SOTIRED-ソータイアド-Supported by aDanza
2014.09.18(THU)@OMOTESANDO Gallery
自分のミュージックライブラリに入れてある音源にあわせて、力士、アルパカ、カエル、カブトムシ……といったユニークなキャラクターたちがダンスするというきわめてシンプルな内容でありながら、(いや、超シンプルであるからこそ)強烈な中毒性を持った世にも恐るべきiPhone用アプリ、『aDanza(エーダンサー)』。このアプリのリリースを記念して、9月18日に表参道ギャラリーにてリリース・パーティ<SOTIRED-ソータイアド-Supported by aDanza>が開催された。出演はこのアプリのプロデューサーでもあり、ゲーム音楽界の“ゴッド”として知られる田中宏和(Chip Tanaka)を筆頭に、DE DE MOUSE、Seiho、Licaxxx、Carpainterという“旬”なラインナップ。会場には感度の高いゲーム好き、音楽好き、新しいもの好き、各方面のクリエイターたちなど、多くの人たちが集まった。
まずレポートの前に、田中宏和と『aDanza』について説明を加えておこう。田中宏和については、ゲーム好きならば誰もが知るレジェンドであるが、ゲームに疎いという人であっても、彼の作った音楽を耳にしたことがないということはないくらい、彼はこれまでにあまりに多くの人気ゲームの音楽を手がけている。代表的な作品で言えば『スーパーマリオランド』、ゲームボーイ版『テトリス』、『MOTHER(鈴木慶一との共作)』などがそうだし、さらにはミリオンセラーを記録したテレビアニメ『ポケットモンスター』の主題歌“めざせポケモンマスター”も彼の作曲によるものである。
そんな田中宏和が率いる〈株式会社クリーチャーズ〉がリリースした初のiPhone用アプリ、『aDanza』。これは前述したようにめちゃめちゃシンプルなアプリ。だが表層のシンプルさの裏には、ゲームと音楽に長年対峙し続けてきた田中ならではの緻密な計算と職人的な“こだわり”が隠されている。例えば、登場するキャラクターたちの動き。これは単に曲のBPMに合わせて踊らせているのではなく、実際にプロのダンサーやアイドルが踊った踊りをモーションキャプチャーで再現し、音楽データに「フーリエ変換」という手法を施して得たグルーヴに合わせて踊らせているのだそうだ。だからこそ、ずっと見ていても飽きがこない、中毒性の高いヌメヌメとしたダンスが表現可能なのである。同様にキャラクターの質感や表情のデザインにも余念がない。ユルいようでいて、恐ろしいほど完成度が高いアプリなのだ。
というわけで、パーティ・レポートに戻ろう。会場では、網戸(!)にaDanzaのキャラクターたちが投影され(投影した映像が立体的に見える)、キャラクターたちの珍妙なダンスを楽しめるブースやアルパカのぬいぐるみを被り記念撮影できるコーナーなど、さまざまにaDanzaの世界を共有できる仕掛けが用意されており、序盤から大いに盛り上がった。