1998年に“ベイビー・ワン・モア・タイム”でデビュー。以降、公私共にさまざまな騒動を巻き起こし、今や不動のポップ・アイコンとなったブリトニー・スピアーズ。その15年の衝撃史を、音楽を通じて振り返りながら、最新作『ブリトニー・ジーン』に込められた思いを探る!
伝説の誕生、そして20世紀最後を代表するポップ・ソングを作り上げる
ブリトニー・スピアーズと聞くと、どうしても過去のスキャンダラスな事件ばかりがクローズアップされていたり、パフォーマンスで口パク疑惑が囁かれたりなど、ダーティなイメージが先行している印象だ。しかし、そういった状況のなかでも、1998年のデビュー以来発表した楽曲は着実にヒットチャート上位を獲得、トータルセールスは1億を余裕で超えていることなどを考えると、彼女がこれまで残した音楽は、どれも時代をとらえた、質が高いものであったと言えるのではないだろうか。
そのなかでも、多くの人々に強烈なインパクトを与えたのが、デビュー曲“ベイビー・ワン・モア・タイム”と言えよう。当時流行していたR&Bテイストを巧みに取り入れていながらも、一瞬にして耳に残るサビのフレーズは、それまでのアメリカのティーン・アイドルにはない絶妙のクール&ポップさのあるもの(実は当初、人気R&BユニットTLCのために書き下ろされたものだったそう)。瞬く間に話題をさらい、シングルのみで1000万枚、同タイトルのアルバムは2000万枚以上をセールスするなど、大ヒットを記録。何とアルバムは10代アーティストによる最も売れた作品としてギネスにも認定された。その後このデビュー曲は、英国の人気バンドであるトラヴィスをはじめ、さまざまなアーティストにカバーされ、さらには最近では海賊撃退ソングにも活用されているという噂も流れるなど、現在でも数多くのニュースを生み出している。ブリトニーいや20世紀最後を代表する名曲になっているのだ。
コギャル風ファッションも話題に!“ベイビー・ワン・モア・タイム”
ポップ・アイドルからの脱却、クールでエッジィな大人の女性像へ
その後、2nd『ウップス!…アイ・ディド・イット・アゲイン』(00年)、3rd『ブリトニー』(01年)をリリースすると、人気はさらに爆発。時代を代表するアイドル的な存在として、世界的な人気を揺るぎないものにしたブリトニー(日本でも「ブリちゃん」という愛称で定着)。
しかし、いつまでもキュートで小悪魔的な魅力を振りまいているだけでは、賞味期限があっという間に訪れてしまう。そこで彼女は03年リリースの『イン・ザ・ゾーン』で大胆にイメージチェンジ。自身が尊敬するマドンナをフィーチャーした“ミー・アゲインスト・ザ・ミュージック”を筆頭に、モービーやR・ケリーなど、多彩なジャンルのアーティストをソングライター/プロデューサーに起用。また、その後ヒットチャートを席巻する楽曲を多数輩出するトリッキー・スチュワートの才能をいち早く見いだすなど、時代の最先端を発信。結果、収録の“トキシック”は05年の<グラミー賞>を獲得するなど、アーティストとしての進化をみせた。
マドンナをフィーチャーし、大胆セクシー系にイメージチェンジ! “ミー・アゲインスト・ザ・ミュージック”