Supremeとクリス・カニンガムのコラボレーションが出た時は大変興奮しました。正直めっちゃ欲しいなと。イギリスのど変態監督をストリートで普及したいですよね。そして、そのコラボがあったと思いきや、今年9月に『Collapse EP』をリリースしたAphex Twin（エイフェックス・ツイン）がSNSに名MVのキャラクター：テディーベア、傘などをグッズで販売するとのご報告。2018年のサービス月間ですね。
さらに、11月の終わりには『Crack Magazine』にて特集が組まれ、完全にイかれてるとしか言いようがないエイフェックス・ツイン・クラシックなサイトが公開。＜FUJI ROCK FESTIVAL＞でも話題になった超絶ブラックでユニークなVJ・Weirdcoreのインタビューなどが公開、「AIがトリップしたらどうなるのか見てみたかった」と『T69 Collapse』MVについてコメントし、ファンを震え上がらせました（安堵）。
同サイトで「宇宙的な規模でやりたいことがなんでもできるなら、まず最初に自分のトラックが聴きたい」とコメントしたエイフェックス・ツイン。そんな彼が原宿にてポップアップストアを開くとは夢にも思いませんでした。Appleの新製品発売時にパーティー行列ができますが、それがエイフェックス・ツインのことが好きな人たちで起こってしまったならどうなるのかと。
当日11時、整列開始時間にはローソンから表参道ヒルズまで、謎の行列が出現。そのまさかです。想像はしていましたが、まさかここまでとは！ 女子高生たちが「これ、何の列だろう……?」とWindowlickerの傘を指差しながら話していたのは、かなりアツかったです。
「傘とテディベア、ポスター、Tシャツ、パーカー、マスク、将来の子供のためにロンパースが欲しいです」と語ったのは20歳の男子大学生。行列ではどんな音楽が好きなのか？ などなど、話に花が咲きます。Death GripsやDorian Concept、clipping.、JPEGMAFIA、10周年を迎えた〈Brainfeeder〉……。こんなに話の合う人がいるのかと胸騒ぎ、ただのグッズ販売イベントではなく、新たなコミュニティーが誕生する場になっていたように思えます。そういう意味でも“POP UP” ですよね。
お店の前には、“Windowlicker”ジャケット顔ハメが用意。もちろん大人気で、私も写真を撮ってもらいました。こういう装置があるのは盛り上がります。そして入店すると、早速テディーベアの集団がお出迎え。オレンジ・黄色・緑の全色揃ったセット買いをする方もしばしば。Tシャツやパーカーは人気のこと、傘やマスクといったグッズとしてもコアなアイテムもかなり人気。Supremeがハーモニカやハンマー、電卓、ミニバイクなど、実用的（？）なアイテムをリリースする度に話題になりますが、今回のポップアップの傘やマスクは、その感覚と少し似てる気がします。
エイフェックス・ツインのファンたちへのサプライズなお祭り。私たちのヒーローをファッションアイコンとしても楽しめるとは。アングラ色が強く、大胆なプロモーションやキャッチーなロゴなど、もともとファッション的な要素はあったとは思いますが、いざ服が販売されるとなるとこの盛り上がり。いろいろと謎が多いエイフェックス・ツインですが、今回はファッションで私たちを翻弄してきました。mp3という無限なものから、服という有限なものに。奇妙な微笑みの裏側にある顔はどんな表情なのでしょうか。今後、エイフェックス・ツインへどういった距離感で接していくかで、その時代が分かってくるかもしれません。
Photo by Kazma Kobayashi