ブラジルのギタリスト/コンポーザーであるファビアーノ・ド・ナシメント(Fabiano Do Nascimento)の最新作『Rio Bonito』が、日本オリジナル企画盤として12月にLPとCDでリリースされる。
世界とルーツを更新し続ける才人、ファビアーノ・ド・ナシメント
世界中のあらゆる先鋭的な音楽シーンと共振しながらも、サンバ・ショーロ〜ボサ・ノヴァ〜MPBというルーツ・ミュージックと続く独自のルーツ・ミュージック史を更新し続けている現代のブラジリアン・ジャズシーン。そしてそのシーンの中でも一際異彩を放ち、サム・ゲンデル(Sam Gendel)らLAのエクスペリメンタル・ジャズシーンの顔役にもなっているのがファビアーノ・ド・ナシメントだ。
昨年の傑作『Ykutu』でファビアーノが更新してみせたクラシック・ギターによつソリッドな表現は、ここ日本でも界隈を問わず大きな評判を集めた。そんな彼の最新作『Rio Bonito』は、ファビアーノの作曲した曲を中心に、エルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)のバンドのベーシストも務めるイチベレ・ズヴァルギ(Itibere Zwarg)が先導してアレンジしたアルバムである。本作は2021年初頭に、ファビアーノの自宅があるロサンゼルスと、イチベレと息子のアジュリナをはじめ、このプロジェクトに参加したミュージシャンの多くが居住するリオデジャネイロから南に2時間の町、リオボニートで録音された。華麗なギター・プレイと、叙情性溢れるサウンドの響きをぜひ体感してほしい。
サム・ゲンデルにブラジル音楽をシェアしたギターの名手であるファビアーノ・ド・ナシメントが、ピノ・パラディーノも魅了したベーシスト/作曲家のイチベレ・ズヴァルギのコレクティヴと美しい録音を完成させた。
ロサンゼルスとリオデジャネイロを結び、そこにある共感を見事に捉えた、真に創造的で心躍らせるアルバムだ。
原雅明(ringプロデューサー)