——Chakiさんの中で、Spikeyくんが今年撮った作品で印象に残ってるものは?
Chaki やっぱ“Cho Wavy(De Gomenne)”じゃないですか。Remixの方。出てる人もちゃんと動けてるし、画にノリがある。そりゃみんなの頭にこびりついて何回も観ちゃうだろうなって。でもロケーションはよくある渋谷の光景じゃないですか? もし俺が同じカメラを持って撮りに行っても、同じ画は撮れない。そういうSpikeyっぽさが出てるんですよね。曲もおもろいし、そりゃバズるわなって。
Cho Wavy De Gomenne Remix feat.SALU
——めちゃめちゃいい機材を使ったり、大層なセットを組んだりしているわけではないのに。やっぱ視点とか切り取り方なんですかね?
Chaki Seiyaがこの前、「写真を撮る前に妄想してる」って言ってたんですよ。被写体のAくんがいたら、今どういう状況なのかを勝手に妄想して撮るって。でも結局、アーティストもけっこうみんなそうじゃないですか。俺もビートを作る前に、ラッパーにこういう曲でこういうステージングで、こういう映像を撮るっていうのを勝手に妄想して作る。“妄想力”が高い人が作ったものって、何か一味違うじゃないですか。Spikeyも普段から妄想癖ハンパないですよ。
Seiya Uehara(※当日撮影してくれたフォトグラファー) ほんとハンパないですよ!
Spikey (…………)
Chaki Spikeyはアイドルとも付き合えると思ってるし、アーティストとしてのナルシズムみたいなものも高い。でも面白いものを作ってる人って、どこかしらそうだと思う。
——Spikeyくんは自分でもそう思いますか?
Spikey 昔から言われてますね。「想像力が豊かだね」って。
——勉強とか、理系の科目は苦手でしたか?
Spikey いや……数学は得意でした。
Chaki たぶんこれも妄想なんですよ。
一同 ハハハー!
Chaki 九九を全部言えないでしょ?
Spikey 言えます言えます。公文とか行ってましたし。
——公文……。今って情報もキャッチしやすくなってますし、まねもしやすくはなっているとは思うんですけど、Spikeyくんのような若い子が妄想も加えつつ、新しいものを作っているのはすごく興味深いです。
Chaki まねしてる部分はあると思うんですよ。でもそれをポジティブに使いこなしてる。俺はコピーっていう言い方はネガティブだから好きじゃないんで、リミックスし合ってるみたいな。Aっていうアーティストの後にBっていうアーティストが曲を出したとして、それが似ててもコピーじゃなくて、前の曲をリミックスして、オマージュしてるっていう。みんなでしりとりしてるような感じ。それって2010年代の感じじゃないですか? この子たちはそういうのが無意識に得意になってて、それにSpikeyの天性の妄想癖も加わり……。
Spikey 妄想は……想像にしておいてください。
Chaki Spikeyの場合、HIPHOPだけが好きって感じじゃないから、それも面白いのかも。
——はなから今いるフィールドを見てない感じはありますね。
Spikey そう……かな。まあ高校生の時にHIPHOP好きになったんですけど、ビデオ見てたらショボかったんですよ。今見たらVHSの雰囲気カッコいいじゃんみたいなのはあるんですけど、もうiPhoneがあったので「なんでこんな感じで撮ってるんだろう……」って。なので最初はガンガンHIPHOPを撮ってました。これからは別のジャンルにも挑戦したいですが、Chakiさんの作品とか、Awichさん、kiLLaとかはこれからも撮りたい。
——今年の感じを見ていると、HIPHOPの映像に関してはやり尽くした感があるのかなと。
Spikey ……“Remember”と“OMW” が気に入り過ぎてて。あのふたつは公開も同じ日で、自分でも「ヤバいのがふたつ出ちゃったよ」って思った。あそこまで納得出来るものをなかなか作れてないっていうのがあるので、今年最後にそういうのが作れればとは思ってます。
——あのふたつが同日に出た時は、新しい時代を感じました。
Chaki 沖縄にも行ってもらって、香港にも行ってもらって……ありがとうございました。
Spikey でも俺が香港で撮りたいって言ったんで。
——“OMW”は日本じゃ撮れないスケール感でしたね。
Spikey 曲を聴いた瞬間に壮大なイメージが浮かんで。でも出来ることと出来ないことがあるじゃないですか? そうしたらSeiyaとか友だちとかから香港でHIPHOPの曲をめっちゃ派手にやってるのがあるって聞いて。あの曲は“上中下”っていうイメージがあったんで、地下から空へ這い上がっていくイメージをストーリー仕立てにしようと思いました。逆に“Remember”は何でもアリのテンションだったのでやりやすかったです。
YDIZZY – OMW (Prod. Chaki Zulu)
——撮影する時はチームで動いてるんですか?
Spikey そうですね。Seiyaはずっといっしょにやってますし。
——今後、チームでこういう人がいたらいいなとかありますか?
Spikey 最近ドキュメンタリーとかも撮りたいなとは思ってて。マスタリングとか、トラックだけじゃない音のスペシャリストと知り合いたいですね。ひとりぐらいそういう人がいると安心するんですよね。
——どんどんそういうプロフェッショナルな人に囲まれる現場が増えていくでしょうね。Chakiさんはこの一年で、Spikeyくんの成長を感じますか?
Chaki 感じますね。でも、直接本人にも言ってるけど、もうちょっと毒っ気のあるものを撮った方がいいよとかは言います。まあ俺の好みの話ですけど、そういう面での伸びしろはまだまだあると思う。次はもっと違和感のある……見た人が三者三様の考え方が出来る映像というか。これは例えばですけど、朝方の墓場に、超ボディコンの女がひとりでタバコを吸いながら花束持ってるシーンがあるとする。そしたらそれを見て、みんな捉え方が違うと思うんですよ。クラブ帰りで静かなところに行きたくて墓場に来たって捉える人もいれば、昔の彼が亡くなっちゃって、ふと会いたくなって来たって考える人もいるかもしれない。言葉を使わずに考えさせる映像っていうのは、自分がいろいろなことを経験していく中で画に現れていくと思う。今はかわいいSpikeyを十分に出せてるんですけど、また別のSpikeyが出てきたらもっと深みが出てくるはず。
Spikey Chakiさんと太一さん(木村太一・映像監督)に映像について言われると、「ああ……」って落ち込みます。
一同 ハハハハー!
Spikey ほかの人に言われてもあんまり響かないんですけど、やっぱ自分がカッケーって思ってる人に指摘されると「そうなのかなー」って。指摘してくるところも、自分が気にしてるところをズバッと突いてくるので。
——まだ21歳で、これからもっと成り上がるんでしょうね。
Chaki この間ギャラでご飯おごってもらったんですよ。
——フフフ……何食べたんですか?
Chaki スパゲッティを。けっこういいお値段がする。
Spikey 東京ドームシティにある店に僕のおごりで。
——Spikeyくんが好きな芸能人と付き合える日も近いかもしれませんね。今一番会いたいのは誰ですか?
Spikey そりゃもう、広瀬すず。昨日も『先生!(…好きになってもいいですか?)』っていう新しい映画を観ました。
——あと何年ぐらいで会えそうですか?
Spikey 来年ぐらいには……対等な関係で会いたいですね。
Chaki いけそうで怖いんだよな。
——怖いですね。最後にこれから先の展望はありますか?
Chaki 引き続き、今いっしょにやってる仲間をどれだけカッコよく見せられるか。本当にカッコいいヤツらなんですけど、そのカッコよさを100%以上で人に伝えるのって難しいじゃないですか? 新しいアーティストを探そうっていうよりも、今の仲間をどんだけ上に持っていけるかですね。
Spikey 僕はもっといろんなジャンルでやってみたいですね。HIPHOPに偏った時期もあったんですけど、来年はメジャー系の人たちとも仕事できたらいいなと思います。まあ両立はしたいですけどね。
Chaki まあSpikeyがどこへ行こうと、俺の仕事はお願いするけどね。
Spikey Chakiさんの作品はやりがいがあるので、どこでも行きますよ。
——この前、沖縄行ってましたよね?
Spikey はい、Awichさんの新作で。でも台風で、3日間あって1日目がロケハン、中日で撮影する予定だったんですけど、Awichさんの飛行機が飛ばなくなっちゃって。何とか最終日に撮影しました。それももうすぐ公開されるので楽しみにしていてください。
Mighty Crown feat. Awich – Foo Fool Boy
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interview&text by ラスカル(NaNo.works)
photo by Seiya Uehara