——downyは早くからライブに映像を取り入れたりジャンルレスな対バンをやってきたりという背景があって、そう考えるとリミックスアルバムのリリースは自然な流れだったんだなと思うんです。

そうですね。THA BLUE HERBやGOTH-TRADとライブをしたのは、ジャンルレスというよりも、僕等がクラブミュージックに傾倒している節があったのが大きかったと思いますね。今のご時世、VJは当たり前ですし、昔よりもそういうコラボレーションのライブが少なくなっているような気がしていて。もっとそういう文化というか、このアルバムを通して、クラブシーンの人たちにとってバンドという形の音を聴いてもらう機会になればいいなと思いますし、逆にバンドとしてdownyを知っている人たちには、クラブミュージックを知ってもらいつつ、ひとつの楽曲がどれだけ変わるのかを見せられる機会になる。もっと音楽を作る側の人たちを触発させたいですね。

——コンペの大賞に選出されたのがBO NINGENのTaigen Kawabeさん、特別賞がALT / TYMOTEのmunnraiさんと、skillkillsのヒロナカスグルさんですよね。彼らを選出するにあたって、明確なジャッジはありましたか。

アンビエントのリミックスをしてくれた方たちにも良いものは沢山あったのですが、インパクトがあるもの、なるべく素材のみでリミックスしているものを基準にしました。最終的には15組ぐらいを横一線で並べて、みんなの得点制で決めていったんです。全部をアルバムに入れてもいいほどのものばかりでしたけど、エレクトロ、ヒップホップと色々なリミックスがある中で、Kawabeくんのリミックスはロックだったんですよ。バンドマンが作ったということが分かるような感じで、なかなか聴けないようなリミックスの音だったので、単純にインパクトがあってかっこよかった。

——downyとしては1曲目の“十六月”を新曲として収録していますよね。僕は一般的なリミックスよりもバンドサウンドで構成されている印象を受けたんですが、それはロビンさんが言っていた「構築」とリンクするのかなと思っていて。

そうですね。“十六月”は5枚目のアルバムで溢れた曲なんです。5枚目はエレクトロというよりは肉体的なものを表現したかったので、“十六月”はもう一度構築して作りました。ミックスは裕さん(青木裕[downy・ギター])が初めてやってくれて。「リミックスチームに負けない」というテーマを掲げて、メンバー全員の新たなアイデアで再構築して、ミックスまでメンバーだけでやり切りました。

——ロビンさんもzezecoとして参加していますよね。

downyのリミックスを自分のユニットでやるのはおこがましいけれども、15曲の真ん中に持ってきて、1部と2部のようなクッションになればいいなと思って。単純にアルバムとして聴いて欲しかったので、その間にちょろっとやらせてもらったぐらいです。zezecoは僕とManukanがベーシックなメンバーで、サポート的なライブメンバーが2人いる4人ユニットなんですね。今回は基本的にManukanにやってもらいました。僕はイメージを彼に伝えるプロデュース的な立場というか。自分たちの曲なので、その方が客観的でいいんじゃないかと。

——第3者のリミックス曲から、何かフィードバックされたことはありましたか。

みんな一貫として自分たちのカラーを出しつつ、僕らのカラーを残してくれたと思うんですよ。ぶっ壊してくれているけれど、どこかで芯を残してくれていて。本当に狙っていたとおりのアルバムが出来ましたね。度肝を抜かれるリミックスアルバムだと思います。

——逆に、これからdownyが誰かの作品に対して、こういった関わり方ができるんじゃないかなと思っていて。

そうですね。やってみたいなと思いますね。もしくは自分たちの曲をさらにリミックスするものが出てしまってもいいんじゃないかなと思うんですよね。リミックスって、文化として重要なものですよね。

——受け継がれていって欲しいものだと思いますね。活動休止前、もしくは若い頃であれば、リミックスアルバムをリリースするというアイデアはあり得なかったと思うんです。

なかったですね。単純に「人に委ねる」という感覚がなくて、全部自分たちでやらなければ気が済まなかったですし、すごく頑固だったと思います。それが正しかったのかどうか分からないんですが、9年を経て、「尊敬している」ということを表現できたのは僕らの強みでして。指示を出すことなく作ってくれたいいものを、何も疑問もなく「かっこいい、ありがとう」と言えるようになったのは、僕らの次のステップに繫がっていくと思うんです。

——今後リリースしていく第六作品集以降は、リミックスと絡めていく可能性があるかもしれませんね。

例えば、ライブハウス限定で誰かのリミックス曲を配るなりは有りなんじゃないかな。今回は参加してくれた全員に意表を突かれました。みんなにステムデータを送ったことで、僕らが楽曲をどう作ったかということを知られてしまったので、すごく恥ずかしいんですよ。歌だけのやつとかは特に恥ずかしいじゃないですか(笑)。

——「人に任せる」という新たな選択肢が生まれてきたのは、何がきっかけだったんですか。

僕のコミュニケーションの取り方が上手くなってきたんでしょうね(笑)。それはリスペクトがないと生まれない関係だと思いますし。以前は、どこかでミュージシャン同士ライバルという意識が必要以上にあって。そうじゃない関係性を作れたのは大きいですね。

——2014年のdownyは、現時点で発表されている情報でいうと、3月23日(金)にリキッドルームでワンマンがあって、これもめでたいことにソールドアウトということで。

ありがとうございます。

——月末にはtoeと沖縄・台湾のツーマンツアー、5月にはeastern youthの極東最前線への出演が決まっていますが、ライブは定期的に行なっていくのでしょうか。

そうですね。でも、昔ほど多くはない気がします。みんな忙しくて、僕は沖縄で暮らしていますし。それでも、時期を選んでやっていけたらなと思いますね。

——今後のライブで、今回のリミックス曲を再現していくことは考えていますか。

もちろん“十六月”はリミックスバージョンでやりたいと思っています。今リハをやっていて、3月23日に間に合えばいいなという感じですね。

——過去に自分がdownyのライブで感じたスリルは今も鮮明に残っていて。ロビンさんのお話からバンドがどう変化していて、どんなふうに自分の目に映るのかが楽しみです。

ライブは変わらずMCないですしね。MCが嫌いなんですよ、笑わせなきゃいけないみたいな文化があるじゃないですか(笑)。僕はあまり得意じゃないから、出来る人が羨ましい(笑)。

——(笑)。以前のdownyが回数を重ねてライブをやっていた時期と比べると、活動再開後にあたる今のライブは即日ソールドアウトが続いていて、希少価値のあるものになってきていますよね。

だからこそライブをやっていきたいと思いますし、リキッドルームが売り切れたことはそんなに浮かれていないんですね。9年分のご祝儀だと思っているので、そこで舞い上がらずに布石を着々と打っていきたいなと。次のアルバム、次のライブ然り、今年は海外に行きたいという目標に挑戦したいと思っています。一つひとつを試合のつもりで挑んでいますね。ライブが売り切れることはありがたいですし、バンドマンの夢でもありますけど、どうだ! っていう感覚はなくて、毎回のライブを集中してやりたい。来てくれた人がかっこいいと言ってくれるライブをしたい。そういう心持ちです。

——以前は超スパルタだったのかもしれませんけど、今は角が取れて丸みがあるのかなと。

みんな仲良くやりつつも自分に厳しい人間たちなので、次の日にはお互い修正してくるんです。僕らは修正という言葉が似合うバンドなんですよね。正直、今は6枚目をどうするかを考えていなくて、まずはライブバンドとして自分たちのやりたいことをしっかりと持って、単純に今作を伝えていきたいです。

(Interview & text by Shota Kato[CONTRAST])

downy 第五作品集 Remix Album trailer movie

Event Information

Nowhere near finished everyone’s trip
2014.07.02(水)@梅田Shangri- La
OPEN 19:00/START 19:30 
ADV ¥3,900/DOOR ¥4,500(1ドリンク代別)

LINE UP:THA BLUE HERB、downy

TICKET:チケットぴあモバイルサイトGREENS!チケットイープラス
※一般発売、5月10日(土)~
INFO:GREENS(06-6882-1224)

夜明け前 其の三十一
2014.07.04(金)@広島4.14
OPEN 18:00/START 18:30 
ADV ¥3,900/DOOR ¥4,500(1ドリンク代別)

LINE UP:THA BLUE HERB、downy
DJ:GODBIRD、DAI

TICKET:チケットぴあ(P:223-613)、STEREO RECORDS(店頭)、イープラス、ROUTINE(店頭)、4.14(店頭)
※一般発売、5月10日(土)~
INFO:STEREO RECORDS(082-246-7983)

downy x toe 沖縄ライブ
2014.03.28(金)@桜坂セントラル
OPEN 19:00/START 20:00
ADV ¥3,800/DOOR ¥4,300(1ドリンク代別)
LINE UP:downy、toe、DJ KIM
TICKET:チケットぴあ(P:223-613)、ローソン(L:84198)、イープラス桜坂セントラル

downy x toe TAIWAN SHOW
2014.03.30(日)@Legacy Taipei
OPEN 18:00/START 19:00
ADV 1,300元(枚数限定)/ADV 1,500元/DOOR 1,700元
LINE UP:downy / toe
TICKET:7-ELEVEN ibon(※台湾国内のみ)
INFO:strobocreature@gmail.com(日本語可)

極東最前線/巡業~ジャガイモ機関車ひた走る~
2014.05.10(土)@渋谷 CLUB QUATTRO
OPEN 17:00/START 18:00 
ADV ¥3,500(1ドリンク代別)

LINE UP:eastern youth
GUEST:downy

TICKET:チケットぴあ(P:222-511)、ローソン(L:79024)、イープラス、岩盤、渋谷 CLUB QUATTRO
INFO:SMASH(03-3444-6751)

Release Information

Now on sale!
Artist:downy
Title:第五作品集「無題」 Remix Album
felicity
PECF-1092
¥2,300(tax incl.)