早いもので、2023年の<FESTIVAL de FRUE>の開催から一ヶ月が経過した。余韻に導かれるように、チン・ベルナルデス(Tim Bernardes)とブレイク・ミルズ(Blake Mills)の単独公演にも足を運んだ。夢うつつのようでいて同時に頭が冴え渡っている、あの感じは、今年は特に重症だった。

ラインナップが、アーティストたちの演奏が、会場の雰囲気が、お客さんたちのバイブスが、あのステージのあの瞬間が、ふと横を見たら踊ってたあの人の表情が。みんなスマホのカメラを向けることすら忘れていた。音楽通たちが、音楽の力に圧倒されていた。

二日間に味わったことを言葉にするのはほとんど不可能であるとようやく納得したのは、先週あたり。なにかを持ち帰ることができたのは確かなのだから、それで良いじゃないかと思うことにした。ブレイク・ミルズのギターのサステインが体のなかで永遠に鳴っているような感覚を素直に喜んで、来年を待とうじゃないかと。

そう思っていたら、『FRUE』から資金難で喘いでいるという。900万円の支援を目指したクラウドファンディングがスタートしている。

円安と原油価格の高騰が渡航費を倍額にし、インバウンドの急回復で宿泊費までが上昇していたために、過去一番の集客をしていたように見えた<FESTIVAL de FRUE 2023>は実は大赤字だったのだ。

<FESTIVAL de FRUE>がクラウドファンディングを開始。支援金は高騰した渡航費や宿泊費の補てんに music231208-festivaldefrue-02

7年間、独自のスタイルを貫いて続けてきたことがようやく音楽ファンに広く浸透し、実を結び始めたと思ったら、まさかそんな逆境にあったとは。

<FESTIVAL de FRUE>のステージは、観客だけでなくアーティストにとっても、いやむしろアーティストにとってこそ貴重な場所になっている。近い将来、さらに多くの国内外のアーティストたちがそこで演奏することを目指しはじめるだろうし、そこでこそ磨かれる表現やパフォーマンスがあるはずだ。

<FESTIVAL de FRUE>に行ったことがある人、または行ってみたいと思っていた人は、音楽を愛する自分のための場所を守ると思って、ファンディングへの参加を検討してみてほしい。

サポートのプランは、最小額3,000円のものから、エルメート・パスコアール直筆の楽譜の手拭いや、ブレイク・ミルズ、トン・ゼーのTシャツといったグッズがリターンとしてもらえるもののほか、会場で使えるドリンクチケットのセットなどが用意されている。なかには、FRUE関連のイベントのチケットを送る際のレターパックに、サポーターのショップカードやイベントフライヤー、フリーペーパーやZine、名刺などを同封できるというユニークなプランも。

募集期間は、2023年12月22日(金)23時59分まで。
また来年、パワーアップして集えるように。そして、後悔しないように、ぜひチェックを!

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