『THX1138』(71年)、『時計じかけのオレンジ』(72年)の遺伝子を受け継いだ近未来SF映画『カレ・ブラン』が今春、日本でも公開される。本作は、本国フランスでは「精神的な暴力の提示」を理由に数館でしか上映されなかったという問題作だ。

物語の舞台は弱者が生きる余地なき社会――。母親が自殺したフィリップは、孤児だけが集められた教室で同じ年頃のマリーと出会い、共に思想教育を受ける。2人はやがて夫婦となリ、フィリップは、「家畜」たちに理不尽な能力テストを強いる組織のエグゼクティヴ「社畜」として何不自由ない生活を送っていた。しかし通い合っていたはずの2人の心はいつしか冷え切り、結婚生活は破綻しかけている。そして夫婦関係の修復を願うフィリップの脳裏に、はるか昔、母親から聞かされた野生の白熊親子の残酷譚がよぎった…。

そんな本作の日本版の予告編はトンデモナイ内容となっている。今回の予告編は、ブラッドサースティ・ブッチャーズのドキュメンタリー『kocorono』(11年)や、ボアダムスのライブドキュメント『77BOADRUM』(08年)の監督、そして『アナーキー』(09年)のリミックス(編集)を担当した、川口潤が編集を担当。絶望的映像満載の非常に暗黒感漂った予告編となっている。あなたはこの映画に耐えられるだろうか。

カレ・ブラン

2013年陽春より渋谷イメージフォーラムほかにて全国ロードショー

監督・脚本・製作:ジャン=バティスト・レオネッティ
撮影:デヴィッド・ニッセン
美術デザイン:ドミニク・ピアソン
出演:サミ・ブアジラ、ジュリー・ガイエ、ジャン=ピエール・アンドレアーニ、カルロス・リール
2011年フランス=ルクセンブルグ=スイス=ベルギー=ロシア合作
配給:キングレコード+ビーズインターナショナル
宣伝:ビーズインターナショナル