荘子it、TAITAN MAN、没からなる3人組ヒップホップユニット Dos Monosが、先日アメリカ・LAのレーベル〈Deathbomb Arc〉との契約を発表したことは記憶に新しい。
〈Deathbomb Arc〉は音楽メディア・ピッチフォークにて“Best New Music”を獲得したJPEGMAFIAや、史上2度目となるヒューゴー賞にノミネートされたヒップホップ・トリオ、clipping.などが所属するレーベル。日本人アーティストが同レーベルと契約を結ぶのは史上初の快挙として各メディアにて大きな話題を呼んだ。
2017年には初の海外ライブをソウルのTHE HENZ CLUBで成功をおさめ、その後は、<出れんの!? サマソニ!? 2017>において応募総数3600組を勝ち抜き、<SUMMER SONIC2017>に出演を果たした彼らだが、これまで正規音源・MVは発表してこなかった。
今回は、契約発表後に公開となった自身初となるMV “In 20xx”についてや〈Deathbomb Arc〉との契約の経緯、さらにはお気に入りの音楽や今後の展望まで、まだまだ謎の多い彼らの正体に迫る。米レーベルを虜にさせたDos Monosの魅力とは一体?
Interview:Dos Monos
——バグだらけのMVの意図は?何かインスピレーションを受けているものなどあればお伺いしたいです。
荘子it メンバー全員、昔からメインストリームからはみ出したものに惹かれていたので、ジャンル問わずそういう表現からは大きな影響を受けています。具体的なインスピレーションとしては、僕が好きなチェコの作家ミハル・アイヴァスの小説『もうひとつの街』です。通常の街の亀裂から偶然迷い込んだ、一見理解しがたい摩訶不思議なもうひとつの街に、実は根源的で汲み取るべき本質が眠っているというこの小説の世界観は、Dos Monosのコンセプトと共鳴するものがあったので、それを分かりやすく「バグ」と表現して、監督の渡邉直さんと制作を進めました。
TAITAN MAN 他のアーティストのMVでいえば、SIMI LABさんやQuasimotoの作品に影響受けました。
Dos Monos – in 20XX
——小ネタが30個隠れているとTAITAN MANさんがTwitterで投稿をしていましたが、もし可能であれば、そのうちのいくつか教えてもらいたいです。
TAITAN MAN これ、真っ赤な嘘ですね。小ネタと呼べるものは、どっかに松居一代が隠れてるくらいのものです。
DosMonosの初音源です。
よく探すと30個くらい小ネタが隠れています。https://t.co/wgDE36W3q8— TAITAN MAN (@tai_tan) 2018年5月27日
——〈Deathbomb Arc〉の契約をした経緯を教えてもらいたいです。
没 〈Deathbomb Arc〉は、元々clipping.とか好きで知ってたんですけど、今年の2月頃にレーベル探しをしている時、ちょうどラッパーのJPEGMAFIAがPitchforkで大きく取り上げられてて目に入りました。それでものは試しに音源送ってみたら秒で返信返ってきて。
そこから暫く他愛もないことも含めてやり取りしてたんですけど、最終的にアルバムの完成品を聞かせたら、是非うちから出したい、ってことになりました。〈Deathbomb Arc〉のBrianは本当に気さくで、レスポンスも良くて、かなりスムーズな流れでした。
——いつから結成をしていますか?3人の出会いは?
荘子it 出会いは中学時代。それぞれがバンドをやっていました。(荘子itはギタリスト、TAITAN MANと没はドラマー)その後2015年、個人でトラックを作りためていた荘子itの呼びかけで結集。
——Dos Monosの由来はどこからきているのでしょうか?
没 名前は、ぶっちゃけ語呂です。あえていうなら意味は、スペイン語でDos(2匹の)Monos(猿)です。三人組ではあるけれど、語感が良いので採用しました。その後、「進化した猿=人間」とゆう意味を荘子itが後付けして現在に至ります。
——コンセプトや軸があればお伺いしたいです。
荘子it メインストリームの側で、常に今のシーンにはないバグのような刺激を与え続けられる存在でありたいと思っています。創作面では、本当にかっこいいと思うものをふざけながら作ることを忘れないようにしています。
——海外レーベルと契約をし、海外フェスの出演も決定していますが、海外をメインに入れて活動を行うつもりですか?また今後も日本語のラップで展開をする予定なのでしょうか?
TAITAN MAN ー契約したレーベルの所在地、LAはもちろんですが、ソウルや台湾、タイなどのアジア圏でも積極的に活動していきたいです。フェスで出演するフランスもそうですが、英語以外の言語でラップする面白さは間違いなくあるので、基本的に僕らも日本語でラップするスタイルは変えないと思います。
——パフォーマンスをTwitterで拝見したのですが、すごく独特だなと思いました。どんなことを意識して、パフォーマンスしていますか?
TAITAN MAN サルとヒトの狭間を行き来したいです。
Dos Monos のこの瞬間に全部捕まれた、、超クール pic.twitter.com/vMxYkcM6iQ
— カルロスま C-MHR (@muuushu) 2018年5月13日
——いま、お気に入りの音楽は?
荘子it Balojiの“Soleil De Volt”。
TAITAN MAN Higher Brothersの“7-11”。
没 JAY Z の”4:44″。
Baloji – Soleil De Volt
Higher Brothers – 7-11 (Official Music Video)
JAY-Z – 4:44
——一緒にライブをしたいアーティストはいますか?国内でも海外でも構いません。
荘子it 5lack、Kim Ximya、Earl Sweatshirts。
TAITAN MAN 5lack、Kim Ximya、水曜日のカンパネラ。
没 Danny Brown、JPEGMAFIA、odd eyes。
——今、何か仕掛けていることはありますか?
荘子it アルバムが夏頃には出るはずです。恐らくそのタイミングで次のMVも出ます。
——今後の展望があれば教えてもらいたいです。
荘子it DosMonosとしては、音楽以外のクリエイターや、海外アーティストとのコラボなど、作品作りに巻き込む人を増やしていきたいです。
没 個人としては、メンバーそれぞれのソロ作品も並行して出していきます。