かなことは、NYに住むミュージシャンはすごく多くのスタイルの音楽に触れる。多くの文化と音楽の真の「坩堝」なんだ。このバンドのみんなはロック、R&B、ブルーズ、ジャズを聴いて育ってきた。それに様々な民族特有の音楽もね。NYで生き残るには、仕事を得るために様々な音楽に対応できなくちゃならない。でも、僕らはカントリーに出会って、深い献身的な愛情を抱くようになった。僕らのウェスタン・スウィング、ホンキ―・トンクなどの解釈は僕らが学び、聴いてきたあらゆる音楽の組み合わせだと思う。僕らは感じるままに演奏している。そのスタイルがカントリーでもスウィングでもロックでもね。僕らのサウンドが誠実で正直で「本物」であるとお客さんに伝わってほしい。たぶんそれがNYサウンドなんだろう。

アルコット 他の地域のバンドよりはちょっぴり尖った演奏をしていると思う。それと、NYで仕事をするミュージシャンであるためにはたくさんのスタイルをこなす技量が必要だ。ひとつのジャンルに特化する他の場所の音楽シーンとはかなり違う。この影響と経験のミックスは僕らのなかにある。(ウェスタン・スウィングの創始者)ボブ・ウィルズの曲、レイ・プライスのシャッフル、伝統的なフィドル・チューン、デイヴの自作曲、どれをやるときにもね。 そのことがウェスタン・キャラヴァンのサウンドを作っている」

マナカス NYのプレイヤーはもっとたくさんのジャズを持ち込む一方で、ある意味では伝統をもっと尊重する。だって、その伝統のあるところに生まれたわけじゃないから。

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——近年の主流カントリーはただのポップに過ぎないとも批判されますが、ウェスタン・キャラヴァンは伝統を次世代に伝えていく役割を果たしている自覚はありますか?

サースティ・デイヴ 今の主流カントリーの多くは僕の耳にはサザン・ロックに聞こえるね(僕らは[チャーリー・ダニエルズのヒット曲]“The Devil Went Down To Georgia”を求める多くのリクエストをずっと断ってきたんだ)。僕は今も自分が知らなかった古い曲を探し続けていて、それが好きなんだ。

マナカス うん。僕らの目標はその伝統を伝えていきながら、そこに現代の良い影響を加えることだ。もしボブ・ウィルズがあと100年生きたなら、そうしたに違いないようにね。

アルコット カントリー・ミュージックとウェスタン・スウィングの黄金期の感覚とサウンドは僕らのやっていることの基盤さ。

——ニュー・アルバム『ホンキー・トンク』について聞かせてください。1日でアルバム1枚を録り終えたそうですね。

サースティ・デイヴ 本当のライヴ・アルバムを作りたかったんだけど、技術的な問題でそれができなくなった。そこでスタジオに入って、オーヴァーダビング一切なしのライヴで録音した。1曲につき2~3回のテイクしかとっていない。昔やっていたみたいにね。

マナカス オリジナルのテキサス・プレイボーイズがやったみたいに、バンド全員が一緒に演奏して1~2回のテイクで録音したようなサウンドにしたかった。チューニングが済み次第、すぐにやるぞって感じさ。

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——去年の<フジロック>はいかがでしたか?

ジョン・ウィドグレン(ツアーのペダル・スティール) <フジロック>はミュージシャンなら誰もが演奏したいところさ。「フジはミュージシャンをとても大事にしてくれるところだよ!」とみんなが言う。だから、初めての僕の期待値はすごく高かったけど、現実はそれをはるかに上回ったよ! 場所の美しさ、親切心と喜びがみんなに広がる雰囲気は本当に楽しかった。主催者、音響や舞台のスタッフの最高のプロ意識のおかげで、すごく楽に音楽に集中できたし、お客さんの素晴らしい歓迎と寛大な反応は演奏に刺激をくれたね。友達もたくさんできた。また戻れることは名誉だし、嬉しいし、最高の演奏ができることを願いたい。ありがとう、<フジロック>!

マナカス <フジロック>は驚くほどの親切心と敬意で僕らを扱ってくれた。まるで会ったことのなかった家族か同じ部族かのようにね。

ケニー・コセック(フィドル) 山中にある苗場の美しさに感激したよ。初めて体験できてうれしかった。魚の串焼き、それと道を横切る猿の軍団も。

イーグル この数年にロラパルーザ、オースティン・シティ・リミッツ・フェス、ニューオーリンズのジャズフェスで演奏してきた。でも、フジロックで会った人たちがもっとも優しく、きれい好きで、礼儀正しいコンサート聴衆だったさ。6000人ほどの僕らに馴染みのない観客が雨降る中でとても熱烈な声援をくれたのは、僕の音楽に関するお気に入りの思い出のひとつだよ。それと、他のどのフェスで、魚の串焼きを食べられる?

アルコット 去年の<フジロック>は、45年以上のミュージシャン生活の中で最高のフェス体験だった。今年また体験できるのを楽しみにしているよ。

——カントリー・ミュージックを全然知らない日本のお客さんに、どのように楽しめばいいか助言はありますか?

サースティ・デイヴ 去年僕らが演奏した時、日本の人たちは音楽を愛し、楽しんでいたよ。知る必要のあることはそれだけさ。

ウィドグレン 去年の観客は素晴らしかった。強く降る雨を誰一人気にしていなかった。最高だったよ。この音楽を楽しむのに決まりなんて何もない。ウェスタン・スウィングの歴史について何も知らなくても心配しないで。ただリラックスして、耳を傾け、楽しんで。たぶん恋人と一緒に踊ってね。ひとりで踊ってもいい。僕らはみんな一人一人に楽しんでもらうために行くんだって知ってほしい。それが僕らにとって最高の喜びだ。笑顔を見せて。たぶんテキサス風に掛け声をしたらいいかも。または叫んで……カウボーイみたいに! みんなに会うのが待ちきれないよ。

アルコット 先入観を持たずに聴いてみてほしいね。

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Bob Krasner

Western Caravan @ the Fuji Rock Fest, 2017: Fire on the Mountain

Western Caravan at the Fuji Rock Festival, 2017: “Honky Tonk Song”

EVENT INFORMATION

FUJI ROCK FESTIVAL’18

2018.07.29(日)
START 12:20
FIELD OF HEAVEN

START 23:00
苗場食堂

“FUJI ROCK”AFTER PARTY 

2018.07.31(火)
OPEN 18:00/START 19:00
渋谷クラブクアトロ
ADV ¥7,000 DOOR ¥7,500(整理番号付、ドリンク別)

※<ホットハウス・フラワーズ来日公演2018>にスペシャル・ゲストとして出演。

詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

『ホンキー・トンク』

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Text by 五十嵐正
Photo by Bob Krasner

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