ATARI TEENAGE RIOT ver.2.0

REVOLUTION Never Die!!!! まさかの復活!!!

[ver.2.0 メンバー]
・アレック・エンパイア(Alec Empire) – Programming,Shouts
・ニック・エンドウ(Nic Endo) – Noise Control,Vocals
・CXキッドトロニック(CX Kidtronik) – MC

ATR解散後の2000年代、残されたアレックとニックはソロ活動に勤しみます。アレックがこの時期にリリースした『フューチャリスト』(05年)、『ザ・ゴールデン・フォアテイスト・オブ・ヘヴン』(07年)はATR期のデジタル・ハードコアの面影も少ないロックやニューウェイブな作風で、「ATR」とはやはりあの4人にしかなし得ない表現活動だったのだろうと熱心な信者は落胆したものです。しかし! 時代も彼らの活動を過去のフォルダへと入れかけた2010年、突如として“復活”の朗報が舞い込みます!

事の発端はブルックリン出身のMC、CXキッドトロニック。ATRのファンであった彼がアレックとニックに曲を一緒に作って欲しいとコンタクトを取ったことから始まります。ヒップホップのアーティストのためにアレックはダウンテンポのブレイクビーツを送るとCXは「あれはあれでいい曲だけど、僕はBPM 200くらいのATR的なものが欲しい」とオファー。しまいにはニックにもヴォーカルとして参加して欲しいとコラボレーションが始まります。またその数ヶ月後には何と前述のブリクストン・アカデミーでのライブ以降、音信不通であった元メンバーのハニンから連絡が届きます。それは「またATRのライブをやりたい!」というメッセージでした。

アレック曰くは「いくつかの出来事が重なって、成り行きでそうなった」と語りますが解散から10年近く経過し、インターネットの時代と可能性に目をつけていたアレックはそれを逆手にとって遂にATRの活動を再開させます。MCにはコラボレーションをしたCXを従えてロンドンでの復活ライブ(ただし火付け役の一人であるハニンはまたしても会場に姿を現さなかった)を皮切りに幾つかのライブを行います。

復活を待ち望んでいたファンはもちろんですが、彼らのメッセージを初めて体感する観衆までもがその“復活”に歓喜狂乱する姿は、彼らが昔から提起してきた問題=経済危機、インターネットによる情報操作、戦争、原発問題……。と、90年代よりも今のほうがより現実的に共感を得るものであるからなのかもしれません。

Atari Teenage Riot – Stage Invasion At Fusion Festival 2010

■母国ドイツで行われた復活後の初ライブ映像!! 熱狂的なファンの待ちわびていた感がハンパない! ハニンの変わりにシャウトするニックが刹那的でエモーショナルなATARI TEENAGE RIOT ver.2.0。

手法は変われど、そのメッセージは変わらず!

ライブでのサウンド・デモで世間を振り向かせた初期活動の時代性、2010年代のATRは“インターネット”という新たな武器を手に入れます。ライブで復活を遂げた翌年の2011年には4thアルバム『イズ・ディス・ハイパーリアル?』を発表、そのテーマは「ウィキリークス(=匿名により政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイト)による政府の崩壊」。TumblrやFacebookなどのSNSツールを巧みに活用して拡声器をオンラインに変え、彼らはまた私たちにメッセージを投げかけます。溢れる情報が正しいのか、そうでないのかを判断するのは自分自身なんだと。

その活動はまたも大きな広がりを見せます。シングル“Black Flags”のミュージック・ビデオではネットで呼びかけた世界中のファンとともにウィキリークスやハッカー集団であるAnonymous(アノニマス)ともコラボレーションを果たします。この曲はアメリカのソニー「PlayStation Vita」のCMにも使われ、アレックはなんとその報酬を2011年にソニーを攻撃したアノニマスの逮捕者をサポートする運動「FreeAnons」に寄付したり、と相変わらず反キャピタリズムな姿勢を示します。

Atari Teenage Riot – Black Flags Wikileaks Edit.

■「Are you ready to testify?(証言の準備はいいか?)」と叫び、全世界の信者に黒いフラッグによる意思表示を投げかけて集めた映像を使用。だれでも社会や政治に対して行動が出来ると提示したSNS世代の讃歌。

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