先日フルスペックでの開催を終えた<FUJI ROCK FESTIVAL ’23>。今回はDAY 3、7月30日(日)のRED MARQUEEに登場したFKJのライブレポートをお届けする。
FUJI ROCK FESTIVAL ’23
FKJ@RED MARQUEE 07.30(SUN)
フランスのマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサー・FKJを観ようと大勢のオーディエンスが駆け付け、最終日のレッド・マーキーはたちまち入場規制となった。いつものようにステージにはFKJひとり。まずは、サックスを吹き、ウィスパーで艶やかな歌声を披露し、大歓声が上がった。
筆者が最初にFKJのライブを見たのは2017年の代官山UNITだが、ライブを観る度に様々な楽器と駆使しつつ、音の洗練度を上げていく姿勢に驚かされるが、それはこの日も同じだった。邪魔な音がひとつもなく、全方位に丁寧さが行き届いたような心地よい音がひたすらレッド・マーキーに広がっていった。
FKJの名声を確かなものにしたデビューアルバム『French Kiwi Juice』収録の人気曲“Vibin’out”では((( O )))が登場し、そのシルキーな歌声にレッド・マーキーが多幸感に包み込まれる。((( O )))はくるくると回りながらステージ上を移動し、オーディエンスに「手を上げて」というジェスチャーを送り、たくさんの手が左右に揺れる。その姿を見て、「So Beautiful!」と嬉しそうな((( O )))。FKJの癒しすら感じる美しいピアノの旋律で楽曲は締め括られた。
機材トラブルによる中断が何度かあったが、オーディエンスは温かい声援を送り続けた。William DeVaughnの名曲“Be Thankful For What You Got”のFKJリミックスをはじめ、フロアライクな流れを挟み、後半にはMasegoと共作し、YouTube上でのMVの再生回数が4.5億を超えるヒット曲“Tadow”を披露。まず、ギターを弾いてループさせ、そのギターにまた別のギターを重ね、その後サックス、キーボードと演奏を続ける。やっていることは忙しないが、全くそうは見えないのがFKJのスマートさだ。オーディエンスはFKJが見事な手さばきで次から次へと楽器を操る様を固唾を呑むように見つめながらも、ただただ心地よいグルーヴに体を揺らしている。
“Ylang Ylang”では、ビジョンに美しい山々や川といった自然あふれる光景が映し出された。電気もないフィリピンのジャングルに設置したスタジオで数カ月こもり、夜の間だけ発電機を使って制作された楽曲だが、体も心もリラックスさせ、脳内旅行に誘うようなヒーリング効果が充満していく。
ラストはピアノで故・坂本龍一の“戦場のメリークリスマス”。FKJならではのアレンジが随所に施されているところに、坂本龍一への多大なリスペクトを感じた。大歓声の中、FKJは感謝を口にした後、「次来る時はベストコンディションにするよ」と再会を約束した。
Text by 小松香里
Photo by Kazma Kobayashi
INFORMATION
V I N C E N T
2022.06.10(金)
FKJ
〈FKJ / Beat Records〉
TRACKLISTING
01. Way Out
02. Greener feat. Santana
03. Us
04. The Mission
05. Can’t Stop feat. Little Dragon
06. IHM
07. Brass Necklace feat. ((( O )))
08. Different Masks for Different Days
09. A Moment of Mystery feat. Toro Y Moi
10. Let’s Live
11. Once Again I Close My Eyes
12. New Life
13. Does It Exist
14. Stay A Child
FUJI ROCK FESTIVAL ’23
2023.07.28(金), 29(土), 30(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場