前回、2ndアルバム『月明かりのせいにして』リリース時には、そのタイトルやバンド名ともリンクしたアートワークを紹介したaquarifa(アカリファ)。音源やライブのみならず、バンドが伝えたい世界観をトータルで展開しようとする美意識を感じさせてくれたが、今回は10月25日(金)に渋谷O-Crestで開催されるワンマンライブに向けて、再度、aquarifaの魅力を検証しようと思う。
人間の闇の部分や、時代が抱える閉塞感を自分自身の言葉や音で表現する女性アーティストは以前なら「トラウマ系ね」などと揶揄されることも多々あった。が、最近、音楽的なクオリティと、一瞬ドキッとするような鋭い言葉を持つアーティストやバンドは女性メンバーを含んでいたり、中には女性ばかりのバンドも多い。明らかに時代の潮流と言っていいほどだ。そんな中、aquarifaは音響系、ポストロック、マスロック的なバンドサウンドに、ギタリストの松川真也が、イメージしていたバンドの世界観を構築するために女性ボーカルを必要としていたところからaquarifaのオリジナリティが誕生した。最初に耳にしたとき、ボーカルのタイプは異なるがMEWが持っているスケール感と潔癖なイメージがふと浮かんだ。他にはMogwaiら、インストのポストロックバンドを想起したことも付記しておきたい。
“switch”
ボーカルの岩田真知は、aquarifa加入前まではバンド志向でありつつ、シンガーソングライターとして、一人で弾き語りの活動をしていた経歴の持ち主。そのことが他の近い音楽性を持つバンドとは決定的な差異となって現れている。鋭角的なサウンドと幾何学的な曲の構造を持ったバンドに、歌とメロディから楽曲を作るという、新しい手法を持ち込んだのが岩田だからだ。2ndアルバム『月明かりのせいにして』では、そうした手法で作られた楽曲が透明感や儚さを湛えたミディアム~スローチューンに結実している。一方で鋭利なギターリフ、抜き差しならないリズムチェンジや轟音が渦巻くナンバーでの、強迫観念的な歌詞もすさまじい。しかも岩田の危うく甘さのある声が意表を突き、むしろ驚異を覚える。テーマは多くが自分でもコントロール不可能な感情に傷み、人に言えないドロドロした嘘を隠そうと苦しむヒロイン像が見えてくるのだが、もとより人と繋がる気がない人が苦しむことはないのだ。それがバンドの世界観を切実なものにしている。
スリリングなバンドアンサンブルや押し寄せるシューゲイズサウンドはジャンルとしてのそれというより、バンド名の由来でもある月が象徴する神秘性や、それに影響される人間の感情の奔流に思える。共感する部分は聴く人ひとりひとり違うかもしれない。振り幅を持ったバンドだからこそ、あなたにとってのかけがえのない瞬間を一度、ライブで発見してみてほしい。
text by Yuka Ishizumi
Event Information
aquarifa ワンマンライブ
『君は誰のせいにする?』
2013.10.25(金)@渋谷O-Crest
OPEN 18:30/START 19:00
ADV ¥2,300/DOOR ¥2,800(ドリンク代別)
TICKET:ローソンチケット(Lコード:74445)、チケットぴあ(204-935)、イープラス(http://eplus.jp/)
★当日は、この時期限定のニューグッズも販売!
★「switch」のMV撮影時に使用した「写真」をメンバーのサイン入りで、来場者全員(おひとり様1枚)にプレゼント!!
Release Information
Now on sale! Artist:aquarifa(アカリファ) Title:月明かりのせいにして redrec/sputniklab inc. RCSP-0041 ¥1,890(tax incl.) |