再びLOUNGEに戻ると、札幌出身の若き女性プロデューサー/トラックメイカーにして、すでに海外アーティストとのコラボや共演も果たしているQrionのライブがスタート。アメリカのエージェンシーと契約を交わし、現地への移住も控える注目の存在とだけあって、メイン・フロアから多くの人々が流れてきたのが印象的だった。自身の楽曲やリミックスなどを軸としたDJに近いスタイルながら、リアルタイムでエフェクトやサンプラーを効果的に挟み、めまぐるしく曲の表情を変えていく。ゴリゴリのヒップホップ・ネタを使った楽曲でも、 あえてアゲ切らない独特のテンション感でアウトプットされるのが面白い。かといってチルアウトするわけでもない静かな興奮がそこにはあり、最後はとびきりキャッチーな“Beach”を投下、カットアップされたヴォーカルが別れを惜しむかのように鳴り響く中、万雷の拍手と共に幕を下ろした。
そして、この夜の大トリを務めたのはOGRE YOU ASSHOLE。フロントマンの出戸学(Vo、Gt)が「こんばんは」と挨拶すると、初っ端から新曲を2曲続けてプレイする「攻めの姿勢」が実に彼ららしい。ダビーでサイケデリック風な1曲目と、パーカッシヴな打楽器が印象的な2曲目に続いて演奏されたのは、より鋭角的かつ攻撃的にアレンジされた“見えないルール”。これでガラッとフロアの空気を一変させ、続く“フラッグ”ではトライバルな味付けが加えられたイントロから徐々に加速、4人の生み出すフレーズが激しく絡み合い、一気にボルテージを上げる。さらに緩急をつけるかのように挟んだ“黒い窓”、“夜の船”といったミディアム〜スロウなナンバーでは、ピンク・フロイドもかくやのギター・ソロを披露するなど、その表現力の豊かさ/引き出しの多さに改めて驚くばかりだ。
ラストは原曲の面影を感じさせないほど壮大に生まれ変わった“ワイパー”。タメを効かせた終盤のバンド・アンサンブルはまさに圧巻の一言で、フロアごと成層圏の向こうまで連れ去っていくかのような轟音を鳴り響かせ、大団円を迎える。彼らがステージを去っても 長い間アンコールを求める拍手が鳴り止まなかったが、オーディエンス一人ひとりの晴れやかな表情が、<SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY>の成功を物語っていた。
尚、こちらのイベントの模様はスペースシャワーTVにて3月27日(日)22時よりオンエアされる。
PROGRAM INFORMATION
TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016 SPECIAL
【初回放送】2016.03.27(日)
START 22:00/END 23:00
スペースシャワーTV
Text by Takazumi Hosaka
Photo by SUSIE