春が近づき、「これからスケボーをはじめたい」と考えている読者は多いかもしれない。サーフィンのオフトレ用としてはもちろん、多彩なトリックやカスタムなどの奥深さも新たなファンを生み続けている理由だが、その独特なコミュニティにはどこか「近寄りがたい」イメージがあるのも事実だ。そこでぜひ足を運んでほしいのが、東京・神田にオープンした『Prime Skateboard』。プロも唸る圧巻の品揃えを誇りながら、とことん初心者やライトユーザーの目線に立ち、スケボーの楽しみ方をイチから教えてくれる頼もしいスケートショップだ。また、画期的なネットオーダー・システム『BUILDER』も国内外のスケーターから熱い支持を集めている。代表の金井信太郎さんに、スケボーの魅力や「選び方」、そしてショップへのこだわりを聞いた。
Interview:金井信太郎
ウチは建築士から大工さん、施工に至るまですべてスケーターが作っているので、「スケーター目線」のお店づくりには自信があります
――まず、神田という場所に行き着いたのは、何か特別な理由があったのでしょうか?
スケート需要を拡大していく上で、「もう渋谷だけではダメだろう」と思ったんですね。神田は山手線で渋谷からほぼ180度正反対の位置にあって、東京駅や秋葉原が目と鼻の先。ここに店舗を作ることで、30代~40代の層を取り込んでいければ良いな・・・という想いがありました。
――けっこう意識的だったんですね。
ただ、神田ってビジネス街でかつ飲食街ということもあって、テナントが全然空かなかったんですよ。ホントは路面店が良かったんですけど、2階でも決まってラッキーだったぐらいで・・・。それでどんなお店づくりをしようかと考えたときに、スケートショップってみんな「入りづらい」「怖い」って口をそろえるんですよね(笑)。それをどう打破するか? というのが最初の壁でした。
――たしかに「素人お断り!」っていう雰囲気はあります(笑)。
サラリーマンの方が渋谷にスケボーを買いに行くのって、すごく勇気がいると思うんです。でも、この街だったら周りに日本橋、大手町、そして神田があって、東京、秋葉原・・・どっちかと言えば僕のほうが「アウェー」ですからね(笑)。だからお昼休憩とかで「なんだこの店?」って気軽に入ってもらえる。そこでどうやって2階に呼び込むか? と考えたとき、このビルは外看板を付けるのがNGだったので、スケートラックが窓の外を向くようになっているんですね。街を歩いているサラリーマンの方が見ても、一瞬でわかるような内装を心がけています。
――なるほど、これはインパクトありますね。
せっかく自分のお店をやるんだったら「世界一のことがしたい」という想いがあって、このラックはスケボー型のブラインドということで世界初の試みです。スケートボードってヨコにディスプレイされているお店がほとんどなんですけど、デッキのグラフィックはタテに作られているので、この向きで見せないとお客さんは選びにくいと思ったんですね。ウチは建築士から大工さん、施工に至るまですべてスケーターが作っているので、「スケーター目線」のお店づくりには自信がありますよ。
――さりげなくレジの下がランプ(半円型の斜面)になっているんですね。
お客さんが自分の選んだスケボーを目の前で見られて、写真を撮って、さらにSNSで拡散する・・・となったときに、何かインパクトが欲しいなあと思ってレジカウンターをランプにしてみました。また、この石の部分はカリフォルニアの「プール」をイメージしているんですよ。「プールコーピング」といって、オールドスクールのスケーターは水を抜いたあとのプールで遊んでいたんですけど、それがスケートボードの原点と言われているんですね。
初心者でも簡単に選べるシステムとは?