ーーそこからC4の活動は本格的に加速していくことになったんですね。
WASEI CHIKADA そうですね。C4は毎週のように集まってミーティングをして、東京を中心にクラブの事業者に声掛けを行っていきました。そのような動きの中で、C4の呼びかけをきっかけとして、東京には、現行風営法の3号営業の許可を取得している大箱系の団体であるJNCA(日本ナイトクラブ協会)と、小箱・中箱系の団体であるJMBA(日本音楽バー協会)という2つの事業者団体ができました。大箱と小箱・中箱は、目指す場所が違うから意見が違うところもあるけれど、C4が2つの団体の間に入り連携が取れるように尽力しました。
ーー日本のクラブカルチャーを作ってきた、現場を知っている国内を代表するDJだからこそできる、クラブの事業者と国との仲介役になったんですね。
WASEI CHIKADA だけど、代弁者になるといっても一筋縄じゃ行きませんでした……ディスコ、クラブ、大箱、中箱……みんなそれぞれ経営方法や運営の仕方もバラバラです。クラブの事業者団体設立に向けた説明会を開いて、なんとか事業者の人たちに集まってもらいましたが、「本当に法律の改正はできるのか?」と、最初C4はみなさんに黄色い目で見られていたかもしれないし、信用もされてなかったかもしれない。だけど「この集まりに意味を感じますか?」とアンケートを取った時にすべての事業者が「ない」とは書かなかったですし、「また集まっていただけますか?」という所にも「呼んでいただければ参加すると思います。」と書いてありました。さらに「法律改正のために事業者団体は必要だと思いますか?」の問いには「必要だとは思います。」と書いてあって……だからC4は前に進まなくちゃいけないと思いました。
ーー発足されたといっても漠然としたところからのスタートだったんですね……。
WASEI CHIKADA 他にも風営法が変わると問題が増えて困るという声が多かったので、クラブがある地域の人たちにこの文化を理解してもらうために、C4で地域のお祭りに参加して一緒に神輿を担いだり、コミュニケーションを取ったり、クラブ街の清掃活動をしたり……地味に感じるかもしれませんが地域の人たちと共存・共栄していくためにそういうことを定期的にしっかりと継続して地道にやり続けることも大切だと思っています。
ーーそしてその活動は2年以上かけて実ることになり、来年の施行ですが風営法の改正が決定しました。だけど普段からクラブに行っている人たちからすると「今までと何が変わったの?」という声もあると思います。
WASEI CHIKADA 現行の風営法では、もともと客にダンスをさせる営業については風営法の許可を取らないとできないとされていました。しかも、風営法の許可を取得していたとしても、深夜営業は“違法”でした。でも今回の改正で、客にダンスをさせる営業については、風俗営業から外されることになりました。また、「特定遊興飲食店営業」の許可を取得すれば、深夜の営業も可能となりました。
ーー新聞などニュースでも「特定遊興飲食店営業」のことが大きく取り上げられていましたが、”遊興”って広義な言葉で理解しづらいですよね……。
WASEI CHIKADA 例えばバーやカフェでピアノの生演奏をするような場合も、現在の警察庁の解釈では“遊興”になる可能性が高いです。つまり、「特定遊興飲食店営業」の許可を取得しないで、深夜にバーやカフェでピアノの生演奏をしたら無許可営業として取締の対象となる可能性もあります。風営法が改正されるからといって手放しには喜べないですし、“遊興”の定義について曖昧にしていたら後に深刻な問題を引き起こすかもしれないです。そのようにならないようにするため、C4はこれからも関係各団体と協力しながらロビー活動を継続していくつもりなのですが。
ーー複雑ですね。確実に法改正で良い方向へ向うと思いますが、弊害も出てくる可能性がある。こういうことへの対策もC4は定例会で話し合って、またそれを国と話し合い続けて挑戦を続けていくんですよね。
DJ AMIGA けど施行まで1年しかありません。それまでにも継続して国と向き合って話し合いを重ねて、クラブという場所を守るためにもまだまだやらなくちゃいけないことはたくさんあります。今日もそのためにダンス文化推進議員連盟の総会で話をしてきました。
WASEI CHIKADA 誠意をもって活動を行っていけば聞いてくれる人がいる。だから「具体的にどうしたいのか?」しっかりと目的をもってアクションを起こして向き合わないといけません。「対話の場を作ってそこから逃げない、あきらめない。」僕たちはそれが本当に大切だと身に染みて感じています。それは信じ続けて活動して法律が変わることになったからです。
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