メイン取材の1つであった「RBMA & TROUW PRES. HENRIK SCHWARZ & DARKSIDE」は<ADE>期間中に開催されたが、カンファレンスと全パーティーへ参加可能なパスを持っていても入場出来ないという特別なコンテンツだった。
日本でも<RBMA Weekender>のオープニングとして築地本願寺で披露されたが、Henrik Schwarz(ヘンリック・シュワルツ)が数年前から制作している自身の楽曲をオーケストラ用に作り直したいわばクラシックとして発表する試み。4つ打ちには絶対不可欠であるドラムとベースを全て取り除いているというから言葉だけでは想像が付かない。まず、会場となったCONCERTGEBOUWの美しさにはため息が出た。普段は世界有数の交響楽団が演奏をしているまさに宮殿で、社交界やメゾンブランドのランウェイショーやパーティーがピッタリハマる豪華さと品の良さ。360℃音が響き渡るように作られたホール、計算しつくされたスピーカーの配置、照明、観客席の配置、何もかもが完璧だった。近くで実際に観るオーケストラは、指揮者の指先に全神経が集中し、演奏者の滑らかな指先から奏でられる繊細な音、オケが一体となった時の圧倒的なパワーと全会場に駆け抜ける音。それの1つ1つが全身に響いて終始鳥肌が止まらなかった。ヘンリックは演奏の最初と最後に挨拶のため登壇しただけだったが、その意思は充分に伝わってきた。ヘンリック・シュワルツというアーティストを知らない人が聴いても素晴らしいクラシック音楽であり、元となるトラックを知っていたとしても身体が勝手にリズムを取り出し、フロアーにいる時と同じ高揚感を感じることが出来た。
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オーケストラを取り入れているアーティストは他にもカール・クレイグやジェフ・ミルズなどがいるが、ターンテーブルや機材を用いて自らもステージに立っている。ステージには常にスター的存在が必要ではあるが、ヘンリックはそういった部分も含めて、完全にDJとしての自身の立場を除外し、1人の音楽家として次なるステージへ向かっているのかもしれない。
一番注目していたクラブTrouwにてRAのパーティーへ入った瞬間その迫力とスケールの大きさに圧巻。アムステルダム最高峰として名高いこのクラブは軍艦とWarehouseを合わせた様なその迫力とスケールの大きさに驚く。ドアポリシーこそないが、ベルリンのBerghainを思わせる玄人向けの空気感も漂う。2Fのメインフロアは見これでもかというぐらい縦長でFunktion Oneが上から吊るされ、どこにいても音響も雰囲気も抜群、バーもあちこちに設置され、スモーキングエリア、チルエリア、レストランラウンジ、物販エリアなどとにかく広い。着いた時には1FのフロアーでMotor City Drum Ensemble(モーター・シティ・ドラム・アンサンブル)のホットなプレイ。背の高いヨーロッパ人を掻き分けながらどうにか見える位置に辿り着いた時にはすでに汗だく状態。1Fフロアーでも充分広いのにその倍以上はある2FのフロアーではPeter Van Hoesen(ピーター・ヴァン・ホーセン)がロングセット。次のRODHADの登場をブース付近で待機し、日本から取材で来たこととruralでのプレイが素晴らしかったことを告げ、すぐにフロアーへ。すでに大御所の貫禄と人気を放つRODHADだが、外見の男らしさに見合った力強いテクノで引っ張っていきながら、長時間踊っていても飽きが来るどころかどんどん引き込まれていく。目を瞑って音にハマっていると突然鳥肌が立つほどのソリッドさと変化球ノイズをカットイン。今度の活躍がますます期待されるアーティストの1人だ。
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本場ロンドンで一番行きたいと思っていたsecretsundazeのパーティーがレギュラーで行われているSTUDIO80。セキュリティーも厳しく、トイレ使用は1回50¢。聞いてはいたが、アムスのクラブの多くはトイレが有料なのには驚く。固いテクノばかり続いていたせいかRoman Flugel(ローマン・フリューゲル)の柔らかいハウスは耳がなれるまでリズムを取るのに時間が掛かってしまった。結局Bleakのライブで完全テクノの世界に引き戻され、刺すようなサウンドの中に居心地の良さを感じるまでに。STUDIO80は2フロアーとも音の伝わり方が気持ち良くて踊りやすかった。
Guy Gerberが主催するWidom of the Glove@Scheepsbouloodsへ。
オープニングからMartin Buttrich、そしてFour Tet(フォー・テット)、Guy Geber、DJ Koze、Bill Patrick、Lee Burrigeへと続く、誰がヘッドライナーでもおかしくないラインナップ。会場は巨大倉庫に幕張メッセを足したような雰囲気で、フロアーにはいくつものレーザーが飛び交い、パーティーを最高潮へ持っていく演出も完璧。Fout Tetがあのメランコリックで優しい世界観を垣間見せず、アップリフトなセットを披露していたのがとても印象的だった。