“遊びの探究心をかきたてる最先端のフロンティア“として誕生したカッティング・エッジなWebメディア「CO:LABS」。
FUTURAとDJ KRUSHのコラボが話題を呼んだイベント<EXPLORER’S PLAYGROUND>を敢行したり、ウェブ上でメディアとして記事を公開していたり(写真家・荒木経惟や中野正貴のロング・インタヴューやピーター・バラカンの連載まである!)、インスピレーターとユーザーを繋げるプラットフォームとしての機能を果たしてきたCO:LABSが12月21日(土)、100名限定の完全招待制パーティー<CO:LABS LIVE>を開催し、東京の街を華やかに彩った。
EVENT REPORT
<CO:LABS LIVE>
今回の<CO:LABS LIVE>にはSeiho、machìna、Usugrow、Mesの気鋭4組が出演。CO:LABSの方向性を世に差し示すべく、ふたつの越境コラボレーション「Seiho×Usugrow」と「Mes×machìna」をメインとするパフォーマンスとインスタレーションがおこなわれた。今回はその模様をお届けしていこう。
──12月21日(土)19時。集合場所はクリスマスムードで賑わう表参道のメインストリートの喧噪から離れたややひっそりとした場所にあるglo TM ストア青山4階のイベントスペース。会場の熱気はエレベーターを降りてすぐにわかるほど。
現場に居合わせることができた幸運な100名は、無料で提供されるシャンパンやビールをあおり、フードをつまみながら、パーティーが加速するのをいまがいまかと待ち構えている。この日はDATSのメンバーとしても知られるMONJOEによるオープニングBGMが流れる中、いよいよ<CO:LABS LIVE>がスタート。
ステージに現れたのは、ミュージシャンの枠組みを超え、食や華道など果敢にその活動領域を広げ続ける気鋭のアーティストSeihoと幾種類もの筆やペンを駆使し、強烈な個性のカリグラフィーを描きだすUsugrowだ。
本コラボレーションは、SeihoがDJをおこない、そのサウンドからインスピレーションを得つつ、会場に設置された3×3メートルほどの白いパネルに、Usugrowがライブ・ペインティングをおこなっていくというもの。しかも、このパネルは70個のボックスに分けられるようになっており、パフォーマンス終了後に来場者に配られるというから驚きだ。このコラボによって誕生するホヤホヤの作品の断片をお土産として持って帰ることができるというなんとも贅沢な企画だ。
パフォーマンスを振り返ろう。──ウォーミングアップなど必要ないとばかりに、頭からタフなビートをフロアにガツンガツンと投入していくSeiho。そのDJプレイに呼応するかのように、Usugrowはハケとペンを動かす。様々な大きさのハケを生き物のように操りながら、またペンのインクを壁面に投げつけるように滴らせながら、ダイナミックに、時に繊細にカリグラフィーを連ねていく。
Seihoはアグレッシヴなテック・ハウスを基調としながらも、ピアノが高揚感を掻き立てるPaul Woolford & Karen Hardingの“You Already Know (D-Mix)”、あるいはBONOBO – “Linked”やFloating Points – “LesAlpx”といった楽曲も織り交ぜながら、メリハリのあるプレイを展開。お互いの個性をストレートにぶつけながらも、その場でしか生まれ得ない緊張感、掛け合いのようなものが感じ取れる、スリリングなコラボレーションだった。
続いては、4人組バンド、DATSでの活動でも知られるMONJOEが登場。今回はパフォーマンスとパフォーマンスの間をつなぐ、DJとしての役割だ。
MARCEL DETTMANN – “Apron”、Len Faki – “Death by House (A. Mochi Remix)”、Heiko Laux – “Moved (Ricardo Villalobos Remix)”などジャーマン・ミニマルを中心に、ゴツゴツとした強靭なビートを次々に展開し、フロアに一息つく間も与えないかのような攻めのプレイを繰り広げる。さまざまな音楽のエレメントを雑食的に取り入れているDATSの音楽性の一端の担うMONJOEのいまの音楽的な趣向をうかがえる、とても興味深いDJだった。
この日、会場に入ってまず目を惹いたのは、Mesが壁やフロアに施したテープによる装飾だ。宇宙から撮影した1000年後の上空写真のような、独特のラインで構成されたその装飾は、ブラックライトで照らされることで、会場を非日常の空間に変えてしまう。Mesは、谷川果菜絵(KANAE)と新井健(TAKERU)を中心に、東京芸術大学在学中であった2015年に生まれたプロジェクトで、レーザーやテーピングを用いた独創的なパフォーマンスを展開している。
次なるパフォーマンスにはそのMesが登場。お相手はApple GirlとしてK-POPシーンでの活動後、自身の音楽性を追求するべく、モジュラーシンセサイザー、デジタル機材、そして自身のヴォーカルを取り入れたアバンギャルドかつミステリアスなサウンドを展開するmachìnaだ。
──ステージに運ばれたテーブルの卓上には、毛細血管のような無数のパッチケーブルが絡みついたモジュラーシンセサイザーとラップトップ。上下黒の衣装で現れたmachìnaには、会場壁や床などいたるところに施されたMesによるテープの装飾が同じように施されている。モジュラーシンセによってその場で生成されるノイズをフロアに放出しながら、歌っているのか、叫んでいるのか、中毒性の高いスタイルのヴォーカルを乗せていく。
Mesはその予測不能なサウンドに、即興で波形のような形状のレーザーをシンクロさせる。アーティスト、サウンド、照明、レーザー、フロア、壁面が一体化され、空間そのものがひとつの作品として感じられる非常に興味深いコラボレーションだった。
ラストは再び、MONJOEが登場。引き続き、ミニマル・テクノを中心とした選曲で、最後まで手を緩めない。ここで先ほどの「Seiho×Usugrow」のコラボレーションで完成したパネルが解体され、70個のボックスが来場者たちにお土産として配布された。ちなみにボックスの中身についてはここでは明かせないが(来場者のお楽しみ)、非常に豪華なアイテムが入っていたらしい。
<CO:LABS>では、今後も刺激的なコラボレーションや試みが次々に展開されていく。その動向を見逃さないためにも、まずは<CO:LABS>のウェブをチェックし、会員登録(無料)を済ませておいて欲しい。そして新しい何かが生まれる瞬間に、ぜひ当事者として立ち会っていただきたい。
Text by 加藤 直宏
Photo by Masanori Naruse