そして今回の2作目『ヨーロピアン・ソウル』では、フェニックスの新作『バンクラプト!』でエンジニアを務めたローレント・D・エルベクール(彼は仏ロック・バンド、ジャマイカのアルバムなどにも参加する人物)を迎え、彼が所有するパリの「Tranqullle Le Chat」でレコーディングを敢行。バンドの演奏が見違えるほど洗練された艶やかなグルーヴを獲得している他、トム・バークのヴォーカルもぐっとソウルフルな表情を見せるようになった。そう、彼ら本来の魅力を突き詰めるという方向性で、まるで別のバンドになったかのように見違えるような進化を遂げているのだ。その雰囲気は、先行シングル“Lighten Up” (MV監督は、アークティック・モンキーズの“R U Mine?”やキング・クルエルの“Easy Easy”を手掛けたフォーカス・クリープスが担当)や、アルーナジョージのジョージ・レイドが関わったという“Waiting For Your Lover”を聴けば一発で伝わるはずだ。

Citizens! –“Waiting for Your Lover”

また、本編にはチェーザレによるリミックスの他、日本を題材にした“X-Mas Japan”や、サビが《どこまで行けるの/どこまで》と日本語で歌われる“Lighten Up(Japan Edit)”(国内盤ボーナス・トラック)も収録。彼らが追究してきた「異なる音楽を繋ぎ合わせること=ロックとダンスの融合」はもちろんのこと、いつになくオリエンタルな要素も増している。

Citizens! –“Lighten Up (Cesare Remix)”

それもそのはず、タイトルの『ヨーロピアン・ソウル』とは、「(欧州がもつ)分かち合いや、それぞれの国が集まってできた統合性の精神、変化を恐れることのない意思」から取られたもの。トゥー・ドア・シネマ・クラブやイズ・トロピカルの作品などでダンスとロックの融合を進めてきたここ数年の同レーベルの中でも、最もセクシーで艶やか、きらびやかなサウンドは、〈キツネ〉の精神を今にアップデートしつつ、ジャンルを越えて多くのリスナーを虜にしてくれるんじゃないだろうか。

(text by Jin Sugiyama)

Release Information

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