安部勇磨のファースト・ソロ・アルバム『Fantasia』は、どんなきっかけで、どういう思いで作られたのか。ごくプライベートな手触りを残したサウンド、隠し立てのない言葉を伝えるシンプルな歌。聴いていると、友人たちが安部を呼ぶ愛称「安部ちゃん」や「勇磨」がそのまま自分の近くにやって来たような気持ちになる。
しかし、作品としてはとても個人的な成り立ちなのに、曲を聴き進め、何度も聴きかえすうちに、音像に施された繊細さや予想外の深みに文字通り「ハマって」いく。その鍵は、安部自身のディレクションもさることながら、「夏休みの遊び相手」のようにレコーディングに参加したメンバーたちの貢献に負うところも大きいのではないか。
DYGLの嘉本康平(Dr, G)、D.A.N.の市川仁也(B)、そして映画音楽の世界など幅広く活動する香田悠真(Kb)。所属事務所も同じで、付き合いの古い市川を除けば、嘉本、香田と安部はそんなに親しかったわけではない。香田に至っては、制作を開始した当初は、ほぼ初対面だったという。直感的に「気が合うかも」と認めたメンバーとの交流をじっくりと重ねながら、気の向くままにチャレンジを積み上げたからこそ実現した『Fantasia』。ここだけにしかない小さくて大きな世界の成り立ちを知りたい。レコーディング・メンバー4人が揃った貴重な鼎談から、その謎の一片がつかめるかもしれない。
Yuma Abe『Fantasia』Teaser
鼎談:
安部勇磨 × 香田悠真 × 嘉本康平 × 市川仁也
「出会いのひらめき」が引き寄せたメンバー
──安部勇磨ファースト・ソロ・アルバム『Fantasia』に参加したメンバー全員に集まってもらいました。まずはみなさん、そもそも安部くんのレコーディングに呼ばれた経緯は?
香田悠真(以下、香田) それはカモくん(嘉本康平)から話したほうがいいかも。経緯として、そこがつながってくるから。
嘉本康平(以下、嘉本) 安部ちゃんからなんで声をかけられたのか……? わかんない。
安部勇磨(以下、安部) わかんないの?(笑)
嘉本 経緯としては、hmcというスタジオがあって、僕がそこでバンド(DYGL)とは別のプロジェクトでレコーディングしていたときに安部ちゃんが遊びに来たんです。安部ちゃんのことは前から知ってたんですけど、ちゃんと話したことはなかった。
でも、その日に「ソロを作ってるから遊びがてらギターとかドラムやりに来てもらってもいいかな?」って言われたんです。僕も興味があったから「デモ聴いてみたい」って返事して。そのデモを聴いたらめっちゃよかった。「じゃあ、なんとなくやってみるか」で始めたんですけど、気が付いたらアルバムができてた(笑)。
──もともと面識があったくらいの関係だったってことですか?
嘉本 そうですね。会うと挨拶するくらいでした。
安部 仲いい、とかじゃなかったですね。会うといつもそっけないんですよ(笑)。
嘉本 それは安部ちゃんのほうです(笑)。
──答え合わせすると、安部くんはなぜ嘉本くんを誘ったんですか?
安部 最初は本当にひとりでソロを作り始めてたんですけど、「誰かいないかなぁ」とも思ってました。(市川)仁也くんは昔から友達なんで、ベースは仁也くんにしたんです。カモくんには前からすごく興味があったんですけど、あんまりしゃべったことなかった。仁也くんもそうですけど、僕は寡黙でひょうひょうとしてる人が好きで、カモくんにもそういう気配がずっとしてたんですよね。
それで、スタジオに遊びに行ったとき「嫌われてるのかもと思ったんだけどさ」って話しかけて(笑)。そのあと、一緒に食事しながら勇気を振り絞ってカモくんにデモを聴いてもらったんです。そしたら「いいね」と言ってもらえたし、カモくんならギターもドラムもやってもらえるし、いいなと思ったんです。
嘉本 もちろん、ネバヤン(never young beach)は知ってましたけどね。でも、僕が「安部ちゃんはこういう感じでやったらいいのにな」と思ってた感じの音がそのままデモにあった。だから参加したんです。
──なるほど。市川くんは安部くんとは、お互いにネバヤンとD.A.N.を始める前からの付き合いですよね。
安部 お互いの家に行って遊んでますからね。僕が勝手に仁也くんの家に行ってるだけなんですけど(笑)。僕の家から5分くらいのところに仁也くんは住んでるので、犬の散歩がてらに行ってピンポン押したり、お風呂入ってるときにドアをノックしたりとか(笑)。
市川仁也 勇磨がソロを考えてるのも聞いてたし、勇磨の家で「これ、ベース弾いて」と言われて弾いて、その流れで自然にレコーディングにも参加しました。
──香田くんはどういう経緯だったんですか?
香田 僕は安部ちゃんがカモくんに会いに来たスタジオに、一緒にいたんですよ。サポートとして鍵盤を弾きに行っていて。そのとき、安部ちゃんが「運命の出会い」みたいなのを感じたらしく。
安部 本当にそうですね(笑)。「変な人いるな」と思ったんです。いや、いい意味で、ですけど。
香田 実際、僕もシンセで変なことしてたんですよ。アナログシンセをいっぱい用意して、トラックを流しながら即興でツマミをいじってどんな音が流せるのか試すのに没頭してたんです。そこに安部ちゃんが現れて。
安部 そうそう! そのレコーディングでは全然違うアプローチの音をふたり(香田、嘉本)が出していたんですが、不思議と彼らと話した感じだと、僕のやりたいことにもぴったりな気がしたんです。しかも、すらっとして背が高いし、すごいミステリアスで、「どんな人なんだろう?」って思ったんです。
その後、みんなで遊ぶ機会が増えて、僕もちょうど宅録でシンセを弾いていくなかで自分ではできないことがいっぱいあると感じていた頃でもあったんですよ。だから自然な流れで「お願いしてもいいですか?」と。
──香田くんは、それまでネバヤンにはどんな印象を?
香田 いやそれが、本当にお恥ずかしいことに、よく知らなかったんです。そもそも僕はあんまりバンド界隈の人間じゃなくて、どっちかといえば映画や劇伴をやってきたので。だから「(安部は)本当に陽気で面白い音楽やってる人だなぁ」って印象でした。
Yuma Koda – ‘Reverse Rivers’ from KONTORA 『コントラ』Soundtrack
──前から知っている気の合う仲間、というより、むしろ市川くん以外は初対面に近かったというのが面白いですね。出会いのひらめきが大きかったというか。
安部 誰かいい人いないかなというのはずっと思ってたんですよ。いろんな人に会ってみようと思ってたタイミングで偶然にふたり(香田、嘉本)に会った。アプローチはぜんぜん違うけど、みんな楽しくできそうな気がしたし、僕以外の3人もほぼ初対面なんですけど、全員穏やかなので仲良くなれそう。「いける気がする」と勝手に思ったんです。
香田 その感覚、すごいですね。あのときスタジオでやってた音楽って(このアルバムとは)真逆だったのに。
安部 話したときの人柄かな。あと、みんなフットワークがすごく軽いんですよ。今日明日で急にお願いしても「いいよ」って言ってくれたり。「今から遊びに行こうぜ!」くらいの、「近所のともだち」みたいな感じが懐かしくて。僕にとっては20代前半の、友達と遊んでるような感覚に近い。
香田 そこは安部ちゃんの引力を感じましたけどね。不思議な人だなと。なんか断れないし(笑)
──でも、そこはありますよね。D.A.N.もDYGLも香田くんの仕事も大きな舞台になってきているし、友達を誘うような感じでは声をかけづらいのが現実じゃないですか。事務所を通したりしなきゃいけないし。そこじゃないところにパッと飛び込めたという部分は、今回大きかったでしょうね。
安部 そうなんですよ。そうできたのはありがたかったです。
「普通の楽理では測れないこと」を残す
──今回のソロって、コロナ禍だし、宅録で仕上げる方向もあったと思いますが。
安部 自分でもヘタクソなりに形にすることはできるんですけど、楽しくないんですよ。たとえばカモくんが僕の曲を聴いて、イメージを共有したうえで出てくるものが僕からは出てこないものだったりする。
自分では想像してないものが出てくるのがすごい楽しいし、みんなにそれぞれちょうどいい按配でその要素がある。バンドでもそうなんですけど、僕はもとを作るけど、それ以降はみんなの派生していくところに魅力を感じるんです。
嘉本 自分でも、楽しくできる音楽を忘れかけてるような感じもありました。安部ちゃんとやるのは楽しくて、なおかつ、いい音楽が作れてる。すごくいいところに入れてもらえたなと思ってます。
香田 このアルバムを作ってた時期もコロナの規制は厳しかったじゃないですか。だから結構みんな「何をやったらいいの」みたいな感じでさまよっていた。その状況でこの音楽に出会ったのは、「夏休み」をプレゼントしてもらった感はちょっとあった。
安部 あったあった。合宿みたいな感じ。
市川 本当に、友達と遊ぶ感覚の延長線でしたね。遊ぶことが音楽になった。そういう感じでやるのは学生のとき以来だったし、忘れてたような感覚でした。
香田 僕は逆に「バンドの人たちって普段からこうやってるんだな」と思ってたんですよ。それがさっきも言っていた「引力を感じた」という部分でもあるんですけど。ぶっちゃけ最初は「騙し騙し」でしたよね?
安部 どういうことですか!(笑)
香田 騙し騙しでなんか家に呼ばれて、「遊ぼう」って言われて家に行ったはずなのに「ちょっといいですか?」って鍵盤弾かされて。これはちょっとずつ曲ができあがってるなと感じてました(笑)。
安部 いや、僕からしたら悠真くんがいちばん気を遣うんですよ。このふたり(嘉本、市川)はバンド界隈じゃないですか。僕らバンドマンは今やることがあんまりないんですけど、悠真くんは劇伴とかでずっと忙しいんですよ。だから「遊ぼう!」って声かけるときもテンションが微妙に違うんです。
香田 気を遣いすぎ(笑)。
──でも、騙し騙しやらされてると感じつつ、いやじゃないわけですもんね。
香田 そう、そこが不思議なんです。なんでいやじゃないんだろう? 彼がちゃんとこうやってかたちにして作品を出すほうに進んでいったのもすごいなと思いましたしね。
安部 悠真くんの音は新鮮だったし、クオリティもいちばん高い。ちゃんと楽譜も用意してきますし。僕も含めてバンドの人たちは適当な感じなんですよ(笑)。
嘉本 こっちも何も準備してないわけじゃないけど(笑)。
安部 いや、わかってるよ! カモくんはちゃんとやってる!(笑) でも、ほらスタジオで構成わかんなくなったりするじゃん。悠真くんは「ここは何小節目で、こうですよ」って誰よりもわかってるし、そういうのは本当に助かります。この3人(安部、嘉本、市川)だと何もまとまんない(笑)。
香田 でも、僕もみんなに合わせるというか、「みんなの好きな音楽をやろう」という気持ちでした。それに、みんな人柄が楽器に出る。トリッキーでユニークなことをやってくるんですよ。普通の楽理とかでは測れないことをさらっとやれる。すごい新鮮でしたね。
安部 (神妙そうな顔で)……いや、今すごいやさしく言ってくれたんですけど、デモをカモくんに聴いてもらったときとかも「これ、めちゃくちゃ音はずれてるんだけど、安部ちゃん本当にこれでいいの?」とか「音がぶつかってるよ」とか言われて、自分ではわかんないんですよ。それで悠真くんにも聴いてもらうと「はずれてますね」ということをすごくやんわり言ってくれるんですよ(笑)。
香田 こないだもそういうことあったじゃないですか。そこは僕が正しく直すのは絶対ダメだと思ってるんです。「正しくしてしまったら、ポップス史をすごく悪いほうに修正してしまう」と思ってて。
安部 (爆笑)
香田 「歴史的に重要なピースが失われてしまうんじゃないか」と思うから、絶対にそのままにします。音的に耳で聴いても面白いんですよ。安部ちゃんが面白いと判断した音でもあるわけだし。JUNO(安部がレコーディングで使ったキーボード)がもともとちょっとピッチが故障してたじゃないですか。でもそのずれたピッチで作ってたから面白い音が生まれたという偶然性もあったんですよね。
安部 そういうのを全員が助けてくれるんですよ。僕は感覚で合ってると思っちゃってるけど、それも行きすぎるとわけがわかんなくなっちゃう。だから一回冷静になって「なんでこれ音が変なの?」って確認するんです。
悠真くんが「変だよ」って指摘してくれて、カモくんや仁也くんに正しいコードとかを聞いて、そういう原因がわかったうえで「理論的じゃないけど面白いですよ」とか意見をくれる。
香田 「トラック数が少なくて個性がある音を入れてほしい」というリクエストも安部くんからはあったんです。シンセサイザーって音を重ねがちなんですけど、単音で存在感があってずっと聴いていられるやさしい音を探すうえで、彼から聴かせてもらった音源は参考になりました。
安部 いまは少ない音で人柄が出てるような巧さが好きなんです。悠真くんは本当は無茶苦茶うまく弾ける人なんですけど、人差し指くらいで足りるようなフレーズでも細かいところで個性を出してくれるんです。「あ、その音」ってなる感じ。引き算でやりたいんです。
このメンバーだからこそできた「夏休み」感
──せっかくだから、みなさんにアルバムで好きな曲、思い出深い曲を聞いていきたいと思います。苦労した曲とかでもいいですよ。
安部 (嘉本に)苦労した曲は、そんなにないでしょ?
嘉本 それはないかも(笑)。好きな曲は……難しいな。
安部 “ありがとさん”じゃないの?
嘉本 まあね。
安部 カモくんは結構前からあの曲好きって言ってくれてて。「歌詞が好きだ」って。
嘉本 あれも好きだし、“おまえも”には思い出ありますね。いちばん最初にやった曲だし。でも、やっぱり“ありがとさん”です。
Yuma Abe – Omaemo
市川 ……(考え中)。曲単体では思い出はそんなにないかも。
安部 ないよね(笑)。確かに、上物はいろいろ工夫してたけど、ベースラインに関してはやりとりは少なかったかも。
市川 曲だと“風まかせ”とか。本当は“ありがとさん”だけどカモくんに言われちゃったから(笑)。でも、どの曲というよりレコーディング全体の雰囲気ですね。本当に「夏休みの思い出」みたいな感じ。
香田 僕も“風まかせ”大好きですよ。
安部 でも、あの曲がデモではいちばん音が外れてた(笑)。僕は自分のデモ聴いて「いいなぁ」ってなってたんですけどね。
香田 ベースもキーボードもヴォーカルも外れてたんです。でも、結果的にいうと、外れてたところも補正しすぎずに結構残してあるんですけどね。
安部 僕は全曲に思い入れがあるんですけど、曲の“ファンタジア”では悠真くんに全編ウーリッツァーで、「久石譲さんを絞って一滴だけ出したようなフレーズが欲しい」ってお願いしました(笑)。
香田 言ってた(笑)。
安部 あの曲の1番のサビ終わりでの間奏で悠真くんが弾いたフレーズで、宮崎駿さんの映画で出てくるような景色が見えて「うわー!」ってすごい興奮したのを覚えてます。派手じゃないんだけど壮大で、優しいあったかさがある。この曲ではカモくんのドラムもチューニングがすごい面白い音で録れてていいなあって思ってました。
香田 この曲のインストヴァージョンを作ろうとしてましたよね。
安部 そうそう! 「基本、僕いなくてよくない?」みたいな気持ちになっちゃってて(笑)。“テレビジョン”もインストにしたかったです。“おかしなことばかり”は、カモくんが「いいねえ」って言っててくれたから、好きですね。
香田 自分の好きな理由がそれ(メンバーが好き)なの?
安部 いや、あの曲は僕は結構自信がなかったから。バンドの感覚だとシングルのB面曲というか、メインではないと思ってたんですよ。でもカモくんが「これ元気でいいじゃん」って言ってくれて自信になった(笑)。他にもそういう思い出はいろいろありますけど。
Yuma Abe – Many Strange Things
──メンバーから見た安部くんは、どういう人ですか?
市川 うーん。すごい芯が強いというか、自分がしっかりある。あとバランス感覚がすごい。周りを客観的に見るけど、主観的な目線も絶対に忘れない。そのどっちもあるからこそ、こういうエゴを無くしたような作品を作ったときも薄くなりすぎないんです。
嘉本 すっごい人のことを考えてるんだなと思いました。逆にいうと、人のことを考えすぎて、たまにゲームしてる時でも「みんな無視しないでよ」って言い出したり。
安部 だってみんな既読つけて全無視するんですもん!(笑)。だってLINEも既読ついてから8時間くらい返ってこないんですよ、誰からも!
嘉本 あるじゃん、たまにそういうとき。
安部 「たま」じゃないんだよね、「つね」よ!(笑)
香田 安部くんは全部自分の思ってることを出すんですよ。好き嫌いもはっきりしてるし、自分が言ったことが原因で傷ついたりもしてる。今はそういうのメディアで出さない人が多いと思うんです。でも、彼はそういうのをちゃんと受け止めてる。バランスが取れてるけどすごいピュアなんですよ。稀有な人だなと思います。
──このアルバムって、作ってる安部くん本人も自信100%じゃないというか、「どういうものになるんだろ?」みたいな感覚がそのまま入ってる。それがやっぱりすごく面白いんですよ。世界リリースを担当するレーベル、〈テンポラル・ドリフト〉(※1)の北沢さんとやりとりしたときも「安部くんが東京で暮らしてるそのまんまが入ってる感じが面白い」って言ってましたよ。今は基本的にみんな失敗を怖がるというか、自信作しか世に出ない時代。ラフスケッチみたいな感覚って、普通はアルバムが完成に向かうと削ぎ落とされるでしょ? それがそのまま入ってるのがなかなかないし、すごいと思う。メンバーが付き合ってくれたのもすごい。
※1:USレーベル〈Temporal Drift〉。本作のアナログ・レコードでの全世界リリースが決定している。
安部 本当にそうだと思うんですよ。よくこんなにやってくれたなと。
──誰かが「ちゃんとしようよ」って言い出したら「夏休み感」が終わっちゃうかもしれないじゃないですか。
安部 それは僕もわかってたんです。「誰も言わない」って(笑)。このメンバーじゃなかったらやることも変わるので、この人たちが揃ったときのそれぞれの立ち位置が僕にはちょうどいい。それはあります。
香田 こないだ別のレコーディングで仁也くんに来てもらったときもすごく助かりました。何も聴いてきてないのに現場でめちゃくちゃいいフレーズ弾いてくれて。
──この組み合わせになったことで生まれた新しい関係性ですよね。
香田 カモくんにも別の作品でお願いしたりしてて。それはこのレコーディングから生まれたことですね。
安部 今後また僕が関係しなくても、誰かと誰かが一緒にやって作品ができていくのは楽しいし、超いいなと思います。
──作品自体も宅録的なものかと思いきや、もっとオーガニックで拓けたものになった。こうやって気の合う仲間と作ってるんだってわかったから、デヴェンドラ(・バンハート)(Devendra Banhart)(※2)も参加したのかも。「この夏休みの感じなら自分が入ってもいいかな」と思ったんじゃないでしょうか。
※2:アメリカを中心に活動するシンガーソングライター。かねてより安部との親交があり、本作ではM-2,M-9にギターで参加。
安部 たぶん、僕もそうだと思うんです。デヴェンドラさんも細野(晴臣)(※3)さんも、みんなと変わんないくらいの感じで参加してくれたんだろうなと思います。本当に、このメンバーじゃなかったらできなかったでしょうね。
※3:安部が最も敬愛していると語る。M-2,M-5,M-8,M-9でミックスを手がけている。
Text by 松永良平
Photo by Cho Ongo
PROFILE
安部勇磨
1990年9⽉4⽇東京⽣まれ。2014年に⼟着的な⽇本の歌のDNAをしっかりと残しながら、USインディなど洋楽に影響を受けたサウンドを軸にnever young beachのボーカル&ギターとして活動を開始。全ての詞曲を⼿掛ける。 FUJI ROCK FESTIVALやSUMMER SONICなど⽇本国内ミュージックフェスティバルに多数出演し、Devendra Banhart、The Growlers、Mild High Club、HYUKOHなど海外アーティストとも共演。 ⽇本のみならず上海、北京、成都、深圳、杭州、台北、ソウル、バンコクなどアジア圏内のライブツアーやフェスティバルにも出演し海外での活動も拡げている。
冨⽥ラボ、neco眠るの楽曲へ作詞、歌唱での参加やNTTコミュニケーションズのプロモーション動画でのカバー楽曲参加。2017年頃から敬愛する細野晴⾂との対談やラジオ出演などを果たし、⾳楽活動50周年を記念したイベント「イエローマジックショー3」へ出演し話題に。また、細野氏の2019年の著書「とまっていた時計がまたうごきはじめた」の解説を執筆。
2021年ソロ活動を開始し、6⽉に⾃⾝初となるソロアルバム作品『Fantasia』をリリースした。
Instagram|Thaian Records|Thaian Records Instagram
INFORMATION
Fantasia(ファンタジア)
2021年6月30日(水)
定価:¥2,970(tax incl.)
安部勇磨
品番:POCS-23012
レーベル:Thaian Records (タイアンレコーズ)
ディストリビューション :Virgin Music Label & Artist Services
1.ファンタジア
2.おまえも
3.おかしなことばかり
4.素敵な⽂化
5.さわってみたら
6.⾵まかせ
7.テレビジョン
8.ありがとさん
9.さよなら
10.ピンと来たほうへ
11.意味なんかなくても
12.おたより
All Music &Lyrics by 安部勇磨