正式名称は『PITTI IMMAGINE UOMO』。通称ピッティ・ウオモは、イタリアのフィレンツェで毎年1月と6月に開催される世界最大級のメンズプレタポルテ見本市だ。世界有数のブランドはこのイベントを新作発表の場とするので、それに合わせて世界中のバイヤーやファッションエディター、あるいは感度が高いファッショニスタが一堂に会する。その人数は数万人。会期中のフィレンツェはお祭り騒ぎになるという。

そのピッティ・ウオモに日本人の靴職人として初の出展を遂げたのが、『YUICHI HANADA』の花田優一氏だ。

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ピッティ・ウオモの様子

一般的にシューズブランドのブースでは数十足の展示が慣例だが、花田氏がピッティ・ウオモの為に制作したのはわずか2足。1足は、花田氏が得意とするショートブーツ。もう1足は、1年半かけて研究した「自分にしか出せない曲線を持つ」ローファー。その2足だけで“勝負“した潔さだけでも、彼独特の感性をうかがい知ることができる。

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ピッティ・ウオモにて展示したローファー

「2足とも同じ革を使用したのですが、同じ革でもデザインやつくり方で靴の個性や印象がまったく変わることを表現したかったのです。だからと言って、職人としての技術を誇るつもりはありませんでした。あくまで靴のおもしろさを多くの人に知ってほしかっただけ。腕を自慢するというのは、僕の考える職人の姿ではないのです。2足に絞ったのは、今の僕ができる最高を提示するのにベストだと考えたからです。僕なりの100点で挑まなければ、必ずピッティ・ウオモに飲み込まれてしまうと思いました」

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若き靴職人の挑戦。フィレンツェでの修行時代を経て、彼が見出した理想の職人像とは?

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Text:田村 十七男
Photos:Nozomu Toyoshima