続いて登場した、今年で結成10周年を迎えるOGRE YOU ASSHOLE。まずは11年にリリースされた通算4枚目のアルバム『homely』より“ロープ”でスタート。“meditation ver.”と名付けられたアレンジで、目の前の景色が気づかぬうちに歪んでいくように、バンドの演奏も少しずつゆっくりと熱を帯びていく。

なだれ込むように、最新作『ペーパークラフト』から“見えないルール”へ。なんて絶妙なつなぎだろう。清水隆史(Ba)と勝浦隆嗣(Dr)による、タイトでミニマルなリズム隊は前曲のテンポを引き継いだまま、切れ味鋭いギターのカッティングが空間を細かく刻んでいく。色とりどりの音の粒子が飛び交う様子をうっとりと眺めていると、馬渕啓(Gt)のファズ・ギターが猛り狂い、一瞬にして世界を混沌へと連れ戻す。会場からは大きな歓声があがった。

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その曲名とは裏腹に、不穏なリフを延々と繰り返す“素敵な予感”(『100年後』収録)を挟み、中盤は再び『ペーパークラフト』から2曲。“ちょっとの後悔”は、聴いていると背骨が疼くような予測不能のコード展開。出戸学(Vo,Gt)が歌う、奇天烈だがどこか親しげなメロディが中毒的な魅力を放っている。“ムダがないって素晴らしい”の、パーカッシヴで立体的なグルーヴは、まるでブラジルのアシッドなフォーク・ソングのようだ。

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ハイライトは“フェンスのある家”(『homely』収録)。うねるようなベースラインと躍動感あふれるドラム、その上で絡み合う2本のギターが、スパーク一歩手前で“内的爆発”を繰り返す。結成10年の中堅バンドとはいえ、こんなストイックで抑制された演奏を繰り広げる30歳そこそこの4人に、思わず身震いがした。

桃源郷に流れるBGMのような、“他人の夢”(『homely』)で本編は終了。アンコールではマーク・マグワイアを迎え、再び“ロープ”をロング・ヴァージョンで。完璧な円環だ。トリプルギターの大音量が洪水のように会場を埋め尽くし、全てが終わった後も、しばらくは呆然としてしまった。

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なお、OGRE YOU ASSHOLEは、活動10周年記念ワンマンライブ<OGRE YOU ASSHOLE LIVE 10th anniversary>を、7月5日(日)に心斎橋JANUSで、7月12日(日)に赤坂BLITZでおこなう。こちらも今から楽しみである。

取材&撮影:黒田隆憲(『SHOEGAZER DISC GUIDE』監修)

Event Information

OGRE YOU ASSHOLE LIVE 10th anniversary
2015.07.05(日)@心斎橋JANUS
OPEN 17:30/START 18:00

2015.07.12(日)@赤坂BLITZ
OPEN 17:00/START 18:00