――RYTHEMのYUKAからyucatになったことで、音楽との向き合い方に変化はありましたか?

まずyucatの感情を楽曲にしていくとどうなるんだろうって興味が湧いてきて、それで生み出していったら、すごく辛かったんですよ。嫌なことをいっぱい思い出さなきゃいけないし、壊れちゃうと思いました。それでも、ものすごく時間を掛けて、一曲が生まれた瞬間に自分に付きまとっていたものが、ぽんと取れた感じになって、自分が浄化される感覚があったんです。今は12曲ぐらい発表しているから、その分だけ浄化されているんですよ。自分が楽になっていくのを感じて、これからyucatがどう変わっていくのかを見守っていきたいなって思いますね。最初はすごく闇の部分から始まっていますけど、聴いてくれている皆さんのおかげで、だんだんと光に当たって強くなっているなと、最近はすごく感じています。

――9月11日(水)にリリースされる2ndミニアルバム『PARALLEL WORLDⅡ 第3ノ道』では、それ以前のゴシック調のビジュアルからスチームパンクに一新されていますが、ガラッとイメージを変えたのはなぜですか?

まず、yucatとして私が顔を出していない理由とも繋がるんですけど、RYTHEMをやっていた私がいきなり「yucatです、闇なんです」と表に出ていっても、受け入れられない気がしたんですね。それで、より一層この世界観を分かってもらうために、私がそのまま出るよりもイラストにしたほうが伝わるんじゃないかと思って、しっくりくるイメージはなんだろう? と日々探していたんですね。そんな中で出会ったのがゴシックなんです。

【インタビュー】レトロフューチャーな“スチームパンク”の世界観に一新。yucatが新たに描きたい光と闇の物語とは何か? interview130909_yucat_jk

――どうしてモノクロの世界観のゴシックがハマると考えたのでしょう?

ゴシックの世界観で描かれているものは、すごく美しく出来上がっているんだけど、何かを隠しているというか。その時代の神や魔女、何か形のないものにすがりながら自分を凛々しく見せていて、表裏一体のものが色んなところに散りばめられている。それがゴシックの世界だと思っていて。yucatで表したいものが表と裏、光と闇という部分だったので、すごくぴったりだと思ったんですね。それで妖さんという素晴らしいイラストレーターを見つけて、実際に私から「イラストを描いてください」とメールしたんです。それから実際に会ってお話をして、楽曲を聴いてもらい、yucatの1stステージを全部描いてもらいました。

――では、ゴシックに固定せず、スチームパンクの世界観を取り入れようとしたのは?

1stは最後の曲の「暴走マシーン」に乗って、パラレルワールドに行けるという場面で終わりにしているんですね。2ndはやっとパラレルワールドに入って来たという感じで、私はパラレルワールドで生きていくという選択をしたけれども、「このままゴシックの世界で闇を引きずりつつ、つらい、苦しいと声に出すことが私の音楽なのかなと?」と思いとどまったときに、「私は不幸自慢をしたいわけじゃないんだ」と気付いたんです。闇を抱えているからこそ、みんなの背中を押せる楽曲が出来るんだって。すごく光が見えた前向きなメッセージが自分の中に出てきたときに、スチームパンクは過去と未来が共存している今を表現しているんだと思ったら、私のパラレルワールドはまさにそれだと思えたんですよね。過去を引きずっているけど、未来はこうなりたい。だから、今を生きていくという部分とすごくリンクしました。

――僕はスチームパンクと聞いて、一部のジブリ映画やファイナルファンタジーのような作品をイメージするのですが、YUKAさんにとって核となる映像はありましたか?

私は紀里谷和明さんがすごく好きで、『CASSHERN』ですね。私のルーツでもある宇多田ヒカルさんのMVとかも作られていますし。

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